自閉症スペクトラム障害という言葉は聞いたことあっても、実際にどういった状態か、どのような種類があるかを知っていますか?
この記事では、自閉症スペクトラム障害の意味やどういった診断名があるのか、またどのような場合診断されるのかを解説していきます
自閉スペクトラム症(ASD)の特性
自閉スペクトラム症(ASD)は、生まれつきの脳の機能障害が原因と考えられる発達障害の一種です
- 対人関係が薄く、社会性の発達が悪い
- ことばをはじめとするコミュニケーションがうまくとれない
- 手をヒラヒラさせるなどの反復的な常同行動や、オモチャを一直線に並べる同一性保持などのこだわり行動を持つ
自閉スペクトラム症(ASD)の種類
- 小児自閉症
- 非定型自閉症
- レット症候群
- 他の小児期崩壊性障害
- アスペルガー症候群
- 精神遅滞および常同行動をともなう過動性障害
- その他の自閉スペクトラム症
- 特定できない自閉スペクトラム症
自閉症とは
自閉症の特性
自閉スペクトラム症の特性がいちじるしいものが「自閉症」であり、次のように定義されています
- 子どもの態度や行動がまわりの人々や状況から遊離し孤立している
- 常同行動や同一性保持などのこだわり行動が強くパターン化している
- しゃべらないとかオウム返し(反響言語・エコラリア)のような言語障害がある
- これらの状態が3歳以前に始まる
原因
原因としては、中枢神経系の何らかの機能不全が想定されています
過去においても現在においても、さまざまな論議が続いています
自閉症以外の自閉スペクトラム症(ASD)
自閉症の3つの特徴はあっても症状がそれほど強くない場合や、一部の症状が目立たない場合は「非定型自閉症」といいます
また、広汎性発達障害の中でも知的な遅れや明らかなことばの遅れはないが、他の特徴がある場合を、特に「アスペルガー症候群」と呼びます
「自閉傾向」「自閉的」というのは医学的に認められた診断名ではありませんが、一般にはこのことばのほうが多く使われています
よくある姿
典型的な自閉症以外の自閉スペクトラム症の子どもの像を描くとすれば
- 目が合いにくい、呼んでも振り向かないなど、人との関係がとりづらい
- 決まりきった遊びをし、こだわりが強い
- ことばが遅れがち
- 落ち着きのないこともあるが、ふつうに落ち着いていることもある
- 文字を人より早く覚えるなど、興味のあることには能力を発揮する
- 知的な遅れは、ある場合もない場合もある
- なんとなく気になるし、親にとっては育てにくい子ども
ということになります
健診でも判断に迷い、「グレーゾーンの子ども」といわれることの多い子たちだね!
知能指数と精神発達遅滞
知的指数とは
自閉症の75%には知能の遅れ・知的障害がある
「知能指数」(IQ intelligencequotient)は、知的発達年齢(月数)を実際の年齢(月数)で割ったものに100を掛けて算出します
たとえば、
<知的発達年齢45か月(3歳9か月)>÷<実際の年齢60か月(5歳0か月)>✕100=IQ75
つまり「5歳でIQ75」ということは「3歳9か月程度の知的発達をしている」ということを意味しています
知的指数は変動する
知能指数は変動が大きく、特に3歳前では正確な検査がむずかしく、1回や2回の検査結果で断定することは危険です
IQが58と言われた子が、就学前の再検査ではIQ100を超えていたという例もあるよ!
精神発達遅滞とは
IQが70に達しない場合を「精神発達遅帯」と診断する
知的発達年齢を出すための道具として、さまざまな発達検査や知能検査があり、「田中ビネー」「新版K式」「WISC」「WPPSI」などがよく使われます
また、知能指数を出すことを目的にはしないものの、子どもの現状をとらえるために使われる検査としては、「JMAP」(日本版ミラー幼児発達スクリーニング検査)、「JDDST」(改訂日本版デンバー式発達スクリーニング検査)、「遠城寺式乳幼児分析的発達検査法」などがあります
精神発達遅滞の程度
なお精神発達遅滞は程度により
- 軽度:10歳程度の能力
- 中度:5・6歳程度
- 重度:2・3歳程度
また知能検査による分類では、
- 境界(ボーダーライン):IQ70~84
- 軽度:IQ50~69
- 中度:IQ35~49
- 重度:IQ20~34
- 最重度:IQ24以下
まとめ
今回は自閉スペクトラム症(ASD)について解説してきました
今回の記事の要点をまとめると、以下の3点があります
ASD児への対応のコツについて知りたい方は「自閉症と関わり方のポイント6選」の記事を参考にしてください
この記事が、少しでもお役に立てたのであれば嬉しいです
最後までご覧いただきありがとうございました