最近、子どもの健診を行っていると、食事に対してこだわりが強く、食べられる食材が少ない幼児が増えていると感じます
普通の偏食と違い、食べられる食材がかなり少なく、食べない時もあるなど、ご家族は心配な日々を送っています
こだわりが強いのには、様々な要因があり、要因にあった対処を行う必要があります
ここでは、よくある状態とその対応の一部をご紹介させていただきたいと思います
こだわりが強くなる要因
口腔機能的な問題
成長や運動の発達が緩やかなことから口腔の機能の発達が遅れていたり、自然に獲得していくはずの口の動きが獲得できないなどの理由でうまく食べられないために食べることへの印象が悪くなり、安心できる同じ食材ばかり食べている子は多く存在します
例えば、舌の送り込みの弱さから、ミルクやヨーグルト、同じベビーフードしか食べない
また舌圧が弱く丸呑みになったり、刻んだ食材を送り込めず、おかゆに混ぜたり、舌が左右に動かせず噛めないため、ご飯や納豆ご飯、パンなどをもごもごと飲んでいることもあります
噛めてもすり潰しができないため、硬いものや繊維質のものが食べられず、ハンバーグやポテトなど噛みやすい物を好んで食べているのもよく見られます
口・舌の発達の遅れ→柔らかい同じ食ばかり食べる
感覚的な問題
感覚過敏 | 食感、匂い、味などに嫌な印象を持ち、食べられない |
感覚鈍磨 | 柔らかい食感、低温、味の薄さなど刺激の少ない食材に反応できない、美味しく感じない |
視覚 | 色や形が変わったり、食材が混じることで食材がわかりにくい、記憶しにくい |
栄養的な問題
活動、筋肉量、緊張感の状態により一般的な年齢の必要エネルギー量よりも少ないことが多いため、少食を心配し、食べやすい物を多く与え、食べられる種類を減らしていることもあります
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噛みやすい炭水化物やお菓子等は、少量でエネルギー量が高いから、エネルギーは充足しているけど、他の栄養が不足し、噛む力もついていないこともあるよ!
食へのこだわりの対応の仕方
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食べてもらいたくて、子どもの好きな感覚にあわせ過ぎてしまうと、より強い感覚を求めるため、悪化してしまうよ!
安心して食べ始めるまでは、苦手な感覚を減らし、好きな感覚のものにしていきます
落ち着いてきたら、空腹を作りその際に好きな感覚を少しずつ減らし、苦手な感覚も入れていくことが必要です
口腔機能的な問題に対して
ミルクや牛乳、ヨーグルト、同じベビーフードばかり食べている場合は、体重や水分を管理しながら現在とっている食材の量を調整し、食事の形状を現在食べているものに近づけて作ります
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味にこだわりがある場合は、同じ味のもので量を増やしてから、少しずつ変化をさせ種類を増やしていくよ!
ミルサーで回した食材の粘りが苦手なことが多く、とろみ剤を利用した方が食の進みが良いことがあります
離乳食中期で進んでいない
おかずは、食材を圧力鍋などでかなり柔らかく煮るか、難しい場合は細かく刻み、とろみ剤や片栗粉でとろみをつけ、まとまりのある形状に作ると受け入れがいいです
離乳食後期・完了期で進んでいない
現在食べている噛みやすいものの量を少しずつ調整し、噛むとカリカリ砕けやすいものに変え、種類や量を増やします
舌の左右の動きが不十分な場合はボーロや赤ちゃん煎餅、スナック菓子等を介助者が手に持って歯に当てる練習をしましょう
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すぐに飲んでしまう、噛む力が弱い、すり潰しができない場合は、ガーゼに食材を包んで噛む練習をするか、カリカリ食を利用するといい場合もあるよ!
感覚的な問題に対して
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子どもたちはさまざまな感覚で目の前の食材が食べられるか判断しているよ!
