アトピーとスキンケアの最新情報

国内外の様々な研究を通して、乳児期からスキンケアを行うことでアトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどアレルギー疾患の発症を予防できる可能性が示唆されています

こうした流れの中、乳幼児に対しては全員一律のスキンケアでなく、子ども一人一人の皮膚の状態に応じたケアが必要とされています

この記事では、アレルギーとスキンケアの最新情報について解説していきます

スキンケアでアレルギー予防

スキンケアとアトピーの関係

これまでに国内外で様々な研究が行われてきましたが、スキンケアによるアトピー性皮膚炎の発症予防効果に関するエビデンスは確立されていません

一方で、新生児期からの保湿剤による継続的なスキンケアで乳幼児のアトピー性皮膚炎がある程度予防できることが叫ばれています

新生児期のTEWL(経表皮水分蒸散量)が高いとアトピー性皮膚炎を発症しやすいことが明らかになっていますが、保湿剤を塗布することでTEWLが低い乳児と同レベルまで発症を抑制できます

「全身に保湿剤を塗布する」ことが乳児期のアトピー性皮膚炎を予防する鍵

乳児湿疹への対応

カバさん
カバさん

食物アレルギーに関しては、乳児湿疹(アトピー性皮膚炎)のある子ども、特に生後4か月くらいまでに乳児湿疹を発症した場合は食物アレルギーの発症率が高くなることが世界中の様々な研究で明らかになっているよ!

乳児湿疹を発症したら自然に治るのを待つのではなく、ステロイド外用薬による治療を早期に徹底して行い、皮膚の状態を改善することが経皮感作を防ぎ、食物アレルギー発症を予防することにつながります

一方、スキンケアを行うだけでは経皮感作による食物アレルギーの発症を確実に防ぐのは難しいと考えられています

乳児期早期に専門医へ

カバさん
カバさん

アトピー性皮膚炎は生後2〜3か月頃から本格的に発症してくるため、この時期に皮膚の状態を確認することが重要だよ!

予防接種が始まる時期と重なるので、この機会に皮膚の確認をするのも良いでしょう

かゆみのある乳児湿疹が出ている場合はアトピー性皮膚炎の可能性が高いので、この疾患を得意とする小児科あるいは皮膚科への受診を促し、ステロイド外用薬による治療が適切に受けられるようにしましょう

乳児湿疹に対するステロイド外用薬の治療は専門性が高く、対応できる医師も限られています

カバさん
カバさん

適切な治療を行えばアトピー性皮膚炎だけでなく、食物アレルギーの発症もかなり予防できるため、乳児期早期に、専門医に繋がろう!

早期治療のメリット

早期に治療を受けることで重症化を防ぎ、子どもの心身の発達を妨げる恐れもなくなります

また、ステロイド外用薬の総使用量を最小限にできるメリットもあります

家でのスキンケア

かゆみのない乳児湿疹の場合は、乳児脂漏性湿疹やカンジダ性間摩擦の類に属するものが多くスキンケアによる対応が可能です

石鹸や保湿剤を適切に使いながら皮膚の健康を保つための方法を教えましょう

スキンケアのポイント

乳児湿疹やアトピー性皮膚炎の有無に関わらず、皮膚の健康を保つことは皮膚トラブルを減らすための基本です

石鹸で脂漏性湿疹の予防

カバさん
カバさん

スキンケアでは石鹸を適切に使えるように、その目的をしっかりおさえよう!

皮膚の汚れの元になる汗の成分は、脂分と塩分とタンパク質です

塩分とタンパク質の多くは水溶性なのでお湯で洗い流すだけで取り除けます

しかし脂分は石鹸でないと皮膚から取り除けません

昔は沐浴で石鹸を使わないことが多かったため皮脂を落とせず、生後1〜2か月で乳児脂漏性湿疹になる子がとても多かったが、近年この疾患が減っている

これは石鹸を適切に使うスキンケアの方法が行き渡ってきたからだと思います

(↓アトピー肌用に開発された入浴剤です)

シャワーでアトピー予防

アトピー性皮膚炎がある子にとって汗の成分(特に塩分)は刺激物となって皮膚の状態を悪化させるため、汗をよくかく夏はシャワー浴で洗い流すのがおすすめです

カバさん
カバさん

小学生を対象とした日本ランダム化比較試験においてシャワー浴の回数が多い子の方がアトピー性皮膚炎の状態がよかったというエビデンスもあるよ!

汗自体は、皮膚トラブルを引き起こす黄色ブドウ球菌を排除して皮膚の状態を正常化する働きがあります

そのため、アトピー性皮膚炎や湿疹がある子は、そうでない子より汗をよくかくことが大切です

カバさん
カバさん

汗をかいて1時間もすると抗菌作用は低下しているので、皮膚の刺激物になる前にシャワー浴で汗の成分を取り除こう!

使用厳禁なベビーオイル

食用植物由来のオイルを使用したベビーマッサージは、経皮感作を受け、食物アレルギーを発症するリスクが高まるため、子どもに使うのは絶対にやめてほしい

アレルゲンとなるタンパク質が多く含まれているピーナッツオイルやアーモンドオイルはもちろんのこと、タンパク質の含有量が少ないオリーブオイルも経皮感作を受けないとは限りません

カバさん
カバさん

食べ物は口から食べるものであって皮膚に塗布するものでないよ!

(↓アトピー肌用に開発された化粧水です)

不要なスキンケア

子どもの世話に熱心に取り組むあまり、不要なスキンケアを行なっていることもあります

例えば、アトピー性皮膚炎や肌トラブルがないのに石鹸で1日に何度も洗って保湿剤を塗布するのはやりすぎです

沐浴を2日に1回した赤ちゃんの方が毎日沐浴していた赤ちゃんよりも肌トラブルが少なかったとする研究もあります

カバさん
カバさん

洗いすぎることによって皮脂が失われると、皮膚が荒れてバリア機能が低下し、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーのリスクが高まるよ!

いずれにせよ、皮膚の健康を保ち、アレルギーを予防するためには個別の肌の状態に合わせた継続的なスキンケアが必要です

離乳食によるアレルギー疾患予防

乳児期早期から離乳食として抗原食物を与える介入・誘導が食物アレルギーの予防・発症の抑制になることが複数の研究から明らかとなり、エビデンスとして確立されています

カバさん
カバさん

食物アレルギーを防ぐ観点から、離乳食を始める時期になったら、その開始が遅くならないようにしよう!

卵アレルギー

離乳食を行う際に注意したいのが、ここ数年、日本で急増している「卵黄による消化管アレルギー」です

従来の卵アレルギーは卵白に含まれるタンパク質が主要抗原となるため、離乳食ではタンパク質の含有量が少なく脂質の多い卵黄から食べさせていました

カバさん
カバさん

しかし、この卵黄にアレルギー反応を起こす乳児が増えているよ!

卵黄アレルギーの原因は不明で、症状としては食べてから3時間程して突然嘔吐します

卵白アレルギーのようなlg E抗体を介した即時型反応ではなく、蕁麻疹、下痢、喘鳴といった症状も見られません

しかも卵白アレルギーは初めて食べた時に症状が出るのに対し、卵黄アレルギーは初回には発症せず、早くても2回目、多くの子どもは3回目、4回目、5回目と食べる回数を重ねていくと発症します

カバさん
カバさん

このアレルギーは、卵黄を完全除去すると1〜2年後には自然に治るケースが多いよ!

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