ニュージーランドの子育て支援

ニュージーランドは、日本の約4分3の面積に、人口は約500万人と少ないです

多民族国家であり、欧州系を中心に、先住民のマオリ系とアジア系がそれぞれ15%程度を占めます

そうした背景からか、一人一人の子どもが大切にされ、親に対する支援も充実しています

本稿では、日本でも取り入れたいニュージーランドの子育て支援の取り組みを紹介します

乳児家庭に対する伴走型の支援

ニュージーランドでは、妊娠がわかると助産師を選んで登録し、出産後は家庭医と子育て支援センターを選んで登録します

カバさん
カバさん

産前から小学校入学まで、親と子どもに専門機関が継続的に関わる伴走型の支援になっているよ!

子育て支援センターの大半は、100年以上の歴史を持つプランケットという非営利団体が運営しています

プランケットとは

親や子ども向けの様々なプログラムの提供と合わせて、24時間365日対応の電話相談、カーシートやおもちゃの貸し出し、プランケットナースと呼ばれる看護師による健診など、乳幼児期の子育てを様々な形で支えている

健診は家庭を訪問して行うことも多く、その際、親の健康に関する相談から保育施設に関する案内まで、幅広い支援を行なっています

支援の根底にある考え方

カバさん
カバさん

「子育ては過酷な仕事であり、親には良い情報と支援者が必要」という考え方がベースにあり、家族に寄り添うことが大切にされているよ!

ホームページには「プランケットの仕事は、あなたを批判したり、何をしなければいけないかを伝えるのではなく、あなたの話を聞いて、必要な支援に繋げること」とあります

「子どもは一人一人違うので、二人目でも支援は必要」とも書かれていて、親の生活や価値観、子どもの状況が多様であることを前提とした支援になっています

親に対するわかりやすい情報提供

こうした伴走型の支援により、親に必要な情報を入手しやすいが、さらに国のウェブサイトの情報提供もとてもわかりやすいです

教育省のホームページには子どもの年齢別に親向けのサイトがあり、保健省も妊娠期や子どもの健康・安全に関する情報をホームページで提供しています

そこでは、障害のある子ども、死産・流産、若年妊婦など、特に厳しい状況にある親にも情報提供があります

親が運営するプレイセンター

ニュージーランドでは親の孤立を防ぐ上で、専門機関による個別の伴走、ウェブサイトなどでの情報提供に加え、親同士が繋がり、学び合い、支え合うことも重視しています

その一例として、プレイセンターと呼ばれる親が運営する保育施設があります

プレイセンターとは

保育者を雇わず、親が交代で先生役を務める保育施設で、幼児教育や施設運営に関して学ぶ学習会への参加が親には求められている

学習や施設運営を通じて親同士が親しくなりやすいため、孤立しやすい転入者にプレイセンターの利用が勧められることもあります

80年前に始まったプレイセンターは、元は幼稚園の代わりとして利用されることが多かったですが、今は3歳未満の利用が過半数を占めています

小さい子どもを預けることに不安を感じたり、地域に知り合いがいなかったりする人が、まずプレイセンターを利用し、子どもが大きくなってから幼稚園や保育所に映るケースや、保育所とプレイセンターを併用するケースなどもあります

障害のある子どもの支援

全ての子どもを大切にするという考え方は、障害のある子どもとその親に対する支援にも表れています

カバさん
カバさん

ニュージーランドでは、障害のある子どもが、通常の保育施設や学校に通うことが原則となっており、保育施設の側に障害を理由に断ることが認められていないよ!

通常の保育施設に通うために何が必要かについて、教育省の担当者が、保育施設とその子どもを担当する家庭医や子育て支援センターなどと相談して調整しています

施設の改修やタブレットなどの支援機器の提供、職員の追加など、環境を整えて受け入れています

親への支援

さらに、障害のある子どもの親に対する支援にもきめ細かな配慮が見られます

国が発達障害のある子どもを持つ親向けの連続講座を開発し、無料で受講できる体制を整えています

3〜8歳の子どもの親を対象に、週1回計14回開催され、親に家庭の環境をどう整えるかなどを伝えるとともに、同じ課題を抱える親同士を繋ぎ、支え合う関係性を作ることも狙っています

子ども家庭庁には、こうした海外の取り組みを十分に踏まえ、子育て支援のあり方を見直してほしいです

コメント