障がい児にとっての新型コロナウイルスの脅威

新型コロナウイルス感染症によって、私たちの生活は大きく変化しました

こうした社会や暮らしの変化が子ども達やその家庭、妊産婦に与える影響はとりわけ大きなものがあります

withコロナの中、新型コロナウイルスの基本的な情報や障害児に与える影響などについて、話していきます

コロナの特徴と現在の状況

そもそも新型コロナウイルスとは

コロナウイルスは風邪を起こすウイルスとして、昔から4種類が存在していました。
21世紀に入ってSARS,MARS,そして今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を起こす新興コロナウイルスが発生しました

新興感染症は病原性、つまり病気を起こす強さによって私たちに与える影響はだいぶ違ってきます

同じく新興感染症であるエボラ出血熱のように誰かが罹っても重症化するわけでなく、子どもが罹った場合は軽症か無症状であり、症状も発熱、咳、鼻水、下痢、頭痛などで、基本的に風邪以上の症状が出ることはほとんどありません

小児科医はむしろ、RSウイルスの方が怖いウイルスです

RSウイルスは毎年何十人、多いときは百数十人の子どもたちの命を奪っていますし、小児科の入院患者さんの7〜8%はRSウイルス感染症というデータもあります

同じ「風邪のウイルス」と言っても、RSウイルスに比べれば新型コロナウイルスは子どもに害をなすことは少ないウイルスです

なぜコロナは「怖いもの」?

子どもの頃に感染していれば特別なことはなかったのに、新しいウイルスのために誰もが免疫がないまま、高齢になって初めて感染するためにトラブルが起こります

人の体が持つ免疫の仕組みにも老化が起こり、未知のウイルスに対しては戸惑います

一生懸命対応するのですが、それが過剰で不適切な反応になってしまい、その結果、炎症が強く起こる

新型コロナウイルス感染症の重症化は、体内のウイルス量がだいぶ少なくなった頃に起こるのです

体内でウイルスの活動は自然に治ってきたのに、炎症はどんどん強くなってしまう。
免疫が適切に反応できないために起こっている症状ということになるのです

ですので、いずれ大人世代の皆に免疫がつけばワクチン接種などで集団免疫がつくのが一番いい収束のシナリオですが、子どもを中心に流行するただの風邪として、社会に定着していくと思われます

子どもを感染から守るには?

大人がまず、自分が感染しないように努めるしかありません

一つはワクチンを接種する機会が回ってきたらワクチンを接種すること

そして、社会活動の中で感染を避ける行動をしっかり続けていくことが重要です

健康に与える害はそう深刻ではないとは言え、子どもの集団に感染が及ぶと子ども達の日常が大きく狂ってしまいます

通常の保育や教育もできなくなり、それは子どもには大きなマイナスです

感染対策という場合には、単に体の健康だけではなく、心の健康、さらに子どもたちの心の発達にも目を向けることが大切なのです

子どもの心の発達には臨界期もあり、逃すと取り戻せないものもあります

大人からの感染を防ぐ努力をすべきだからといって、家庭の中でまでマスクをして密を避けてフィジカルディスタンスを取って・・・などというのは不自然ですし、心の健康や発達に対する弊害の方が圧倒的に大きいだろうと思いますので、家庭にそこまで感染対策を求める必要はないと思っています

帰宅後の手洗いなど基本的なことをぜひ続けてほしいです

リスクのある子がいる家庭

リスクのある子への対応

基礎疾患を持つ医療的ケア児もそうですが、ダウン症のある方や、脳性麻痺、知的障害のある人は、新型コロナウイルスにかかった時の重症化リスクが高く、死亡率が高いことが知られています

医療的ケア児や知的な障害がある人たちは、どうしても濃厚なケアが必要なので、まずケアする大人たちへのワクチン接種を優先する

それが第一に重要な点です。
重症心身障害児施設とかデイケア、特別支援学校などの職員の方たちが優先して接種を受けていただきたいなと思います

次に、そうしたハイリスクの子ども達本人に早めにワクチン接種をしてあげるのが大事だと思います

障害のある小さな子への支援

そうしたお子さんをお持ちのご家庭の方々にも、ぜひ優先接種をしてほしいと、強く願っています

濃密なケアを必要とする乳幼児を家庭で見ている保護者の方は、基本的に、私たち医療従事者や介護職とかなり近い条件です

親が感染した場合の対応

同じ障害などがある子でも年齢や発達段階で違ってきますし、さらにある種の発達特性のある子ども、例えば自閉スペクトラム症のお子さんなどは環境の変化に対応するのが困難です

お母さんが入院して離れてしまう、もしくはお母さんと一緒にどこかに移って生活するなどになれば、パニックになる心配もあります

そうした個々の事情にどの程度フレキシブルに対応できるか、関わる人たちで連携してチームを組み、可能な限りそのお子さん一人一人家族の特性に応じて検討していただきたいです

まとめ

新型コロナウイルス感染症はただの風邪だから何もしなくていいんだというのは極論で、高齢者や基礎疾患のある人にとっては油断できない病気です

社会もそれは事実として受け止めつつあります

でも一般的な子にとっては基本、風邪ウイルスの一つであり、RSウイルスやインフルエンザなどもっと怖い病気がある中、コロナに対してだけ大騒ぎして極端な対策を子どもにまで強いるのはデメリットも大きいです

健康上の問題への理解だけではなく、様々な制限のある生活を続けることが子どもの心の発達や心身の健康にどのような、どれ程の影響を及ぼしているのか

現状の感染予防対策も、本当に必要があるのか、むしろ子どもの心の健康や心の発達にマイナスになっていないか、正しい知識とバランス感覚を持って冷静に考え続けていく必要があります

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