ちょっと元気な子をつれて、「この子は多動症でしょうか?」と心配そうにたずねてくる、お母さんが増えています
はたして、「元気がよい子」と「障害の子」の両者の違いはどこにあるのでしょうか
この記事では、注意欠如・多動性障害(ADHD)とは何か、診断基準や原因について解説していきます
それって本当にADHD?
落ち着きがなく動きが多いのは1・2歳では当たり前だよ!
障害としての多動症は、動きの量の問題だけでなく、注意が持続しない、落ち着きがない、という質の問題を併せ持っています
活発で動きが多いという1・2歳ころの多くの子どもたちの状態とは別のものと考えるほうがいいと思います
しかし、5歳になっても、人の話が聞けず、幼稚園で椅子に座っていられずにウロウロして落ち着きがなかったら、これはちょっと心配です
「落ち着きがない」とは、このようにそれぞれの年齢で期待される落ち着き方、行動の仕方、集中力に欠けることを表現することが多く、「多動」といえるようになるのはだいたい5歳から学齢期以降といえそうです
ADHDの診断基準
- 「不注意」および「多動性・衝動性」のうち、それぞれ6項目以上が当てはまる
- その状態が7歳前に始まっている
- 複数の場面でそういう行動が見られる
- その結果著しい障害が存在する
不注意
以下の「不注意」の症状のうち、6つ以上が半年以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しないもの
- 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない。また不注意な過ちをおかす
- 課題または遊びの活動で注意を持続することがしばしば困難
- 直接話しかけられたときにしばしば聞いていないように見える
- しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない(反抗的な行動または指示を理解できないためではなく)
- 課題や活動を順序立てることがしばしば困難
- (学業や宿題のような)精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う
- (たとえばおもちゃ、学校の宿題、鉛筆、本、道具など)課題や活動に必要なものをしばしばなくす
- しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる
- しばしば毎日の活動を忘れてしまう
多動性・衝動性
以下の[多動性一衝動性]の症状のうち6つ 以上が少なくとも6か月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達水準に相応しないもの
- しばしば手足をそわそわと動かし、またはいすの上でもじもじする
- しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況で席を離れる
- しばしば不適切な状況で、よけいに走り回ったり高い所へ上ったりする(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られるかもしれない)
- しばしば静かに遊んだり余暇活動につくことができない
- しばしば”じっとしていない”またはまるで“エンジンで動かされているように”行動する
- しばしばしゃべりすきる
- しばしば質問が終わる前にだし抜けに答えてしまう
- しばしば順番を待つことが困難である
- しばしば他人を妨害し、邪魔する(たとえば、会話やゲームに干渉する)
ADHDの原因
- 遺伝
- 何らかの脳の神経の伝達物質がうまく分泌されない
- 脳に小さな不具合なところがある
- 育児環境も含めた子どもをとりまく環境の問題に由来している
- アレルギー反応や食品添加物など
いずれにせよ、中枢神経系に何らかの問題があり、落ち着かない、育てにくい傾向が子どもの中にあったことが第一義的な要因であると考えられます
「しつけが悪い」とか「育て方が悪い」というせいではないよ!
まとめ
今回はADHDについて解説してきました
今回の記事の要点をまとめると、以下の2点があります
落ち着きのなさについて、もっと知りたい方は↓の記事を参考にしてください
・「注意欠如多動性障害(ADHD)の関わり方のコツ8選」
・「落ち着きがなく授業に集中できない子への対応のコツ3選」
・「公共の場で騒ぐ、よく迷子になる子への対応のコツ4選」
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最後までご覧いただきありがとうございました