痩せの女性が多い日本ならではの妊婦の課題の特徴があります
この記事では、妊婦の痩せに対してどのように支援していくべきなのかを保健師が解説していきます
女性の痩せの問題とその背景
若い女性の痩せの問題は、20年近く前からずっと取り出されている問題です
当時、先進国の中では日本だけ低出生体重児の割合が増加していたという問題があり、その背景として若い女性の痩せの増加が指摘されていたよ!
ここ10年ほどは20歳代の女性の約2割がやせとなっています
低出生体重児の割合も増加はしていないものの、ここ15年ほどは横ばいで推移しており、改善に向けた一押しができていない状況です
改善意識が無い
厚生労働省の令和元年「国民健康・栄養調査」の中で、「食生活の改善の意思」についての項目があります
20歳代の女性でBMI値18.5未満の「やせ」の人(20.7%)に、食生活の改善の意思について質問したところ以下のように、44.3%の人が食生活に改善の必要を感じていないという結果でした
改善することに関心がない | 14.3% |
関心はあるが改善するつもりはない | 30% |
さらに掘り下げて集計をしたところ、やせの女性の74.5%が「改善の意思なし」と回答しています
痩せている人ほど食生活の課題意識が低い
メディアなどによって「痩せていることは美しい」などという価値が発信される中で、やせが課題であることを捉えにくいのだと思いますが、この意識不足こそが、状況の改善に至らない1番の原因だと感じています
専門職に期待すること
伝えられる場
まずは、すでに出産を経験している人の中に、2人目、3人目を希望している人もいると思うので、健診の現場などで引き続き母親を対象にメッセージを発信していくことをお願いしたいと思います
また、高校生や大学生といった若い世代への健康教育を企画していただき、将来子どもを持つためにも今から正しい食の知識や体重管理が必要だということも伝えることができると思います
もう一つが職域でのアプローチです。
健康診断を行う際に、女性の健康に着目した企画をぜひお願いいたします
忙しかったり、無理なダイエットをしたりなどで、月経不順などのトラブルを抱える女性もいると思います
食生活に関する悩みの相談を受けた際には、踏み込んだアドバイスをしていきたいね!
アドバイスの仕方
妊娠前の女性も、妊婦も同じですが、これまでの栄養指導は、減塩や脂質制限など「何かを制限する」という視点が強かったように感じています
必要なのはポジティブなアドバイスの技術だね!
先ほども説明したように、若い世代の中には自分の食生活に課題を感じていない人が少なくありません
まずは、本人も気づいていない食生活の課題がどのような点かについて、把握することから始めてください
制限する指導法から代替案の提案法へ
支援者は、仮に朝食を食べない妊婦がいたとしても責めたりせずに、どうして朝食を食べないのかを考えて、そこから「どうしたら朝食を取れるか?」「なんだったら取れるか?」ということを一緒に具体的に考えてほしいと思います
またその際、いきなり「主食・主菜・副菜が揃った食事をとりましょう」と指導するとハードルが高すぎて、妊婦はなかなか実行できません
最初はハードルを下げて「野菜ジュース1本だったら飲めそう?」「ミニトマトだったら用意できそう?」と実現可能な解決策を一緒に考えるようにしてください
妊娠したからといって、いきなり生活習慣を変えられるものではないよ!
でも、妊娠期は健康への意欲が高まりやすい時期なので、そこをうまくアシストしてあげられるといいですね
食へのハードルを下げ意識を上げる
妊婦の場合、3食バランスよく食べられることに越したことはないのですが、つわりや体調不良などもよくあるので、全てを完璧にしようとせずに、3〜4日くらいのスパンでバランスが取れれば十分です
栄養バランスも細かく考えるのではなく、日本人の場合は主食・主菜・副菜が揃っていれば概ねバランスの取れた食事と考えて良いと思います
大体できてればOKの視点
仕事や育児などで忙しい人は、冷凍食品やレトルト、お惣菜なども賢く利用しながら、余裕があれば1品くらい自分で用意してみるなど、無理なくできる範囲でバランスの良い食事を目指せれば良いと思います
現場でも忙しい人やつわりで食事の支度が大変な人に対しては「冷凍野菜を使う手もありますよ」などとアドバイスをしていただければと思います
大事なのは、「何を食べるか」よりも「バランスよく食べること」だよ!
食へのハードルを下げながらも、食事への意識を上げていっていただくよう支援をお願いいたします
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