少子化が進む一方で、高齢出産化が進んでいます
高齢出産では各種リスクが上がったり、出産後の抱える問題もあります
この記事では、高齢出産と更年期について解説していきます
高齢出産の現状
少子化が進む一方で、女性の高学歴化や就業率増加に伴う晩婚化によって出産年齢は上昇傾向にあり、高齢出産化が進んでいます
何歳からが高齢出産かは議論も多いですが、日本産科婦人科学会では35歳以上で初めて出産する場合を「高年初産婦」と定義しており、一般的にも35歳以上を高齢妊娠・高齢出産と呼ぶことが多いです
なお、2021年度人口動態統計をもとに「母の年齢別に見た出生数」の推移を見ると、高度成長期以降は20代の出生数は低下し、30、40代の増加が続いています
更年期
高齢出産の女性は産後の回復が長引き、この時期が更年期への移行期と重なるため、子どもが小さい子育て真っ最中の多忙な中で、更年期症状に苦労している女性も増えているよ!
更年期とは女性の加齢に伴う生殖期から非生殖期への移行期であり、閉経前後の約10年間
我が国の女性の閉経年齢は中央値が52.1歳であり、平均寿命が伸びが現代でも、女性の閉経年齢は昔からほとんど変わらない
症状
症状は非常に多様であり、どのように起こるかは個人差も大きいです
その症状は200種類以上とも言われています
身体面 | ホットフラッシュや動悸、急に体が暑くなったり寒くなったりする |
感情面 | 不安感や焦燥感 |
交感神経の緊張 | イライラ、息切れ、不眠や頭痛 |
副交感神経の抑制 | 胃腸の調子が悪い、便秘、下痢、無力感や集中力低下 |
原因
更年期症状の出現には、卵巣機能衰退による内分泌環境の急激な変化という身体的要因が重要な鍵となります
卵巣機能の低下
↓
女性ホルモンのエストロゲンが欠乏
↓
これまで視床下部ー下垂体ー卵巣系のフィードバック機能で調節されていた内分泌環境のバランスが崩れる
さらにこの視床下部内の内分泌系中枢への影響は、同じ視床下部内の自律神経系中枢や免疫系中枢にも影響します
更年期症状と自律神経の乱れ様症状がよく似ているのは、こうした理由によると考えられています
更年期障害とは
更年期障害とは、更年期症状の中で日常生活に支障をきたす病態
なお、女性ホルモンの急激な減少は誰でも起こりますが、更年期症状の深刻さに個人差があるのは、更年期障害の出現は身体的要因のみならず、性格傾向やイライラや落ち込みに対するストレス耐性などの精神・心理的要因と、子育て、仕事での立場や人間関係や介護負担の様な社会環境的要因の3要因が複雑に絡み合って起きているからです
従って、子どもとの関係、自身の仕事の立場、パートナーとの関係、介護、経済的な負担などの生活環境の変化によるストレス・疲労によって、更年期女性は心身の状態に多大な影響を受けるね!
更年期障害の程度は、精神・心理的要因、人間関係、社会環境的要因によって決まる
更年期障害の程度を調べる
更年期障害の程度の把握には、簡易更年期指数による評価法の使用頻度が高いです
簡易更年期指数は10項目の各症状に対し、点数を選び、合計得点から更年期症状の程度を判定します
例えば51〜65点では
<更年期ー閉経外来で生活指導、カウンセリング、薬物療法を受けた方が良い>
という様に、合計得点によって必要な保健行動が解説されています
母親の疲労と高齢出産
分娩による身体的影響が残るのは通常産後3〜6ヶ月くらいまでとされています
母乳と月経の関係
出産後に月経が再開する時期は、母乳で授乳中であるかどうかに影響される
授乳中は乳汁分泌ホルモンのプロラクチンによって卵巣の働きにブレーキがかかるため、月経を見る人は少ないです
この産後の月経の再開には個人差がありますが、通常は授乳を中止(卒乳)すると2〜3ヶ月で再開します
高齢出産した女性の場合、産後の身体の回復が遅いこともあり、卒乳後もなかなか月経の再開を見ず、中にはそのまま閉経する場合もあるよ!
育児疲労
産後の女性は、分娩による身体的影響がある中で母親役割を担い子育てを行うため、心身両面に影響が蓄積され、子育て期は長期にわたって疲労を経験します
産後・子育て期の疲労は眠気、だるさ、集中困難など様々な人食い的で主観的症状による不調が出現します
6歳までの乳幼児を持つ30歳以上の母親へ調査した結果では、主観的な疲労の程度は入院中の産褥早期よりも育児期が高く、また、産後6ヶ月以降はそれ以前よりも高い水準で継続しており、さらに、この時期の疲労と更年期症状とに関連がある事が報告されています
ここで問題なのは、子育て期の母親の多くが疲労による不調を経験していることだね!
疲労の原因となる我慢
女性は隠れ我慢を続けると体調の悪化を招くにもかかわらず、母親が疲労するのは当たり前とされる風潮があり、女性は我慢して家事、子育て、仕事をしています
母親が疲労を我慢するのは、日本の母親特有の心理やジェンダー事情が根強くあるからです
しかし、我慢をしていても周囲の理解を得られないため母親はどうしようもなくイライラするなど、母親自身も疲労のコントロールがなかなかできない現状があります
更年期と子育てへの対応法
更年期ロスを防ぐ
子育て中の家庭内に問題が生じた場合、これまで生活を変えざるを得なかったのは、多くは更年期女性側であり、そのストレスが更年期症状にさらに影響する場合も多いです
(↓登録だけでもしておくと、いざという時にすぐ使えて便利です)
ヘルスリテラシーを高める
子育ての忙しさを更年期が重なることによる体調の悪化を予防するには、ヘルスプロモーションの視点から女性自身が健康行動に対するヘルスリテラシーを高める必要があります
すなわち、女性自身が、
①女性の健康について学び、更年期に起こる症状の知識を得ることで、更年期症状の軽減に重要な力となる
②セルフメディケーションの考えを持つ。
セルフメディケーションは、自分で主体的に自身の健康をコントロールすることであり、自分の健康は自分で守り、上手に付き合っていき、よりよく過ごすことである。
自身の身体と心は誰のものでもなく自身のものなので、自分の健康に関心を持ち、自身の健康をセルフチェックする健康管理行動を持つ。
最近はアプリによる女性の健康測定やフェムテックの考案も進んでいる
③更年期症状と疲労の軽減に効果があるセルフコントロール法を習得し、生活の中に取り入れ、自身の不調をコントロールしていく姿勢を持つ。
更年期症状と疲労の軽減に効果あるセルフ認知行動療法やリラクセーション法、イライラなどの怒りの感情に対するアンガーマネジメント(6秒ルール)などがある
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