保護者に対して関わりにくさを感じた時、支援者側はどのように対応すれば良いのでしょうか
親の発達特性がわかれば対応のコツが分かり、関わりやすくなるかもしれません
発達障害の特性に応じた具体的な支援について解説していきます
自閉スペクトラム症が疑われるとき
親は自分の考えをしっかり持っており、真面目に取り組み、きちんとやり遂げようとしますが、とてもデリケートで、ちょっとした失敗や指摘されることに傷つくことを知っておきましょう
マイペースで助言が入りにくい
子育ての方法について助言をした際に、「それは無理、この方法しかやれない」「いえ、それは難しい」などと否定的な答えが先行し、自分の考えややり方にこだわる場合があります
一方向的な助言は受け入れ難いため、幾つかの方法を提示して親に選択してもらい自分で決めたという主導権を持たせる方法や、こういう方法もあるらしいと一般的なことを伝えるような言い回しでうまくいくことがあります
たとえ話や曖昧な指示は通じない
「ミルクは徐々に増やしていきましょう」という助言では、いつ・どのタイミングでミルクを増やすのか判断できません
結果、ミルク量を変えなかったため体重が増えなかったケースがあります
「いつからどうする」という具体的な指示が必要です。
また、支援者にとって当たり前のことであっても言葉を省くことなく説明し、親が自分の生活の中でできる具体的な行動を提案しましょう
ママ友ができない
子どもとの遊び方がわからないという親子が、外に出る機会がなく家庭に閉じこもっており、子育て広場を紹介しても行き渋ることがあります
人と話すことや、多くの人がいる場所を苦手な方には無理に進めう、支援者の訪問やSNSを使った関係作りから始めます。
焦らず、機会を見て一緒に外出し、子育て広場にも出かけます。
支援者が他の関係者や他の利用者との間を仲介して慣れさせるのもいいです
決まり通りに育児をしたがる
子どもが食事にムラがあり、食べなかった時は全部食べるまで追いかけて食べさせたり、食事に1時間以上もかけたりしていることがあります
子どもの体重に問題がなく、健康であることを伝え、食べムラに安心してもらいます。
そして、相談する具体的なタイミングとして、例えば、2日間全く食べない時、あるいは相談が必要な食べ残し量の目安を示しておきます。
子どもが食べなかった時に、親が「まあ、いいか」と思えたら子育ては楽になるでしょう
注意欠如・多動症が疑われる
親も間違ったり、失敗したりすることがあります
同じことが続けば、親の自己肯定感が下がるため、次の際に失敗しないような具体的な取り組みを助言します
失敗をしている親は自己肯定感が低くなっていくため、褒めることが基本
予約を忘れ・遅刻をする
子どもの診療予約をしても忘れてしまい、無断キャンセルとなってしまうことがあります
次回の予約をメモで渡します。また予約の日が近づいてきたら連絡します。
親に自覚があれば、メモを取ることを習慣にするように助言します。
急に暴言を吐く
予約ができていなかった時などに、突然相手のせいだと怒り出し、暴言を吐くことがあります
まずは怒りが収まるのを待ってから静かに声をかけます。
怒鳴られたスタッフは同僚を呼び、当人の前で事情を説明します。
突然怒る人は、相手によって態度を変える傾向があるため、対応者を変えることが有効です。
片付け・家事ができない
支援者が家庭訪問した際に、台所に汚れた食器があり、部屋も足の踏み場がなかったという報告を聞くことがあります
家事ができない人とレッテルを貼るのではなく、どのような支援が必要かを考えます。
片付けや家事をするように助言するのではなく、支援サービスを入れ、部屋の片付けを定期的に一緒にやり、やったことを褒め、スモールステップで寄り添うことが大切です。
知的発達症が疑われる
助言が伝わらず、何度も説明が必要だったり、助言通りにできなかったりしますが、繰り返すことで取り組むことができるようになります
日常の食事や服の着脱などの世話ができない
食事が炭水化物に偏ったり、子どもの服が季節外れだったりしていても気にならない状況があります
問題として指摘するのではなく、方法を写真や図などを見せて真似ができるように提示します。または一緒に行うことで、手順を伝えることができます。
病気や怪我の対応ができない
熱が出ていることに気づかず受診が遅れたり、怪我をしているのに気づかず悪化させたりします
また、医療機関でうまく説明ができません
毎日の生活の中で、子どもの世話を一定の流れで行うように支援します。同じことをすることでいつもと違うことに気づくことができます。
また、状況を説明できない時は、YES-NOのクローズドクエスチョンや、二者択一の質問を活用します。
事故防止の環境を作れない
家庭内の階段やお風呂などでの子どもの発達に合わせた危機管理ができず、繰り返し怪我をさせたりします
外で遊ぶ時も怪我をする状況が予測できず、子どもに怪我が絶えないことがあります
子どもが怪我をした時には、どのような状況で怪我をしたのか確認し、同じ怪我をさせないためにどのようにしたら良いかを一緒に考えます。
もし、親が自分で予防ができない場合には、家庭訪問などを活用して支援をします。
支援の力を伸ばす
支援者としての個人の力を伸ばす・より力を発揮できる場所で働くという点では転職を考えてみるのも一つの方法です↓(保健師の求人も多くおすすめです)
あなたの”理想の職場”が見つかる!【ジョブデポ看護師】
転職活動に対して踏み切れない人も多いですが、迷っている時間の分だけ人生の時間を損していることになります
無料で登録しておくだけでも、人生の選択肢を一つ増やしておくことができると思うのでぜひ登録してみてください
まとめ
親が発達障害の特性を持っているかもしれない場面を幾つか紹介しました
おそらくみなさんが経験したことや、他の場面が想像できたのではないかと思います
より詳しく支援のコツについて知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください↓
今回は支援者にとって関わりが難しい場面を紹介しましたが、発達特性は決して短所だけではありません
自閉スペクトラム症の特性があれば、きちんとできるまで集中力を切らさずやり遂げることができ、ADHDの特性があれば、たくさんのことを処理することをいとわず、知的発達症の場合には、穏やかな時間を一緒に過ごすことができます
支援者は発達特性を長所として生かすことを目指そう!
コメント