【支援者向け】イクメンの辛さへの支援

最近は父親の育児参加は当たり前となりつつあります

母親と子ども目線から見ると、父親の育児参加があると助かることが多いです

しかし、当たり前だと思い強要してしまうことは、父親の立場からすると負担が大きい可能性があります

この記事では父親の置かれている立場の説明、支援介入の仕方を解説していきます

統計から見た父親の育児や家事

父親の育児参加

父親が育児に積極的に関わるようになった大きなきっかけは2010年のイクメンブームです

社会が持つ父親へのイメージの変化

「家庭のことは妻に任せて外でバリバリ働いて家族を養う」→「育児や家事をもっと楽しむことも選べる」

全ての男性がそういう生き方を是としている訳ではないですが、例えば父子で公園に行っても浮かないとか、父親向けの育児グッズ等が充実してきたとか、生き方の選択肢が増えてきているように思います

イクメンの辛さ

カバさん
カバさん

一方で、父親の働く環境はさほど変わっておらず、父親が主体的に育児をすることに企業は対応しきれていないよ!

そのため、育児や家事など家庭のことにもっと時間を割きたくても、仕事の都合でそれが叶わず、苦しんでいる父親がいるような印象も受けます

また、イクメンという言葉は元々は「育児を楽しめるかっこいい男」を意味していましたが、育児だけでなく、家事もやり奥さんも大事にして稼ぎも良くなければいけないなど、父親にパーフェクトな人間像を要求している言葉になってきたような気がしています

父親の置かれている状況

日本の父親は諸外国と比べて3分の1程度しか家事や育児をしていない報告があります

カバさん
カバさん

ぱっと見少ないけど、それには訳があるよ!

そもそも諸外国の父親よりも1日あたりの労働時間が2時間から2時間半ほど長く、通勤時間を合わせると約3時間も長くなっています

一方、自由時間も分母にいれて家事・育児に使っている時間を比較すると日本の父親は一番少ないものの、各国との差はずいぶん縮まってきます

仕事と通勤も家族のために使っている時間だと解釈して計算し比較すると、日本の父親が家族のために使う時間はダントツに長くなる

父親はすでに頑張っている

父親の育児への意欲には個人差がありますが、あくまで統計的な視点で見ると、世間で言われているほど日本の父親は育児や家事をしていないわけではなく、むしろ諸外国の父親より睡眠時間や自由時間を削りながら家事や子育てを行なっているという実態が浮かび上がってきます

誤解のないように言いますが、父親が母親よりも大変だということを主張したいわけではありません

妊娠、出産、育児において父親よりも母親の方がずっと大変ですし、それこそ妊娠、出産は命懸けです

このデータは、そのような大前提の元で提示しており、父親は母子をもっと支援するべきだと考えています

カバさん
カバさん

ただ、それができない環境が依然として父親を取り巻いているね!

父親もメンタル不調になりやすい

父親の産前産後の不調には様々な原因が考えられますが、父親の多忙さが大きな原因の一つなのではないかと考えています

パートナーの妊娠中から子育て期に「お父さんの体調はいかがですか」と声掛けをしたり父親を支援する仕組みは、現在の保険医療システムにはありません

父親の中には育児が苦しくても「妻の方が自分よりも大変なのだから苦しいと言ってはいけない」と思い込み、精神的に追い込まれていく人もいます

カバさん
カバさん

限界が来て突然何もできなくなってしまう人も少なくないよ!

夫婦が同時期にメンタル面の不調をきたしてしまうと養育環境が著しく悪化しやすくなり、意図しないネグレクトなど世帯全体に深刻な影響が生じることが懸念されます

父親の具合が悪くなると、母親の産後うつのリスクが高くなることも多くの研究によって明らかになっています

育児中の父親を支援することは母親の健康や子どもの健やかな成長を守る上で欠かせない

支援の仕方

母子保健関係者はまず取り組んでいただきたいのは啓発活動です

カバさん
カバさん

妊娠期から子育て期は、母親だけでなく父親も具合が悪くなることを、父親本人を含め、子どもの養育に関わる人全てが理解することが大切だね!

父親も支援対象

父親に対しては「育児や夫婦関係で辛かったり、困ったらいつでも相談に乗りますよ」というメッセージをしっかり届けることが大切です

こうした啓発を実践する場として妊娠期の両親学級を活用するのも一案です

両親学級でのポイント

母親の育児の大変さを伝えるだけでなく、産後の父親の生活も一緒に考える

夫も仕事のほか、家事育児もこなすとなると大変多忙な生活になります

夫婦で育児期を乗り越えるためには、母親だけでなく父親の働き方も変えるなどの工夫が必要です

カバさん
カバさん

夫婦で産後の生活をイメージして、どう乗り越えていくのかを考えることが重要だね!

性欲の違い

よく問題になる産後の男女の性欲の違いについても情報提供しましょう

ホルモンの関係などで性欲が失われる女性の状況と、性欲が変わらない男性の状況を夫婦がお互いに理解できるよう支援することも大切です。
もちろん、その逆のケースもあるでしょう

夫婦それぞれで様々な困りごとはあると思うので、夫婦で妊娠、出産、子育ての時期をうまく乗り切る土台になります

母子保健関係者には、このような視点も既存の育児支援の中に組み込んでいってほしいと思います

母子ではなく世帯としてみる

母子ではなく世帯としてのリスクを総合的に考えることが重要です

カバさん
カバさん

子どもと母親が健康でも父親の具合が悪ければ父親が健康な家庭より子どもと母親のリスクは高まるため、その家庭は注意深く観察しよう

こうした世帯のリスクを効率的にアセスメントするには既存の仕組みに項目を追加する方法が良いでしょう

例えば、病児、障害児、多胎児などを養育する家庭は育児困難が予測されるため、保健師さんたちは支援対象として拾い上げ、様々な指標の中に「父親の状況」という項目ももう少し追加するだけで、世帯のリスクをより的確に判断できるようになり、適切な支援に繋げることが可能です

まとめ

妊娠期〜育児期という大変な時期に母親だけでなく父親も支援することは子どもにも社会にも必要なことで、母子保健関係者の新しい役割であることを、この機会に知っていただけたらと思います

また、支援者としての個人の力を伸ばす・より力を発揮できる場所で働くという点では転職を考えてみるのも一つの方法です↓(保健師の求人も多くおすすめです)
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