発達性協調運動障害と聞いて皆さんは何を思い浮かべますか?

・初めて聞いた
・運動が苦手なのかな?
・発達障害?
発達性協調運動障害という言葉はなかなか馴染みのない言葉だと思います
発達性協調運動障害は特に運動面での不得意が著しく、手先の細かい作業や大きな全身運動において、不器用さの目立つ子たちのことです
この記事では、発達性協調運動障害(DCD)の特徴から関わり方のポイントまで保健師が解説していきます
・我が子が発達性協調運動障害か心配な人
・発達性協調運動障害について知りたい人
・運動音痴な人
・不器用な人
・学習障害の子との関わり方のポイントを知りたい人
発達性協調運動障害とは
発達性協調運動障害(DCD)は筋肉や神経、視聴覚などに異常がないものの、いくつかの動作を協調させて行う運動が苦手で、細かい動きから大きい運動において不器用さの目立つ状態です
この協調運動の苦手さが比較的早期から見られ、適切な方法で十分に練習を行っても習得できない場合に、診断がつく可能性があります
原因

先天的な脳の問題と推定されてるけど、原因ははっきりわかっていないよ!
また、他の発達障害と併存しやすいといわれ、発達性協調運動障害単独で起こるケースが少なく、その関係性もよくわかっていません
いつ診断?
乳幼児期から、ハイハイや歩き方のぎこちなさなど運動面の困難さが見られることは多く、就学後には苦手意識から運動を避けたり、鉛筆・定規・ハサミなどの道具を使うのが苦手なことが学習困難に繋がったりします
手先の不器用さだけが目立つタイプや全身運動だけが苦手なタイプなど、どちらかに極端な偏りが表れる場合もあります

運動の苦手さ、不器用さは、大人になるとあまり気にならなくなるけど、遊びを中心にした子ども社会の中では、とても重要だね!
うまく友達と遊べないだけでなく、みんなの前で恥ずかしい思いをして自尊心の低下を招くこともあり、学齢期においては心の面での配慮がとても大切です
主な特性
①全身運動が苦手
☑︎寝返り、ハイハイ、歩く、走るなどの基本的な運動発達が遅れる
☑︎動きがぎこちない、あちこちぶつかる、姿勢が崩れやすい
☑︎ダンスやマット運動が苦手、スキップができない
☑︎縄跳びが出来ない
☑︎うんていや鉄棒、ジャングルジムなどの遊具での運動が苦手
☑︎ボール運動(投げる、取る、蹴るなど)が苦手
☑︎三輪車、自転車に乗れない
乳幼児期からの基本的な運動発達が遅れる
寝返り、ハイハイ、歩く、走る・・・と言った基本的な運動発達が遅れがちです

赤ちゃんの頃を振り返って、そういえば、寝返りがなかなかできなかった、ハイハイをしなかった、ということも多くあるよ!
力の加減が難しく、動きがぎこちない
力加減がわからず、ドタドタと歩いたり、力任せにドアを閉めたりする様子が見られます
また、息をゆっくり吐くと言った調節も難しいので、シャボン玉や風船を膨らませるのも苦手です
ダンスやマット運動などは動きがぎこちなくなり、行進で同じ側の手足が同時に出てしまうということもあります
②手先の細かい作業が苦手
☑︎ボタンの掛け外しやファスナーの上げ下げ、紐結びができない
☑︎物をよく落とす
☑︎箸、ハサミ、定規、コンパスがうまく使えない
☑︎鉛筆を正しく持てず、筆圧が弱いまたは強すぎる
☑︎楽器の演奏が苦手
指先の触覚が鈍感なことが考えられますが、手先の作業がうまくいかないと、食事の時の箸使いやボタンの掛け外しなど、生活習慣の自立が遅れることもあります
また、手に道具を持った作業がうまくいかないことから、ハサミやテープを使ったりがうまくいかず、学習に支障が出てしまうことがあります
不器用な子への詳しい対応の仕方を知りたい方は、こちら「不器用で製作など手先の作業が苦手な子への2つの対応の仕方」の記事を参考にしてください
③いくつかの動作を一緒に行うことが苦手
走りながら、また目でボールを追いながら投げたり取ったりするドッジボール、手で縄を回しながらジャンプする縄跳びなど、いくつかの動作を協調させながら行うことがとても苦手です
ジャングルジムやうんていと言った全身運動だけでなく、指を動かしながら息を吐く鍵盤ハーモニカやリコーダーなどにも苦手さが表れます
苦手意識から、自尊心が低下しやすい
体操やダンスがうまくできない、ボール遊びや縄跳びで失敗する、楽器の演奏ができない・・・こうした姿が周りの子たちのからかいの対象になったります
また、大人からもっと丁寧にちゃんとやりなさいなどと叱責されたりすることが続くと、苦手意識は高まり、意欲は低下。
自尊心も下がりがちになります

からかわれたり怒られたりすることが多いととやる気は無くなるよね!
関わりのポイント
専門的な支援・指導としては感覚統合療法がありますが、家庭で楽しく取り組めることも多いので、実践してみましょう
感覚統合療法:五感や前庭覚・固有覚などの感覚機能の偏りを、運動や遊びを通して調整、コントロールしていく療育法
親子で色々な運動遊び
ぎこちない動きや不器用さの多くが、固有覚や触覚など感覚機能の偏りからきています
サッカーが苦手だからボールを蹴る練習、お箸が使えないからお箸で豆掴み・・・と言った苦手部分を強化する練習も無駄ではありませんが、あまり楽しくありません

本人が楽しいと思う遊びを通して、色々な動きを体験し、全身の機能を高めていくことが大切だね!
お手伝いや料理を積極的に
子どもができるお手伝いの中には、手先の動きを高めるものが多くあります。
拭き掃除、食器運び、洗濯物干し・取り込み・・・など
ソースをかき混ぜたり、餃子の皮で包んだり、料理のお手伝いもいいですね

お手伝いするごとにシールを貼って、モチベーションを上げるのもいいね!
せかさず・責めず・たくさん褒める
周りの大人は、できないからと言って急かしたり、責めたりすることのないようにしましょう
友達からのからかいや、大人からの注意・叱責がストレスになり、自尊心を下げてしまうこともあります
本人の得意なこと、できたことを見逃さず、褒める機会を多くするように心がけましょう

一生懸命やってもできないもどかしさ・辛さは本人が一番感じているよ!
まとめ
今回は発達性協調運動障害の特性と関わり方のポイントを解説してきました
今回の記事の要点をまとめるとまず、発達性協調運動障害の特性としては大きく分けて以下の3点があります
①全身運動が苦手
②手先の細かい作業が苦手
③いくつかの動作を一緒に行うことが苦手
そして、この特性を踏まえて、上手に関わっていくコツは以下の3点です
①親子で色々な運動遊び
②お手伝いや料理を積極的に
③急かさず・責めず・たくさん褒める
この記事が、少しでもお役に立てたのであれば幸いです
最後までご覧いただきありがとうございました
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