胎児の正常な発育のためには、母体からの十分な栄養供給と、母体の適切な妊娠環境の維持が必要となります
そのため、妊娠中の栄養摂取についての知識をつけることは大切です
この記事では妊娠中の食生活と胎児の成長との関係を解説していきます
妊婦の栄養摂取と胎児の成長
体重増加が著しく少ない場合は、在胎不当過小児分娩及び早産による低出生体重児分娩のリスクが高く、体重増加が著しく多い場合には、在胎不当過大児及び巨大児分娩のリスクが高まるよ!
また、妊娠中の栄養状態は、児の将来の健康に影響することが注目されています
DOHaD学説
胎児期から乳幼児期における環境因子が成人における疾患のリスクに影響を及ぼすというDOHaD学説が提唱されています
妊娠中に低栄養環境→胎児は省エネルギー体質を獲得→出生後の飽食というミスマッチがある場合、将来の生活習慣病発症リスクが増加
妊娠中に高栄養環境でも児の生活習慣病発症リスクが高い
このような背景から、妊娠中の適切な栄養摂取は、胎児の成長及び児の長期的な健康のために重要です
妊娠中の食生活
妊娠中に限らないけど、バランスの良い食事を取ることが大切だね!
妊娠初期に妊婦の栄養バランスが整っていると、出生体重が最も大きくなると言われています
「妊産婦のための食事バランスガイド」などを活用するのも有効です
摂取エネルギー
日本人の食事摂取基準では、妊婦の1日あたりのエネルギー摂取量は、健康で普通体格妊婦においては、
妊娠初期:+50kcal
中期:+250kcal
後期:+450kcal
授乳期:+350kcal
が目安とされています
不足しがちなもの
葉酸
妊娠中に不足しがちなものとして、葉酸があるよ!
神経管閉鎖障害発症リスク低減のために、妊娠の1ヶ月以上前から妊娠12週までに400μg /日の摂取が必要とされていますが、食事からこの量を摂取することは難しく、調理によって活性が失われやすいため、栄養機能食品やサプリメントの利用が推奨されます
鉄
妊娠中は胎児及び臍帯・胎盤への鉄貯蔵、循環血液量の増加に伴う赤血球の増加による鉄需要の増加があり、非妊娠時に比べて必要量が増加します
赤み肉や魚など鉄を含む動物性食品を上手に取り入れよう!
ビタミンD
菜食主義者や日光暴露の少ない妊婦では、母体のビタミンD欠乏により、新生児カルシウム血漿や頭蓋ろう、くる病のリスクが上昇します
魚類やキノコ類などのビタミンDを多く含む食品を取り入れよう!
摂取量に注意が必要なもの
ビタミンA
摂取量に注意が必要なものとして、ビタミンAがあります
これは上皮細胞や器官の成長や分化に関与するので、妊婦にとって重要なビタミンですが、過剰摂取により先天奇形が増加することが報告されており、上限量が3000μRE/日とされています
妊娠を計画している方や妊娠初期は、レバーなどのビタミンA含有量の多い食品や、ビタミンAを含む栄養機能食品の大量摂取は避けましょう
水銀
なお食物連鎖の上位にいる魚介類は、他の魚介類に比べ水銀濃度が高いものが見受けられ、摂取量に注意が必要なものがあります
魚介類は妊娠期のバランスの良い食事に欠かせないものですが、週単位や月単位で摂取量を調整して、水銀量が増えすぎないように工夫しよう!
妊娠中の適正な体重増加について
妊娠の維持、胎児発育を得るためには適切な体重増加が必要です
生理的には、胎児や胎盤、羊水、循環血流量の増加、母体の蓄積などから、約10キロ増加します
また、妊娠前の体格により周産期リスクが異なるため、妊娠前の体格で推奨される体重増加量が異なります
まとめ
妊娠中の栄養摂取は、胎児発育及び児の将来の健康のために重要です
具体的な栄養素の摂取や新たに公表された体重増加の目安を参考にし、適切な栄養状態が取れるようにしていきましょう
また、個人差を配慮して適切量を知ることを心がけることも大切です
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