「性教育」にどのようなイメージがありますか
「触れたくない」と思う人が多いと思いますが、性教育はとても大切な教育です
この記事では性教育の必要性から日本の現状、また、諸外国の現状をお伝えしていきます
性教育はなぜ必要なのか
「性教育」は特別な教育ではなく、人が生きていく上で必須の教育
すでに諸外国では先進国を中心に、包括的性教育と言われる、単なる性や生殖、避妊といった狭義の性教育に限らない、人との関係性や権利、セクシュアリティ、ジェンダー、健康など多岐にわたる厚みのある内容の性教育が標準化されています
人間はさまざまな組織やコミュニティに属して多様な性、人種、価値観、立場の異なる人々と関わっていく中で他者を敬う気持ちや自尊心を育み、アイデンティティが形成されていきます
人と関わるスキルを上げる
生きているものは自分の子孫を残すための仕組みがあり、人では性交がその手段となります
しかし、人は他の生物と違い生殖を意図しない、特別なコミュニケーションとしての性交（性行為）も行います
相手の意思を尊重して同意を得て、良い関係性の中で性行為は行わなければいけません
従って「性教育」は、人が他者と関わりながら生きていくために必須であるスキルを学ぶ教育だね！
人と関わるスキルを身につけるためのも性教育はますます重要になっていくと感じています
性の知識がないことの問題
性に関する正しい科学的な知識がないままに性交経験を持つと、
・予期しない妊娠／計画していない妊娠
・性感染症
などの問題を抱えるケースが一定数出てきてしまいます
また、知識がなかったために加齢により妊娠しやすい時期を逃してしまった女性も少なくありません
子ども達の性の実際と性教育のカリキュラムに乖離があることが大きな問題だね！
日本の性教育の現状
今の日本の性教育では、性を否定的に扱う昔ながらの、いわゆる純潔教育が未だ基本的に行われているよ！
性をネガティブに捉えるように教育されてきた人たちに、成人したのちに子どもを多く産んでもらえるよう啓発して少子化対策を行っても、戸惑わせるだけでしょう
幼少期から発達段階に合わせて性や性行動を自然なこと、生きていくために必要なことだとポジティブに伝える性教育を行うことは少子化への対策としても必要なもの
学校での性教育
現在、小学校では主に体育科で、中学校・高等学校では保健体育科で性教育を実施していますが、性教育に費やす時間数の規定はなく、実際に配分される時間はごくわずかです
全国的に実施されているのは、小学校4年生で女子に対して月経時の対応方法を教える程度です
中学校では感染症全般の予防のところに「性感染症」の感染経路としての「性的接触」という言葉はありますが、性交については触れないことになっています
その要因は学習指導要領の「内容の取り扱い」に記載されている「はどめ規定」の存在です
はどめ規定
中学の保健体育科の学習指導要領に
「妊娠の経過は取り扱わないものとする」
という一文が書かれており、ここでいう妊娠の経過とは性交を指します
性交の結果妊娠することや性交・妊娠に関わる事柄としての「避妊」、「人工妊娠中絶」「母体保護法」などについては中学卒業までに教えないことになっている
また高校になっても性交・妊娠や上記の事項については「必要に応じ関連づけて教える程度」とされ、現実に即した学習や指導は行われていません
学校の教職員が学校現場で性に関する具体的な教育を行うハードルはすごく高いね！
専門家による派遣授業
最近では産婦人科医や助産師など専門家による派遣授業も行われつつありますが、「はどめ規定」による教材のチェックが入ることもしばしばあると聞いています
性交の現状
日本性教育協会は6年に一度「青少年の性行動全国調査」を実施し、中学生以上の若者の性交経験率などに関する調査を行っています
最新の2017年のデータによると、性交経験率は女子中学生は4.５％、女子高校生は19.３％です
およそ中学生で７万３千人、高校生で３２万６千人が性交経験者となります
これだけの人数の女子に予期しない妊娠や性感染症のリスクがあるにもかかわらず、適切な教育が行われていないというのは問題だね！
若年妊娠
2020年には、１５歳以下での出産は116件、人工妊娠中絶は411件でした
・妊娠に気付くのが遅かった
・気づいても誰にも相談できなかった
・医療へのアクセスが遅れ、２２週を過ぎて中絶ができなかった
実際十代と他の年代の人工妊娠中絶週数を比べると、十代は妊娠週数が大きくなってから中絶する傾向があります
正しい知識がないために、妊娠に気付くのが遅れたり、医療にアクセスできなかったりする状況がわかるね！
性交同意年齢
性行為について同意を判断できるとみなす年齢を「性交同意年齢」と言い、日本では法律（刑法）によって16歳と規定している
１6歳以上ならば性行為に関して判断能力があるとみなされているんだね！
性交同意年齢を16歳とするのなら、本来は１5歳までに性交に関する教育を全て修了しておくべきなのに、実際の日本では15歳で性教育が終わるどころか、中学卒業までに性行為について教えていません
海外の現状
海外では、性教育の実施に際しては、他の教育科目と同様に公的なカリキュラムを定めたり、法律で性教育を義務化していたりする国も多いです
・性交開始年齢が遅くなる
・性感染症予防や避妊行動が増加する
・若年者の妊娠・出産数が減少する
さらにこうした国々では、性交同意年齢の前に性教育を終えるように、実態と教育にギャップが生じないように定めています
家庭内での関わり方
愛し愛される体験
就学前までは家庭内での関わりが子どもの中で大きなものになるよ！
この時期に「あなたは愛されて生まれてきたんだよ」ということを繰り返し伝え、子ども自身が愛される大事な存在であることを十分にわかるように、愛し愛される体験をさせてあげて欲しいと思います
そうすることで周囲の友達も自分と同様に大事な存在であることを理解できるようになっていきます
多様な家族のあり方を教える
多様な家族のあり方があることも幼い時期から教えてあげて欲しいです
ひとり親や、日本では少ないですが同棲同士のカップルの家族もあるでしょう
大きくなってから理解させようとするのではなく、子どもが疑問に思った時に保護者がきちんと説明してあげることで、子どもは多様な家族の在り方や価値観があることを受け入れることができるよ！
学校での性教育との協力
就学後は、誰もが一定のレベルで同じように科学的に性について学ぶためにも、性教育の主体は学校が望ましいでしょう
まとめ
性教育は、自分と異なる価値観を持つ人が大勢いることを知り、そのような中で規則を決めてみんなで協力して生きていくスキルを学ぶ教育だよ！
また、自分が嫌な時は嫌とキッパリ断ることのできる自己決定能力を磨くことが一つの大きな目標だと思っています
人と人がより良い関係性を築くための教育として性教育を発展させていって欲しいと願っています
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