【支援者向け】こだわりの強さを強みに変える支援のコツ5選

子どものこだわりは、相談の主訴、偶然のやり取り、行動観察など、様々な形で明らかになります

強いこだわりに気がついたとき、子どもとその親の支援者としてできることは何でしょうか

この記事では、こだわりとは何なのか、また支援者としての関わるときののコツを解説していきます

まとめ

・発達支援をしている人
・子育て支援関係者
・こだわりに困っている人の支援をしたい人

こだわりとは

誰もが持つこだわり

人は誰しも多少なりとも意識・無意識のこだわりがあります

しっくりくる靴下の長さ、財布のお札の入れ方、醤油のメーカーなど、日々の生活の中で、「これがピッタリくる」感じや、気持ちが落ち着くあり方など、こだわりは私たちの日常に多く存在します

育児相談の中では「こだわりが強い」というと、ネガティブなイメージが先行しがちです

けれども、実はこだわりにはポジティブな側面も多く、子どもたちの日々の生活を支える力になっています

カバさん
カバさん

子どものこだわりをネガティブなものとしてなんとか減らそうとしたり無くそうとしたりすることに「こだわる」とうまくいかないことが多いよ!

一般的なこだわり

カバさん
カバさん

こだわりはごく一般的に成長発達の過程で見られ、特に、乳幼児期と思春期のこだわりは珍しくないよ!

例えば24〜46か月の子の75%以上には脅迫様のこだわり行動(特定の順序ややり方、特別な行動や日課など)が認められ、思春期の子では、20〜30%程度に、同じ様な物をたくさん集める、タオルなど決まった物をそばに置いておかないと落ち着かない、などのこだわり行動があったといいます

興味深いのは、これらの時期が、子どもが急激に心身的・社会的に成長を遂げる時期と一定していることがあるという点です

乳幼児期に認知や食事・排泄などの生活の機能が急速に発達する時期と、思春期に第二次性徴を迎え、自分のあり方に葛藤しながらアイデンティティを確立していく時期にはこだわりが見られやすいです

カバさん
カバさん

つまり、こだわりは成長のために欠かせない現象であるとも言えるね!

より強いこだわり

一方で、一部の神経発達上の特徴や精神的な病態に、より強いこだわりが伴いやすいことも知られています

最もよく知られているのは自閉スペクトラムなどの発達障害の子であり、その診断基準にも興味・関心が限局的であることや情動的・反復的な行動が見られることが明記されています

あるいは、不安障害の一つである強迫性障害に見られる強迫観念や強迫行動が、こだわりとして捉えられていることもあります

さらに摂食障害や、ストレス関連の障害(適応障害やPTSDなど)でも、強い不安や認知の変化に対処するためにこだわりが強く出ることがしばしばあります

こだわりの強さが出る障害

・自閉症スペクトラム症
・強迫性障害
・摂食障害
・適応障害
・PTSD

こうしたより強いこだわりは、それが「今」を生き延びるために機能的に働く一方で、社会の暗黙のルールやルーチンとの違いが生じやすく、本人や周囲への困難感が広がりやすいです

貧困や虐待の中にある子の中には、生活の維持や怒られないための対策として、一見こだわりの様に見える行動が出ることもあり、留意が必要

こだわりの持つポジティブな力

こだわりの持つポジティブな力には大きく2つあります

継続する力

こだわりの中に、その子がありたい姿や憧れなどが象徴されていることも多いです

例えば駅名、キャラクター、特定の洋服の着こなしなどは、子どもが「自分は何が好きなのか」がわかっていて、かつそれを「継続する」ことができるという力の表れでもあります

ストレスへの対処力

例えば出かける前玄関での儀式、服の素材、食べ物の調理方法などへのこだわりは、出かけることへの不安を和らげ、感覚の繊細さに対処して負荷の少ない物を選ぶといった子どもたちの自己対処の力でもあります

こだわりがさまざまなストレスへのコーピング(対処方法)として働いています

カバさん
カバさん

こうしたこだわりは、その子どもがストレスの中で生きる上で重要な機能を果たしていることが多いよ!

こだわりの捉え方

こだわりへの支援が、周囲の大人のためのものであってはなりません

支援が子どもの最善の利益となるためには、まずはこだわりを切り離さずに、「日常生活の中で丁寧に観察する」ことが何よりも大切です

こだわりのアセスメント

まず、こだわりがその子にとってどの様な願いや興味の表れなのかを、子どもの視点で、養育者とともに探ります

例えば「電車へのこだわり」でも、その秩序が好きだったり、色、音、アナウンスが良かったり、子どもによってポイントは異なります

カバさん
カバさん

よく観察し、子どもに尋ねてみることで、どんな素敵な効果が子どもにもたらされているのか、(完全には理解できなくとも)できるだけ近い感覚を想像できる様になると良いね!

「コーピング」のアセスメントは、こだわり行動が出る・増える・減る場面や前後の状況の注意深い観察が基本になります

どんな風に役立っているかを子どもに尋ねるのもいいですが、言語化が難しい場合や無意識の場合も多いため、問い詰めない様に注意しましょう

カバさん
カバさん

子どもも気づいていなかった様なコーピングとしての仮説を子どもと共有することで、子どもの自己理解を促進できることがあるよ!

