食べ物の誤嚥や食べ物で窒息する機会は、少なくありません
実際に救急車で運ばれた重大な事故が1回あったとすると29回の軽度な事故が隠れており、300回のヒヤリ・ハットがある可能性があります
では、どうすれば防げるのか、または、どのように気をつけるべきかを説明していきます
誤嚥・窒息とは
誤嚥は、気管より下に異物が入ること
詳しく説明すると、喉頭を経由して気管(肺)に異物が入ってしまった状態が誤嚥です
喉頭の声帯上で止まった場合は、喉頭侵入と言います。
通常、喉頭侵入した場合や誤嚥した場合は、すぐに咳反射が起こり侵入した食べ物は出ていきます
窒息は、何かが喉に詰まって呼吸ができなくなること
今回は、誤嚥や窒息の原因を食べ物に限定して説明します
子どもの食べる機能の発達
原始反射
生まれてすぐは、哺乳に関する原始反射があるため、不随意運動で母乳や育児用ミルクを飲んでいます
哺乳に関する原始反射は、生後5〜6か月で減弱しやがて消失します
離乳食の開始
哺乳に関する原始反射が消失し、スプーンを舌で押し返さなくなってきたら、離乳食の開始です
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離乳食の進め方では、舌の動きが重要になるよ!
5〜6か月
生後5〜6か月になったら、離乳初期食から初めていきます
舌の動きは随意的に前後しか動きません
食事の形態はペースト状です
7か月
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生後7か月になると、口腔内で食べ物を処理できるようになってくるよ!
処理の仕方は舌が上下に動くようになるため、口蓋(上顎)と舌での押し潰しです
食形態は、中期食に移行し、舌と上顎で押しつぶしができる固さになります
9か月
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生後9か月になるとより巧みに食べ物を処理できるようになるよ!
舌や下顎は上下方向斜めと複雑に動き、歯茎で噛み潰せるようになります
食形態は、歯茎で噛み潰せる固さです
12か月以降
12か月以降になると、歯茎ですりつぶせるように動きが器用になります
そして、1歳4か月以降に第一乳臼歯が生え始め、適した食形態が歯で噛み潰せる固さに変わっていきます
その後、食べる機能は習熟していきます。ここに示した全ての月齢はあくまでも目安ですので、子どもの機能を確認して進めてください。
口角の動き
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口角(上唇と下唇がぶつかる口の角の部分)の動きの確認も重要でだよ!
中期食を処理するときは、口角が力強く左右対照的に動きます。
後期食を処理するときは、歯茎で潰している方に口角が引かれて左右非対称な動きになります
乳幼児期の歯
次に、食べる道具の「歯」について説明します
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乳歯は、上下左右で20歯生えてくるよ!
食べ物をかじりとるための乳中切歯と乳側切歯は目安で11か月ぐらいまでに生えてきます。
第一乳臼歯は目安として1歳4か月以降に生えてきます。
その後、数か月後に乳犬歯が生えてきます。
第二乳臼歯は2歳3か月以降に生えてくるので、第一乳臼歯が出てきてからちょっと時間が空きます
食べ方
食べ方については、手掴み食べが始まるのが8〜9か月ぐらいから(手掌把握から手指把握に移行する時期)です
その時期は、かじり取る歯は、生え始めた程度であり、また経験不足も含めて手と口の協調運動が不全でかじりとりが出来ないため、一口量の調整が難しい時期になります
2歳:スプーンを裏返すことなく口にスプーンを入れられる
2歳6か月:スプーンからこぼすことなく食べられるようになる
スプーンの選び方
スプーンの横幅は、口の幅の3分の2以下が目安です
深さは、捕食時の上唇の動きによります。
離乳食をスプーン先端に入れて、下唇の上におき、上唇が降りて捕食したあと、床と水平ぐらいにスプーンを引き出す時に、スプーンのボウル部に離乳食が残らない程度の深さが目安です
窒息・誤嚥予防のための配慮事項
確認するポイントとしては、上記の「食べる機能と食形態があっているか?」とこれから説明する「食べる一口量と食べるペースに問題ないか?」です。
一口量
まず、一口量についてです
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口の中で、舌と上顎で押しつぶす、歯茎や歯で噛み潰す動きがスムーズにできる量が適切だよ!