経験上では、「感覚で選ぶ」「形態で判断する」「慣れた物を食べる」の3つのタイプに分けて対応していくとわかりやすいです
カリカリとした食感のものの方が受け入れが良く、食材の種類を増やしたり、感覚を広げやすいです
温めたりふりかけをかけたりしないと食べられない、ジュースしか飲めない、味が濃くないと食べられない場合は、刺激が強くないと美味しく思えなかったり、口がうまく動かないことが多いです
その部分だけ直そうとすると、食べたり食べなかったりを繰り返します
空腹を作り、食生活全体を感覚の強いメニューから感覚の弱いメニューに少しずつ変えていくと、刺激の少ないものの受け入れが良くなる
ふりかけや温める上限を施設や家で統一しながら減らしていくと、みんなと同じものが食べられるようになることが多いです
飲み物も濃度を1日で統一し、それを平気で飲むようになったら白湯を10mlずつ入れ替えていくとお茶や水が飲めるようになることが多いです
栄養的な問題に対して
家庭では、食べない時もあるので、食べる量が不足していると思い、食べる時になるべく食べさせたり、欲しがる時にあげたり、遊び食べをしていることも多いです
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子どもたちは食事は欲しい時にもらうもの、ウロウロして食べるものと誤学習していることも多いよ!
食べたがる時などに多く与えると、食べない時ができるため、食事量の上限を決めて、決めた時間以外はお茶、水以外はあげないようにしていくと、食材の種類を増やすことにつながります
他にも、間食は1日1回100kcalまでに段階的に減らし、決めた容器に入れて、無くなったら終わりというようにわかりやすくすしましょう
栄養バランス
1食に赤(肉や魚など「血や肉を作る食品」)・黄(ご飯やパンなどの「働く力になる食品」)・緑(野菜や海藻など「体の調子を整える食品」)を揃えます。
黄グループは幼児でご飯は1回に100g程度にしていく(必要エネルギー量の少ない場合は50gぐらいになることもあり)。
赤グループは、肉、魚、豆腐など合わせて1回に用事で40g程度、乳製品は段階的に1日200g程度にしていく
ただし、この場合は、水分量に注意しましょう
緑グループは食べられるものが少ないので、ポテトなど同じものばかりでもいいですし、前に食べたことがあるものなどを残してもいいのでつけるようにしますが、1食材の量が多すぎないように気をつけます
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家族と同じ料理を少量見せるだけ置くようにしよう!
同じ食材だとわかるとあげていないものにも手が出るようになるためと自分の食べるものと認識してもらうためです
混じり合った料理は食材ごとと自分の食べるものと認識してもらうために盛り分けます
物の名前を覚えられる場合は、食材カードを利用します
駆け引きができる状態になったら、お皿には子どもの状態に合わせ少量盛り、残りを別皿に避けておき、空っぽにできるようになったら褒め、盛り付け量を増やしていきます
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お皿が空っぽにできたら、シールやはなまるを表につけるなど、頑張ったことがわかるようにすると励みになるよ!
こだわりへの対応の注意点
実年齢に対する支援をすると、怖がって食べることが嫌になったり、反対に本人の意向に合わせすぎると出来ることがいつまでも増えなかったりするので、発達年齢にあった対応をすることが必要です
こだわりの強い子は、新しいことや変化が苦手です
安心感を得るため、好きなものから少しずつ変化させていかないと受け入れにくく、個別対応が必要なことが多い
偏食が治って、食べられる種類が増えても体重が成長以上に増えたりせず、カウプ指数も多くならないことがよくあります
必要なエネルギー以上に多く食べると、他の時間や他の日に食べないなど、むら食になりやすく、偏食を治すのが難しくなります
朝昼晩の3食と間食の量と時間をわかりやすくし、好んで過剰に食べているものの上限を少しずつ決めていくと、食べられる食事の種類が増えていくので、エネルギー量や体重の管理が必要になります
・発達年齢に合わせた対応
・その子のペースに合わせた個別対応
・特定の好きなものの量の上限を決める
こだわりへのアドバイス
多く食べる時があるとむら食が治らないので、安定して食べる食事量の上限やカウプ指数を見つけていくようにします
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食材の種類を増やすこと、噛む力をつけることを意識することが必要だよ!
ただ種類を増やすのではなく、将来給食に出る料理や食材を念頭に置くことが、みんなと同じ物を食べることにつながります
まとめ
子どもの状況を考えているだけだと、本当の原因を見つけることが難しいです
保護者に負担はありますが、食事記録をつけることが効果的です
食生活が良くない状態でも、長年苦労して工夫してきた結果ですので、自分を労う気持ちを持ち、集団生活に対応していくためのステップと考えていきましょう
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