【支援者向け】これでペアレント・トレーニングの実施の仕方がわかる

子育てでは、寝付きが悪い、偏食が強い、癇癪がひどい、こだわりが強い、興奮しやすいなど、育てにくさを感じて悩むことは、どの親御さんも一度は経験しています

自我が芽生えてくる2〜3歳のイヤイヤ期には癇癪もこだわりなどが増え、対応に困る親も多くいますが、一般的にはそれは一時的なもので、言葉が発達して自制心が育つ様になれば落ち着いてきます

カバさん
カバさん

しかしその困り感が人より強く、時期を超えても子どもの様子に変化が見られない場合には、その原因が子どもの発達の遅れや偏りにある場合があるよ!

小さいうちは個性だと思っていても、幼稚園や保育園などで集団生活を送る中で、園からの指摘によって親が発達の偏りに気づくことは多いです

そういった際には、ペアレント・トレーニングが大きな役割を果たしてくれます

この記事では、育てにくさを感じる親のためのペアレント・トレーニングについて解説していきます

この記事がおすすめな人

・子どもの発達支援に携わっている人
・ペアレント・トレーニングについて知りたい人

発達障害

発達障害の多さ

2022年12月に文部科学省は通常の学級に在籍する小中学生で、学習や行動面に著しい困難を示す発達障害の可能性がある児童・生徒が8.8%であることを発表しました。
小学校だけで見ると10.4%です

カバさん
カバさん

1割以上が発達障害の可能性があるってことは、結構いるね!

この調査は2002年から10年ごとに実施され、その割合は年々増加しています

これは公立学校の通常級における調査であり、特別支援学校、特別支援学級、私立学校に在籍している子達、そしていわゆるグレーゾーンと言われる子たちも含めると、我が国全体で何らかの支援が必要な子達の割合は、もっと高い数値を示すことが推測できます

1割以上の子が発達障害=発達支援は重要

発達障害による行動障害

発達障害の子たちは、しばしば日常生活や社会参加を困難にする行動上の問題が見られることがあります

カバさん
カバさん

自閉症児の13〜30%が何らかの重度の行動障害がみられると言われているよ!

これらの行動上の問題は幼児期から始まりますが、大人になっても続くことが多く、だんだん深刻化していく傾向にあります

行動上の問題が強度行動障害や被虐待リスクと関連するため、幼児期からの早期介入が大切

育児困難への支援について詳しく知りたい方は「育てにくい子の親への支援のコツ8選」の記事を参考にしてください

自閉症児の親のストレス

自閉症の子の親は言葉や認知の問題、こだわりの強さ、感覚の過敏性など子どもに関する様々な悩みを抱えていますが、特にこの行動上の困難については他の問題に比べてさらに強いストレスを感じています

そのため、定型発達の子の親や、ダウン症候群、脳性麻痺、知的障害などの他の障害を持つ子の親よりも、ストレスのリスクが高いことや、鬱・不安などの精神症状を発症するリスクが高いことが示されています

親の精神的に不安定な状態が被虐待リスクと関連していることは否定できないため、子どもの行動上の問題がまだ重篤化していない早期に介入する方法を考え、親のストレスや不安を低下させる試みを行うアプローチが必要です

自閉症児の親は育児ストレスを感じやすく、虐待リスクも高いため早期の介入が必要

自閉症児を持つ親の支援について詳しく知りたい方は「ASD児と家族への支援のコツ」の記事を参考にしてください

ペアレント・トレーニング

ペアレント・トレーニングとは

ペアレント・トレーニング(PT)とは、行動理論の考え方に基づき、親が子どもとの関わり方や具体的な対応について学ぶもの

カバさん
カバさん

親が子育ての自信、自己肯定感、自尊心を取り戻すのに有効なプログラムだね!

ペアレント・トレーニングは1960年代にアメリカで始まりました

日本に限らず世界でも、発達障害児や発達の気になる子を育てる親を対象としたペアレント・トレーニングが多く実施されており、厚生労働省や世界保健機関(WHO)も発達障害児の親へのペアレント・トレーニングを推奨しています

ペアレント・トレーニングの効果

現在では、親が子どもとのより良い関わり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消し、子どもの発達促進や行動改善を目指すことを目的として行われています

また、子どもへの対応を学ぶだけはなく、子どもとその家族への支援の手立てが増え、親同士の繋がりを作ることができることが期待されます

ペアレント・トレーニングの種類

ペアレント・トレーニングには、予防的な介入としてのペアレント・トレーニングと治療的な介入としてのペアレント・トレーニングの2つの側面が考えられます

予防的介入

褒め方、環境調整、指示の出し方など、親が家庭で取り組みやすいプログラム構成であることが多いです

未診断の子の親を含めて実施することができるため、子育てプログラムとして自治体などで幅広い方を対象として実施されています

治療的介入

主に医療機関で実施されており、診断を受けた子の親が、子どもの特性に応じた関わり方を学ぶプログラムです

医療者から投薬だけでなく、具体的な介入方法のアドバイスをもらうことができ、子どもの症状が重症化する前に対応できる様になります

カバさん
カバさん

さらには親の会などの地域の支援者やメンターとも繋がりができ、支援体制の充実も期待できるね!

ICTペアレント・トレーニング

ICTペアレント・トレーニングとは

ICTは「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、通信技術を活用したコミュニケーション。 情報処理だけではなく、インターネットのような通信技術を利用した産業やサービスなどの総称

日本でのペアレントトレーニングは予防的な介入、治療的な介入ともに、当事者同士や地域の支援者とのつながりも重要な目的として考えてきました

そのため、従来は対面形式で行うのが一般的で、その効果も認められてきました

しかしペアレント・トレーニングを実施できる専門家が全国的に不足していること、ペアレント・トレーニング参加のために仕事を休みづらいこと、過疎地や離島などペアレント・トレーニングが開催されない場所に居住している場合など、いくつかの課題があることが指摘されてきました

ICTのメリット

ICTペアレント・トレーニングは講義・課題・ワークから構成され、講義はオンデマンドで配信したものを自分で学習する自己管理型学習で実施されている

そうすることで自分の生活スタイルに合わせて視聴することが可能です

ICTペアレント・トレーニングでは仕事をしながら受講する方も増え、対面型より受講しやすくなったという声が上がっています

カバさん
カバさん

対面型では母親のみの参加が多いけど、ICTPTでは夫婦一緒に参加できるね!

ICTのデメリット

その一方で、対面型では自然に行われていた毎回の参加者同士の雑談や意見交換が無くなりました

対応として、インターネットのビデオ通信技術を利用して定期的にリアルタイムのワークを実施したり、LINEチャット機能を使って参加者同士の交流が行われています

参加者にとって選択肢が増えたことは非常に良いことだと感じていますが、支援者・参加者ともに対面型・オンライン型それぞれのメリットとデメリットをよく把握した上で、どちらへ参加をするのかを決めることが求められます

交流の場について詳しく知りたい方は「発達障害のある子を持つ親によるピアサポートとは」の記事を参考にしてください

まとめ

今回はペアレント・トレーニングについて解説してきました

今回の記事の要点をまとめると、以下の4点があります

まとめ

①発達障害児の親は育児ストレスを感じやすく、虐待リスクも高いため早期の介入が必要
②PTは、親が子どもとのより良い関わり方を学ぶ
③PTには予防的介入と治療的介入の2つがある
④ICTの活用はメリット・デメリットを踏まえ開催方法を決定する

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最後までご覧いただきありがとうございました

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