乳幼児のアレルギー治療

昔と今ではアレルギーに関する情報や環境が大きく異なります

昔は正しいとされていた知識が今では誤っていることも多々あります

この記事では、現在のアレルギーの情報や治療について解説していきます

環境の変化によりアレルギーが増加

一般的にアレルギーと呼ばれているのは「1型アレルギー」と「4型アレルギー」のことです

子どもに多いのは「1型アレルギー」で、外界から、何らかの異物が体内に侵入してきたとき、生体がIgE抗体という物質を産生して体内から異物を排除しようとします

カバさん
カバさん

体を守ろうとするその働きが強すぎると自分の体も攻撃し、様々なアレルギー疾患を起こしてしまうんだね!

アレルギーの過去と今

日本を含む先進国でアレルギー疾患が急増したのは1970〜80年代のことです

気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻結膜炎(花粉症を含む)といった疾患が増えました

ところが21世紀になると、喘息や皮膚炎の増加はほぼ横ばいか微増にとどまり、代わりに食物アレルギーとそれに伴うアナフィラキシーが増えてきました

医療の変化

このように疾病構造が変わってきた背景には医学の進歩や育児の変化などがあります

気管支喘息とアトピー性皮膚炎は、診療ガイドラインが普及し、ステロイド薬を適切に使えるようになって症状コントロールが劇的に改善されました

これらの疾患で入院加療しなければならない子どもは近年、激減しています

育児の変化

一方で、食物アレルギーが増えてきたのは離乳食を始める時期が遅くなったことと関係しています

早くから離乳食を食べると、経口免疫寛容(口から入った食品を体が異物と認識せずに受け入れられるようになること)が誘導されて食物アレルギーを起こしにくくなるのですが、離乳食の開始が遅くなると、それだけ経口免疫寛容の機会が失われるのです

カバさん
カバさん

食物アレルギーも増えてくるね!

生活の電化が進むほどに、アレルギー疾患は増加します

一例ですが、生活が電化される以前、どの家にも煮炊きをするための土間がありました。
土間の土の中には様々な細菌類が生息し、それらから放出されるエンドトキシンなどの刺激物に曝露されることによって人の体内では免疫を抑制するTレグ細胞が強化され、アレルギー体質になるのを防いでくれる仕組みがあります

アレルギー治療

食物アレルギーや花粉症は原因となるアレルゲンを回避すれば何もアレルギー反応は起こりません。
しかし、気管支喘息やアトピー性皮膚炎は、気道や皮膚に慢性的なアレルギー炎症があるので、この炎症を抑えることが治療の基本となります

カバさん
カバさん

まず炎症を抑えておかないとアレルギー反応が起こりやすくなり、悪循環に陥ってQOLが低下しちゃうね!

また、先に述べたようにステロイド薬が適切に使われるようになり、多くの子どもはこの治療だけで根治に近い状態まで治せるようになりました

分子標的治療薬

一方で近年、アレルギー反応やアレルギー性の炎症反応が形成される複雑なメカニズムがわかってきました

分子標的治療薬は特定の箇所をブロックしてアレルギー反応やアレルギー性炎症が起きないようにする

カバさん
カバさん

分子標的治療薬はとても高価ですが、ステロイド薬で十分に炎症が抑えられない重症の子どもでも治せる可能性が出てきたよ!

子どものアレルギー疾患に対する分子標的治療薬は大人に比べると、まだ治験段階のものが多いです

しかし、気管支喘息やアトピー性皮膚炎では、重症者に有効なものがすでに販売されており、これからもたくさん出てきます

食物アレルギーの治験も検討されています

5〜10年先には、小児の重症者も今より症状コントロールができる時代がやってくるでしょう

免疫療法

最近は「免疫療法(減感作療法)」が見直されてきてきます

免疫療法とは、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ長期間にわたり投与することで免疫寛容の状態を作り出し、アレルギー反応を起こしにくくする治療法

アレルゲンに対する免疫反応そのものを改善するため、根治療法となる可能性があります

食物アレルギーの治療では、まだ研究段階とはいえかなり普及してきましたが、花粉症では歴史が長い割に普及率は低いです。
その理由として、まず患者が非常に多いこと、そして以前は皮下注射でアレルゲンを投与する方法が主流で、痛い思いをする上に頻回に通院する必要がありました

舌下免疫療法

そこで、新たに開発されたのが「舌下免疫療法」です

これは1日1回、アレルゲンのエキスを舌の下に含み、口腔内の血管から体内にアレルゲンを吸収させる方法です

カバさん
カバさん

痛い思いをせず自宅で手軽に治療でるけど、3〜5年の治療継続期間がかかるよ!

効果を感じるまでに時間を要するためモチベーションを維持することが難しく、1年経つと9割の人が治療を中断しているという国外のデータもあります

また、皮下免疫療法に比べて副作用は少ないと言われているものの、アナフィラキシーを起こす確率がゼロではありません

今後必要なこと

土と十分に触れ合うことのできない都会的な環境が子どもをアレルギー体質にしてしまうため、失われつつある先人たちの知恵も取り入れながら、もう一度、生活全体を見直すことが大切

今、サスティナブルな社会づくりを目指す機運が高まっていますが、こうした方向性ともリンクします

早期予防・早期介入

カバさん
カバさん

アレルギー対策では「早期予防・早期介入」が大切だね!

早めに対策を立てて頑張れば、重症化を防ぎ、その分だけ薬の強さと量を減らすことができるので、大変な思いをする期間が短くなります

長期間地道な治療を続けるのは大変ですが、半年や1年くらいなら頑張れるという人も多いと思います

これまでの研究で、荒れた皮膚に食物が付着すると、皮膚の免疫細胞がその食物を異物とみなしてlgE抗体を産生することがわかりました

カバさん
カバさん

つまり、湿疹や乾燥肌がひどい(アトピー性皮膚炎の初期症状を起こしている)乳児は食物アレルギーになりやすいよ!

プロアクティブ療法

そこで、予防策として行っておきたいのがアトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法です

離乳食の開始前に湿疹がある場合は、いち早くステロイド外用薬と保湿剤で治します

見た目の症状が良くなっても皮膚の下の炎症はしばらく続いているので、ステロイド外用薬を週に1回か2回継続し、湿疹のないスベスベの肌を維持します

スキンケアの基本は1日2回、全身に保湿剤をしっかり塗り、乾燥を防ぐ

よだれかぶれを起こしやすい時期(生後6ヶ月〜1歳半)には、よだれで肌が汚れる部分に白色ワセリンを塗り、かぶれを起こさないよう皮膚を保護します

日常生活における子どものアレルギー予防策についても、昔の常識を覆す論文が次々と発表されています

最新の確かな情報を入手し、それに従って対策を立ていきたいです

カバさん
カバさん

アレルギー疾患は正しい対処をすれば、必ず結果がついてくるよ!

まとめ

アレルギー疾患の子どものサポートにおいても、最も難しいのは保護者が自分自身の問題を抱えていて子どもの治療にエネルギーを注げない場合です

安価なステロイド薬で治るのに保護者が十分にケアできないため、病院で定期的に高価な分子標的治療薬の注射をやむなく選択することもあります

適切な予防や治療を行って悪化する前に対応していきましょう

(↓アトピー肌のために開発された入浴剤でおすすめです)

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