食物アレルギーは、3歳までに診断される児は14.9%であり、その6割は1歳までに診断されることが知られています
近年、多くの臨床研究により、離乳食の進め方がアレルギー疾患の発症に影響することが報告されています
この記事では食事とアレルギーの関係について説明していきます
食物アレルギーとは
食物アレルギーは「食物により免疫学的機序を介して身体に不利益な症状が引き起こされる現象」
食物の成分に対する獲得免疫が成立しており(感作)、もっとも典型的なタイプである「即時型症状」(アナフィラキシーなど)の免疫学的機序として、特異的IgE抗体が関与する病態(IgE依存性反応)が知られます
食物アレルギーと離乳食の関係
離乳食の開始時期
かつて乳幼児期における食物アレルギーの発症予防対策として、原因となりやすい食品は離乳食で避けるのが望ましいと考える時代がありました
2000年に米国小児科学会は、乳製品は1歳、鶏卵は2歳、ピーナッツ・ナッツ類は3歳まで除去する推奨を行っています
しかし2008年に「二重アレルゲン暴露仮説」、つまり乳児期のアトピー性皮膚炎や痒い乳児湿疹が、環境中にある食物の感作(経皮感作)に対する最大のリスクであり、経口摂取はむしろ耐性獲得(経口免疫寛容)に向かわせる、との考え方が提唱されました
一昔前はアレルギーになりやすいものは避ける。
現在は、初期から食べる
2015年には、アトピー性皮膚炎の乳児などを対象に、ピーナッツを乳児期早期から摂取することで優位にピーナッツアレルギーの発症を予防できることを示した大規模ランダム化比較試験が報告され、鶏卵に関しても、「鶏卵の離乳早期開始は鶏卵アレルギーの発症リスクを低下させる」との結論が得られました
このような経緯を経て、2019年改定「授乳・離乳の支援ガイド」にも離乳初期の段階から固茹で卵黄の記載が含まれるに至っています
離乳食の進め方について知りたい方は「「はじめて」から「完了」までわかる離乳食」の記事を参考にしてください
食事の幅を広げる
離乳時期における食事の多様性は、アレルギー疾患を含め様々な健康に良い影響を与えることが報告されています
特に近年、食事内容が腸内細菌や免疫寛容に与える影響に関して膨大な知見が集まっており、離乳食を遅らせないことに加えて、食事の幅=バラエティを広げることがアレルギー疾患の予防につながる可能性が示唆されています
食の多様性→腸内環境が整う→アレルギー予防
進め方の注意点
注意点として、乳児のアトピー性皮膚炎では、初めて食べる食品でアレルギー症状が誘発されることもあります
育児書等に従い体調の良い平日日中に少量ずつ与えること、すでに食物アレルギーの発症が疑われる場合は医療機関の管理のもとで開始するようにしましょう
スキンケアと食物アレルギー
乾燥傾向のある乳児では保湿剤によるスキンケアによりアトピー性皮膚炎を30〜50%程度予防できる可能性が報告されていますが、保湿だけで食物アレルギーまで予防できるかはわかっていません
ただし、アトピー性皮膚炎は食物アレルギーの最大の発症リスクのため、なるべく早いうちに抗炎症外用薬によって治した方が望ましいと考えられています
乳児湿疹が長引きお困りの際は、小児アレルギーの専門医等に相談しよう!
スキンケアとの関係についてもっと知りたい方は↓の記事を参考にしてください
・「アトピーとスキンケアの最新情報」
・「乳幼児期の正しいスキンケアの方法」
まとめ
今回は食物アレルギーの発症予防について解説してきました
今回の記事の要点をまとめると、以下の3点があります
アレルギー予防についてもっと知りたい方は↓の記事を参考にしてください
・「食物アレルギーと授乳の知っておくべき関係」
・「乳幼児のアレルギーの悩みQ&A」
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最後までご覧いただきありがとうございました
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