【支援者向け】プレコンセプションケア実施ポイント5選

将来的に妊娠・出産を希望する可能性のある女性、並びにそのパートナーとなりうる男性にとって、早い時期から妊娠や出産についての正しい知識や生活習慣を身につけることはとても大切です

近年は、健全な妊娠や出産に向けた準備や健康管理を行う「プレコンセプションケア」への関心が高まっています

この記事では、我が国におけるプレコンセプションケアの現状と課題などについて話していきます

プレコンセプションケアとは

母子保健の現場において「プレコンセプションケア」は耳慣れない言葉ですが、最初にその定義を説明します

プレコンセプションケアを直訳すると”宿る前のケア”となり、妊娠前の女性に対するケアのことを指します

カバさん
カバさん

しかし、現在は若い女性だけでなくカップルを対象として、将来の妊娠・出産のための健康管理を行うことを定義としているよ!

プレコンセプションケアの目的

①若い世代の健康を増進し、より質の高い生活を実現してもらう
②将来に渡ってより健康になってもらう
③健全な妊娠・出産のチャンスを増やし、次世代の子どもたちの健康にも起用する

このような成育サイクルを有機的に回していくためのケアであると考えられています

周産期の現状と課題

日本以外では、プレコンセプションケアの考え方は20年前ほど前から広まっており、CDC(米国疾病予防管理センター)では2006年に、WHO(世界保健機関)では2012年に定義や目的を定めています

世界には発展途上国なども存在しますので、母体死亡率や周産期死亡率の低下などが目標に取り組まれています

一方、日本には世界と異なる状況と課題があります

日本の周産期医療のレベルは世界でもトップクラス、母体死亡率も周産期死亡率もすでに世界の目標を達成しています

ところが他国と比べて低出生体重児の割合がとても多いことがわかっています

赤ちゃんの出生体重も減少傾向にあり、厚生労働省の人口動態統計によると2017年に出生した子どもは1980年代に出生した子どもより平均出生体重が180〜190g減っています

また、早産児も決して少なくありません

カバさん
カバさん

低出生体重児で生まれると、将来的に冠動脈疾患で死亡するリスクが高まるよ!

また、低出生体重児で生まれた女性は妊娠糖尿病の発症率が高くなること、妊娠高血圧症候群をおこしやすくなることもわかっています

低出生体重児や早産児のリスクは次世代にとどまらず、その次の世代にとどまらず、その次の世代まで持ち越される

低出生体重児の割合増加の要因

体型

一つの大きな要因として考えられるのは「妊娠前のボディバランスの乱れ」です

近年、20代女性の痩せが非常に増えていて、肥満もそれなりに数がいます

女性の痩せと低出生体重児の増加が関連していることを示すデータがあり、早産の発生とも無関係ではありません

また、肥満の女性は妊娠高血圧症候群になりやすく、これは早産の大きな原因となるため出生体重にも影響します

妊娠の高齢化

女性の高学歴化と社会進出が進んで、昔と比べるとどうしても第一子を授かる年齢が高くなったことも、低出生体重児率の多い要因の一つだと考えられます

40代の初産婦も都市部では珍しいことではなくなりつつありますし、出産年齢の高齢化とともに生殖補助医療(不妊治療)の助けを借りて妊娠・出産する人も増えています

女性はいつでも妊娠できるわけはなく、トラブルの少ない妊娠に適した年齢があります

カバさん
カバさん

その時期を過ぎてからの妊娠・出産はハイリスクとなるため、低出生体重児をはじめとする様々なトラブルが付き纏うのはある程度仕方がないことだと言えるね

プレコンセプションケアを実施するポイント

プレコンセプションケアの現状

日本ではまだ具体的なプレコンセプションケアの目標は定められていませんが、概念そのものは広がりつつあります

現在の日本には、計画外妊娠が多いことや25歳未満の中絶率が高いことなど、周産期に関わる様々な問題が山積しています

カバさん
カバさん

日本は知識的な学歴が高い国でありながら、妊娠や出産に関する知識が行き届いていないという現状があるよ

例えば妊娠前〜妊娠初期に適切な量の葉酸を摂取することで神経管閉鎖障害の発症リスクが低下することがわかっていますが、サプリメントで適切な葉酸接種を行なっている女性は8.3%でした

また脊髄形成障害を引き起こすとされているバルプロ酸を内服している女性でも、葉酸をサプリメントで摂取している女性は10.1%でした

思春期のプレコンセプションケア

カバさん
カバさん

妊娠直前だけでなく、前思春期(小学生頃)をサポート対象としているのは日本のプレコンセプションケアの大きな特徴の一つだね!

健全な妊娠・出産のチャンスを増やすことは妊娠を意識した時から始めても実現できるものではありません

前思春期のプレコンセプションケアは、自分の体は自分のもので、その健康を管理するのは自分自身であるという概念をしっかり身につけてもらうことが重要だと考えています

この考えを身につけてもらうためには妊娠可能年齢に差し掛かる14歳頃から働きかけていくことが必要だと思います

また、前思春期から「妊娠可能年齢において妊娠・出産のトラブルが最も少ない時期がある」という重要なメッセージを伝えることも大事です

カバさん
カバさん

このことを教育されてこなかった女性たちの中には、妊娠を希望したときにはすでにハイリスクな年齢になっていた、という人が少なくないよ!

母子保健関係者が性教育の講義を担当する際には、

・自分の体を守るためのケア
・自分のライフプランを考えるためのケア

としてのプレコンセプションケアを盛り込んでいただくと前思春期の子たちにも伝わりやすいと思います

インターコンセプションケアとは

妊娠高血圧症候群になった人はそうでない人に比べて5年後の高血圧症の発症リスクが5倍高いというデータがあります

第一子を出産したときに妊娠高血圧症候群と診断された方に、産後のフォローアップを行えば、第二子、第三子を希望されたときに少しでもリスクを減らすことができると思います

次の妊娠に向けて高血圧症や糖尿病など妊娠合併症を起こした女性へのケアは「インターコンセプションケア」と呼ばれ、すでに確立されているものですが、このような視点からもプレコンセプションケアに取り組むことが重要です

男性への働きかけ

プレコンセプションケアが始まったばかりの日本では若い男性への働きかけは進んでいないのが現状です

しかし、若い男性がプレコンセプションケアについて積極的に知識を得ようとする傾向があるのも事実です

カバさん
カバさん

男性への働きかけでポイントになるのは感染症対策だね!

風疹などは男性もワクチンを接種して妊娠中の女性や胎児に感染させないようにすることが肝心です

海外では12歳くらいの男の子たちが「将来のパートナーを守るため」と言ってHPVワクチンを接種しています

このような動きが日本でも広まっていくことを願っています

また、男性に働きかける場の一つとして両親学級に取り入れてもらうのもいいでしょう

若い世代の健康づくりと将来の健全な妊娠・出産に向けて、さらには次世代、次々世代の子どもたちの健康を守るために、妊娠可能年齢の女性とそのパートナーに積極的に関わっていって欲しいと思います

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