本人に適したスプーンの先端量が良いです
一口量が多すぎると、口の中で分割して飲み込むことができず詰まらせる(窒息する)リスクが高まる
例えば舌と上顎で押しつぶすのに適した食形態を食べ物の高さや幅が大きいまま与えると、処理不十分のまま嚥下してしまい、詰まらせる原因となります
また、歯茎や歯で噛み潰す食材を、舌や歯や歯茎の上に乗せられないくらいの大きさで与えると、舌が側方に動きづらいため、食材の端っこを噛んで削るか、なんとなく押し潰して、処理不十分のまま飲もうとして詰まらせることになります
食べるペース
食べるペースの問題は、口の中にまだ食べ物があるのに詰め込んでしまうことです
ペースが早いと、口腔内での処理が不十分なまま飲み込んで詰まらせます
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口の中に食べ物を溜め込む場合については、処理ができず、しかし飲み込めず、口からも出さずの状態かもしれないよ!
溜め込みすぎて少しずつ処理している場合は、要注意です
食形態、一口量と食べるペースを確認しましょう
処理できない食べ物を口から出す子は、良い意味で安全な子です
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好き嫌い以外の原因で、食形態や一口量があってないから口から出す時もあるので、そのようなときは、食形態と一口量に注意しよう!
食事の困りごとへの対応の具体例
一口大にしたのに詰まらせた
Q:8か月の男の子。
クリスマスに保護者と街のイベントに参加した。
来場した子どもには、フライドポテトが配られた。
今まで食べたことがなかったので、保護者は一口大にちぎってあげたら、手のひらで詰め込んで、詰まらせて吐いた
原因:食形態があっていなかった。一口大にした配慮は良かったが、フライドポテトは押しつぶしただけでは処理ができない
コメント:手掴み食べが始まる時期は、たくさんの感覚を入れてあげたい時期です。
手掴み食べをさせるときは、一口大の大きさで練習させましょう。
練習には、口の中に入れたら唾液で溶ける食品が良いです。
うまく掴めない食べ物は、手のひらで口の中に詰め込みやすいです。
また、すぐに咽頭に滑り入りやすい食材にも注意しましょう
器用に食べていたのに詰まらせた
Q:10か月の男の子。
家で手作りパンケーキ3×3cmをおやつに与えた。
手掴みで食べていた。口からパンケーキが出そうになると器用に手のひらで口の中に押し込んで食べていた。
目を離した時に、咳き込む様子があり、詰まらせて吐いた
原因:一口量が大きかった。まだ手掴みでかじり取る経験が少ないため、パンケーキを詰め込んでしまった
コメント:手のひらで押し込んでいたことから、かじりとりできず一口量が大きかったことが考えられます。
日常的に後期食を食べている場合は、舌が側方に動いて処理しやすいように、一口大に注意すれば問題ないことが考えられます。
かじり取りができるようになっても、かじり取った最後の食べ物を詰め込んでしまう場合もあるので、気をつけてください
食べた後に動いたら詰まらせた
Q:1歳4か月の女の子。
食後に家でくつろいでいた。
机の上にあったブドウを見つけて欲しがるため、剥いたブドウを立ったまあげていた。
その後、部屋を歩き回って遊びながら、ブドウを食べていた。
急に立ち止まって静かになり、詰まらせて咳き込んで吐いた
原因:動いていたため、口腔内での処置不十分のまま、咽頭に落下し、剥いたブドウが咽頭侵入して、声帯を塞いだ
コメント:口腔内に食べ物がある時に動き回ると、不意に食べ物が咽頭侵入し窒息するケースもあります。
より小さい形態であれば、誤嚥して窒息するケースもあります。
食べる環境にも注意しましょう
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想定例では、結果として吐き出してるけど、飲み込んだ量が多くて咽頭部で窒息、または不意に咽頭に落ちて咽頭部や声帯上で窒息してそのまま救急搬送となることもあるから気をつけよう!
まとめ
安全に配慮しながら乳幼児の食べる機能の発達を促すことが重要です
規則正しい食習慣のほか、窒息や誤嚥の予防には、食べる機能と食形態、そして食べ方の確認が重要です
無理せず子どもの食べる機能を育んできましょう
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