出生前遺伝学的検査や遺伝カウンセリングという言葉は聞いたことがあっても、実際に経験した人は少ないです
そのため、情報を得たくてもなかなか知れない人が多いです
この記事では、遺伝検査やカウンセリングを迷っている人に向けて、遺伝検査の基本情報から対象となる人まで解説していきます
遺伝検査の前に知るべきこと
出生前遺伝学的検査は、必ずしもすべての妊婦に必要とされる検査ではないです
また、出生前遺伝学的検査には、非確定的検査と確定的検査とがあり、妊婦とそのパートナーは、検査前の遺伝カウンセリングで検査の意義を十分に理解して検査を受ける必要があります
また、すべての妊婦は、生まれてくる子が健康であることを願っていますが、罹患児であるからといって、すべての妊婦が人工妊娠中絶を選択するわけではないです
従って、出生前遺伝学的検査の前後には遺伝カウンセリングが必須とされ、検査の適応についても遵守されなければならないです
遺伝カウンセリングは必要?
出生前遺伝学的検査では、カップルは妊娠している胎児の利益・不利益を考えて、検査を受けるのか否か判断します
検査を受けて胎児が罹患児と診断された時、カップルは短期間のうちに自身ではなく胎児の生死に関わる重大な選択を自己決定しなければならないよ
出生前遺伝学的検査は人工妊娠中絶につながる可能性もあり、特に胎児が罹患児と診断された時、両親の判断は胎児の利益とは必ずしも一致するとは限らないです
妊婦が胎児の遺伝学的検査を希望した時、遺伝カウンセリングを通じて、カップルが遺伝性疾患について理解し、妊娠中の胎児についてよく考えて、胎児の何を、いつ、どこまで、どのようにして知りたいのか、自身の不安や悩みを本当に解決し得る選択肢を自己決定できるように支援されるべきです
出生前遺伝学的検査の遺伝カウンセリングでは、まずカップルの思いを話すことが大切であり、「出生前診断を受けない」という選択肢を必ず持つことを忘れてはならないよ!
非確定的検査と確定的検査
カップルが「出生前診断を受ける」という選択をした時、その検査法には「確定的検査」と「非確定的検査」とがあります
確定的検査
確定的検査は妊娠中の胎児が罹患児であるのか否か診断を確定する検査
非確定的検査
非確定的検査は妊娠中の胎児が罹患児である可能性を推定する検査である
非確定的検査で陽性と判定された時、妊娠中の胎児が罹患児か否かの診断には確定的検査が必要
NIPT(母体血での胎児染色体検査)
NIPTは、非侵襲的検査だけど非確定的検査だよ!
対象となる妊婦
NIPTの対象疾患は、13トリソミー、18トリソミー、及び21トリソミーであり、NIPTの受検は対象疾患の発生頻度が高くなる状態の妊婦で考慮されます
また、対象疾患の発生頻度によらず、適切な遺伝カウンセリングを実施しても胎児の染色体数的異常に対する不安が解消されない妊婦については、「十分な情報提供や支援を行なったうえで受検に関する本人の意思決定が尊重されるべきである。」と記されています
このような状態の妊婦に必ずしもNIPTを受検する必要性があるわけではないよ!
遺伝カウンセリング
遺伝性疾患について不安や悩みを抱える妊婦には、認証医療機関での遺伝カウンセリングを通じた情報提供が大切です
認証医療機関には基幹施設と連携施設とがあり、それぞれの周産期医療圏で完結できる遺伝医療体制が構築されています
従って、連携施設の産婦人科医がより専門的な説明やカウンセリングが必要と判断した場合には、妊婦とそのパートナーは必ず臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングを受けることができます
このことはNIPTの遺伝カウンセリングを認証医療機関で受けるメリットの一つです
NIPTは、ますスクリーニングとして一律に実施されるものではなく選択肢の一つであることを説明し、自律的な意思決定を促さなければなりません
また、母体年齢が低下するほど陽性的中率は低下し、偽陽性例が増える等の検査の限界を十分に説明し、カップルが理解する必要があります
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