例えば、味噌汁は冷たいまま飲みたいという子に対して、「冷たい方が匂いが気にならなくて飲みやすいのかなぁ、いいアイデアだねぇ」などと話してみることなどが役に立つかもしれません

こだわりを仕分け

次に、こだわりを仕分けします

こだわりには、「あっても大丈夫なこだわり」「場面により困るこだわり」「なくしたいこだわり」があります

「なくしたいこだわり」は、自分や人を傷つける様なこだわりです

難しいのが「あっても大丈夫なこだわり」と「場面により困るこだわり」で、これらは、上記の様に子どもにとっての継続する力や自己対処力に対する機能的な側面と、環境の許容度との相談になります

カバさん
カバさん

この線引きで、意外と「こだわり」はあっても良いものと気づくことがあるよ!

子どもだけでなく、養育者のこだわりも同じ様にアセスメントをして尊重した上で、特にアプローチしたい(逆にいうと、放っておくものを決めてしまう)こだわりを選ぶことで、養育者の負担を減らせるかもしれません

心身の状況や環境を理解

最後に、心身の状態や環境との関係を理解します

特に、こだわりがコーピングとして機能している場合には、身体の不調や心の負荷、周囲の状況にこだわりの出方が大きく作用している場合が多いです

カバさん
カバさん

一般的に、疲れや空腹、寝不足や体調不良の場合にはストレスの耐性が減ってこだわりが強く出やすいよ!

周囲の対応によってもこだわりは変化します

関連している環境要因をまとめ、そのうち変えられるもの・変えられないものを整理することは、対応のヒントになります

ただし、これを養育者自らが行うことは簡単ではないため、支援者が養育者のペースを大切にしながら適宜サポートすることが有用です

こだわりへの支援のコツ

関わりには、前述のこだわりの捉え方のコツを活かしましょう

共感の声かけ

カバさん
カバさん

まずは、子どもの願い・喜びやコーピングの側面を子ども自身に返していこう!

「その色が最高なんだよね」や「同じ味がすると安心かな」などと、子どもに共感する声かけを行うことは、その子の自信と安心につながり、養育者との関係を安定させます

こだわりごとの対応

次に、仕分けした上で、「あっても大丈夫」だと決めたものは、「まあいっか」などの合言葉を用意して、養育者が安心してスルーできる様に準備します

「場面により困る」こだわりは、どんな場面ではどのくらいしても良いのか、できるだけ子どもと相談して前もって枠を決めておきましょう

ある場面では怒られるのにある場面では許容される、という状況は、特に神経発達の特徴を持つ子には混乱をきたしやすです

こだわりごとに一貫した対応をする

また、こだわりがあっても困らない状況を作って(例えば時間に余裕のある休日など)、思う存分そのこだわりに没頭できる時間を定期的に確保し、それを見える化する(カレンダーに印をつけるなど)ことは子どもの安心につながります

一方で「なくしたい」ものは、怒るのではなく、代わりのものや行動を提示して、子どもの願いやコーピングが別の方法で叶えられる様に配慮しましょう

事前の対策

カバさんカバ
カバさんカバ

心身の状態や環境との関連を理解することによって、事前にこだわりの強化を予防したり準備したりできるよ!

例えば、見たことのないものへのイメージを持ちにくい子のこだわりが学年の変わり目に増えることがわかっていれば、新しい教室の写真や新しいスケジュールなどを可視化して予告することができます。
夕食前の空腹時にこだわりが増しやすい子であれば、お迎えのタイミングで小さなおにぎりを用意できます

養育者に伝えるべきこと

最後に、「こだわりの強い子といるのは、それがどんなにその子にとって必要だとわかっていても、疲れる」ということを養育者と共有し、労うことが大切です

理解し共感することと、疲れることは別です

特に、子どもは願い・喜びや不安への対処などは、自分だけでは抱えきれないことも多く、こだわりが強く出るのは、それらを一番わかって欲しい・共有したい相手になります

カバさん
カバさん

子どものこだわりが強く出るのはその養育者との関係ができているからこそだけど、その分負担が集中しやすいね!

こだわりを理解していても、対応は負担が大きい

養育者には、こだわりに付き合いすぎなくても大丈夫だということ、上記の様な対応は10回に1回くらいできれば十分合格であることを伝えましょう

また、本人の生活がこだわりによってうまくいかなくなっていたり、養育者の疲労が強く養育の強い困難感につながっていたりする場合には、医療機関や子育て相談機関などの専門機関への早めの相談を勧めましょう

育てにくさのある子を育てる親への支援について、詳しく知りたい方は「育てにくい子の親への支援のコツ8選」を参考にしてください

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まとめ

今回はこだわりの強さを強みに変えるための支援のコツについて解説してきました

今回の記事の要点をまとめると、以下の4点があります

まとめ

①皆が持つこだわりと、何らかの原因でより強く表れるこだわりがある
②こだわりには、ポジティブな力として継続する力とストレスへの対処力がある
③こだわりをアセスメント・仕分け、取り巻く状況を理解
④こだわりは事前に対策し、一貫した対応をし、養育者には頑張りすぎないことを伝える

こだわりの強さは発達障害からきている可能性もありますので、以下の記事も参考にしてください

・「発達障害のある子への支援のコツ
・「ASD児と家族への支援のコツ

こだわりは社会的に規定されています

つまり、社会のマジョリティがしていることは、こだわりとは呼ばれません

おやつは15時、靴下は左右同じものがいい、毎日違う昼食を食べるとか

でも、本当にそうである必要はどのくらいあるのでしょうか

カバさん
カバさん

こだわりの強い子の行動や選択は、私たちの「当たり前」をちょっと疑うきっかけをくれるね!

子どもたちのこだわりを、喜びや願いの力、コーピングの力、そしてこの社会の当たり前を見直す力として、子どもと養育者と一緒に、捉え直していきましょう

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