【支援者向け】医療的ケア児の保護者の生活と必要な支援

人工呼吸器や痰の吸引などの医療的ケアが必要な医療的ケア児は、全国に約2万人いて、この15年間で2倍になったと推計されています

そんな医療的ケア児のケアを行う保護者の生活と必要な支援について、大規模な調査の結果や日々私たちが接する当事者の方々からの声を元に、ご紹介します

この記事がおすすめな人

・障害福祉関係者
・子育て支援関係者

現状の課題

睡眠不足

体位交換や吸入など、夜中のケアが必要なご家庭があります

両親が交互にケアを担い、睡眠が2時間×3セットの生活を長年続けているご家族もいます

ある調査では「慢性的な睡眠不足である」という質問に対して7割以上が「当てはまる」、「まあ当てはまる」と回答しています

カバさん
カバさん

別の調査では平均睡眠時間は5.4時間で、一般女性(40〜44歳)の平均睡眠時間(7.3時間)より約2時間少ないという結果も示されているよ!

自分の時間がない

公的サービスを利用中にどれくらいレスパイト時間を取れたかという調査ではゼロと回答した割合が最も多く、30.1%でした

レスパイト時間が月に60時間以上取れると社会的健康度が優位に高くなるという調査結果もあります

就労の機会喪失

「家族が日々の生活で行いたいこと」についての質問で「希望する形態で仕事につく」は9割弱の家族が「行いたい」と回答しています

「行いたい」と回答した人に現在の実施状況について質問したところ「問題なく行えている」という回答は1割未満、「行えていない」という回答が7割以上となっています

求められるレスパイト支援

レスパイトというとレスパイト入院が思い浮かびますが、在宅でのレスパイト事業を行なっている自治体もあります

訪問看護

例えば東京都では、多くの自治体が重症心身障害児等レスパイト事業を行なっています

事業例

訪問看護ステーションの看護師が医療保険の訪問看護とは別に長時間訪問し、家族の方が日頃から行っているケアを家族に代わって提供するというものです。
1回の時間は最長4時間、年間利用回数は24回を超えない範囲で月4回まで、という自治体が多いようですが、中には52回使える自治体もあります。

同じような事業は福岡県の多くの自治体や高知県などでも行われています

自治体の独自事業とは別に、例えば訪問看護と居宅介護など複数のサービスを提供することで、長時間の訪問を行なっている訪問看護ステーションもあります

カバさん
カバさん

地域に長時間訪問を行っている訪問看護ステーションがあれば、利用者の方の助けになるね!

児童発達支援

まだまだ知られていない制度なので、地域に事業所があったら、コンタクトすることを保護者にお勧めしましょう

外出ができるお子さんは、児童発達支援に通えると、子どもの発達が促されるのはもちろん、母子分離の施設なら保護者が自分の時間を持つこともできます

居宅訪問型児童発達支援は外出が難しいお子さんのための制度で、保育士や看護師、理学療法士などが訪問し、自宅で発達の支援を行う制度

NICU退院直後からの支援

従来はNICUなどから退院したばかりの乳児期は、障害児としての判定が難しいために障害福祉サービスの支給決定が得られにくいという課題がありました

しかし、令和3年から、新生児から円滑に障害福祉サービスの支給決定が得られるように運用改善されています

退院したばかりだから利用できないと諦めずに、自治体や病院に支給申請の相談をしてもらうように促していきましょう

まとめ

今回は医ケア児の保護者の生活と必要な支援について解説してきました

今回の記事の要点をまとめると、以下の2点があります

まとめ

①医ケア児の保護者は、睡眠不足・自分の時間がない・希望する形態で仕事につけていないという課題がある
②訪問看護・居宅介護・児童発達支援を活用し、レスパイト時間を作ることが大切
③新生児期から障害福祉サービスの利用を検討できるように情報提供をする

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最後までご覧いただきありがとうございました

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