ADHDと聞いて皆さんはどんなことを思い浮かべますか?
・発達障害
・落ち着きがない
・どう接したらいいのかわからない
最近大人でも多いと話題になっているADHDですが、ADHDという言葉は聞いたことあるけど、説明してと言われても説明できる人は少ないと思います
確かにADHDの子たちは落ち着きがなく失敗も多いため、叱られやすいですが、明るくエネルギッシュで、愛らしい子たちです
この記事では、注意欠如多動性障害(ADHD)についての特徴から診断、関わり方のポイントを保健師が解説していきます
注意欠如多動性障害(ADHD)って?
注意欠如多動性障害(ADHD)の主な特性は「不注意」「多動性」「衝動性」
それらが年齢・発達に不釣り合いで12歳以前からあり、場所が変わっても一貫してみられる時に診断されます
原因はまだはっきりわかっていませんが、先天的な脳の機能障害で、中でも脳の前頭野にある実行機能という働きが弱いと言われています
子どもなら、多かれ少なかれ、このような姿が見られるけど、同年齢の子たちと比べて著しく目立つ場合、ADHDの可能性を考えるよ!
主な特性
①不注意
☑︎忘れ物・失くし物が多い
☑︎同じミスを繰り返す
☑︎整理整頓が苦手
☑︎興味のないことに注意を持続させるのが難しい
☑︎上の空でぼーっとしていることが多い
1つずつの事柄がきちんと終わらない
例えば、片付けの最中におもちゃを見つけて遊び始めてしまう、学校に行く支度の最中に友達の迎えが来たらそこら辺のものをかき集めて出かけてしまう・・・つまり、片付けや支度というプログラムを終えないうちに次のプログラムに移ってしまうのです
集中が続かない、集中し過ぎる
注意が続かないので、外からの刺激ですぐに気が逸れてしまいます
授業中や大人が話をしている最中でも、虫が飛んできた、電話が鳴った、といったことに反応して、その場を離れてしまうことがあります
興味や関心のないことには気を向けないため、いつも上の空、ぼーっとしているように見えちゃうことがあるね
その反面、興味のあることにはものすごく集中し、話しかけても気づかないということもあります
集中力の加減ができないという感じです
忘れっぽい
物や言われたことに対する意識も続きにくいので、忘れ物、無くし物、約束を忘れる、といった失敗が多くなります
②多動性
☑︎落ち着きがなくじっとしていられない
☑︎座っていても手足がソワソワ動く
☑︎いつも動き回っている
☑︎おしゃべりが止まらない
体の感覚的な要因として、動くことを我慢できない、ということがあります
お腹が空いたからご飯を食べたいという生理的欲求と似ていて、「体内に入る感覚刺激が足りないから取り入れたい」という行動だね!
体の内側に感じる感覚には固有覚と前庭覚があり、どちらも鈍感な場合、跳びたくなったり走りたくなったり、回転したくなったりします
③衝動性
☑︎待つこと、我慢が苦手
☑︎思ったらすぐに行動に移してしまう
☑︎話に割り込んでくる
☑︎要求が通らないと、感情が抑えられなくなる
気持ちのコントロールが難しく、状況と無関係に多動で、予測や考えなしに行動を起こしてしまいます
カッときた瞬間、もう手が出ている・・・
この時少し間を置けたら「今、ムッとしているんだ」と自分の心の中を吟味できるのですが、気持ちが動き出すと止まりません
怒るとカンカンになるまで怒り、調子に乗るととことん舞い上がる。
エネルギッシュで頭の回転も早く、さっと動くけれど止まらないのです
こんな長所・才能も
・集中すると力を発揮する
・人懐こい、よく気がついて優しい
・発想が豊か、独創性がある、ユーモアがある、エネルギーに溢れている
叱られやすい
不注意も多動も衝動的な行動も、決してわざとではないのですが、叱られることが多くなります
また、叱られている最中でも心ここに在らずで、叱り終わった大人が「もういいから」と言った途端「遊びに行っていい?」と聞いてきたりするので、全く懲りていないように見えます
さらに、何度注意されても同じ失敗を繰り返すので、周囲の大人はイライラ
すぐに失敗して、叱られる・・・という経験が積み重なると、自分は何をやってもダメな子だと自尊心が低下していくことがあるよ!
関わりのポイント
気持ちや体の動きをコントロールすることが苦手なので、自分の言動を振り返る力をつけることが重要です
また、自己肯定感を下げない配慮も大切です
注目しやすく
注目すべきところを示す、こまめに声かけをするなどして集中が続くようにサポートしよう!
言葉だけでなく、絵や写真、文字など、視覚的に示す工夫も効果的です
また、話をする時には、体に触るなどして注目させてから話すようにすると良いでしょう
(↓特性を活かした学習方法を知りたい方は参考にしてみてください)
刺激や情報量を減らす
見える物、聞こえる音など周囲の刺激を減らすことで集中を助けましょう
何か集中して取り組むときは、装飾の少ない、静かなスペースを確保できるといいです
大人が無闇に声をかけるのも、時に集中を妨げる要因になっちゃうよ!
学校での詳しい対応の仕方を知りたい方は、こちら「落ち着きがなく授業に集中できない子への対応の仕方」の記事を参考にしてください
スモールステップで
1つのことをきちんと終えてから次に移るという体験を積み重ねることが大切です
例えば朝の支度なら、顔を洗う→パジャマを着替える→パジャマをしまう・・・と行動を1つずつ区切るとわかりやすく簡単なので、途中で投げ出すこともなくなります
1つ終わるたびに「上手にできたね、えらいね」と褒めることで達成感が持て、次への意欲につながるよ!
日常生活での詳しい対応の仕方を知りたい方は、こちら「朝の支度がなかなか進まず、忘れ物も多い子への2つの対応の仕方」の記事を参考にしてください
思い出し、気づけるように
衝動的な行動をする前に一瞬でも間を置いて考えられるよう、一声かけるなど、思い出せる、気づける工夫をしましょう
その時「〇〇してはダメ」ではなく、「〇〇しようね」と、適切な行動を肯定的に伝えるように心がけましょう
外出先での対応の仕方を詳しく知りたい方は、こちら「公共の場で騒ぐ、よく迷子になる子への対応の仕方」の記事を参考にしてください
見通しを持てるように
少しずつ待つことも覚えたいものです
いつまで我慢すればいいのかがわかるように見通しをつける工夫をしましょう
「〇〇ちゃんは●番目だね」と列に何人並んでいるかを意識できるような声をかけるほか、時間の見通しなら、キッチンタイマーなどを使うのもいいでしょう
動きたい欲求を満たす
我慢させ過ぎることのないよう、動きたい欲求を満たすことも考えましょう
おうちにミニトランポリンを置いてムズムズしてきたらそこで発散する、という方法もいいですね
丸洗いでき、親も楽しめるおすすめトランポリン→おうちでトランポリン
体をさすったり押したりして適度な感覚を入れることで、動きたい欲求をコントロールできることもあるよ!
くどくどと叱らない
人の話を集中して聞くのは苦手なので、話が長くなると、後半はほとんど聞いていないということにもなりかねません
叱るときは、一番大切なことを端的に伝えるようにしましょう
伝わりやすく褒める
褒められることで自尊心を保つことができますが、本人が褒められたと感じなければ意味がありません
子どもに伝わりやすいように「〇〇して偉かったね」と具体的な好意をあげて褒めるようにしましょう
また、他の子と比べるのではなく、今、出来ていることや本人の少し前と比べて良い変化を認めていくことが大切です
まとめ
今回は注意欠如多動性障害(ADHD)の関わり方のポイントを解説してきました
今回の記事の要点をまとめると、ADHDの特性としては以下の3点があります
そして、この特性を踏まえて、上手に関わっていくコツは以下の8点です
最後までご覧いただきありがとうございました
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