育児・介護休業法が改正され、2022年4月から段階的に男性の育児休業の取得促進等が行われました
男性の育児休業については、男性の家事・育児時間の増加と併せて語れることが多く、少子化対策や男女共同参画社会の実現、母親の子育て負担の軽減などの様々な場面で議論されてきました
一方で、なかなか上昇しない男性の育児休業の取得率、急速に進む少子化など、まさに抜本的な改革が求められていました
そうした中で打ち出されたのが、この育児・介護休業法の改正により、いわゆる「男性の育休取得義務化」だね!
本稿では、男性の育児休業取得をめぐる経緯と現状、そのメリット・デメリット、必要な支援についてまとめてみます
男性の育児休業取得率の推移
今までの歴史
育児休業法は1991年に交付されました。
1990年代後半には官民様々な調査が実施され、「男性も育児休業を取得すべき」という声が示され始めました
だけど悲しいことに、男性における育児休業取得者の割合は、2005年度までは1%を下回ったままだったよ!
2007年に関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の代表等からなる「官民トップ会議」によって、「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」、「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定されました
その中で設定された13の数値目標がありました
その後、2010年の「イクメンブーム」もあり、様々な取り組みが行われましたが、男性の育児休業取得率はほぼ横ばいでした
その推移は2018年度ごろを境に顕著に増加し始め、2022年度には17%に達し、大企業では男性の育児休業の取得がより広まっていることも明らかなりました
育児休業取得の現状
令和3年度の育児休業の取得期間については、女性では2年前後がおおよそ60%を占めるのに対し男性では「5日〜2週間未満」が26.5%、ついで「5日未満」が25%、「1か月〜3か月未満」が24.5%となってります
しかし、平成27年度、30年度では2週間未満が70%を占めていたものの、令和3年度では51.5%となり、女性と比べるとまだ大きな差があるものの、男性の育児休業の取得期間は全体的にやや長くなってきています
男性の取得率・期間はまだ少ないが確実に増えてきている!
男性の育児休業取得率が増加した背景
急増した理由
・「男性の育休『義務化』を目指す議員連盟」の発足
・2017年に男性の育児休業取得率に関する認定基準が「1人以上」から「7%以上」へと高い目標に変わったこと
・社会の関心が「イクメン」から「育休」に移ったこと
・2019年6月にUNICEFのイノチェンティ研究所が発表した報告書が話題になったこと
UNICEFの報告書では、OECDやEU加盟国の中から対象になった41カ国中、日本の男性の育児休業制度が最も優れていると評価される一方で、取得率が極めて低いことが指摘された
コロナのおかげ?
しかし、男性の育児休業取得率が増加した一番大きな要因は、2020年から新型コロナウイルス感染症による影響ではないでしょうか
それまでなかなか柔軟な働き方が実現しなかった日本おいて、半ば強制的に在宅勤務ができる社会的インフラや労働環境の整備が進むなど、柔軟な働き方ができる仕組みと認識が急速に広まったことが、男性の育児休業取得の推進を後押ししたと考えられます
育児休業と「隠れ育休」
有給の利用
男性の育児休業の取得率について議論する上で、その趣旨を考えると「育児休業制度」という特定の制度のみを考慮することには違和感があります
育児・介護休業法の第一条では、「子どもの養育をするために、家庭と仕事の両立や労働者の福祉の向上、経済・社会の発展に資することが目的」と書かれています
それならば、育児休業だけではなく、産後に家事・育児などのために有給休暇や特別休暇などを取得することでも、目的は達せられるはずです
こうした別の休暇制度の利用は「隠れ育休」と呼ばれることもあります
隠れ育休の取得率
2017年に報告された「平成29年度仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業」では、男性において、育児休業を取得したものは8.2%であったが、年次有給休暇や配偶者出産休暇制度などの育児休業以外のいずれかの休暇・休業を取得したものは68%だったと報告されています
取得期間の長さの違いはあるものの、全体で75%以上の男性は何らかの形で出産や育児を目的とした休暇・休業を取得しています
実際に父親や家族を支援する際には、育児休業の取得率のような制度ばかりに注目せずに、父親の実際の行動そのものを適切に捉えるようとする視点が重要だね!
男性の育児休業のメリットとデメリット
メリット
男性の育児休業取得促進は、厚生労働省の労働政策審議会などで議論されてきました
その中では社会的な要請・ニーズがある上で、男性の家庭と仕事の両立の希望を叶えやすくなることや、男性の家事・育児時間が増えることによって、女性の就業継続率の増加、第二子以降の出生割合の増加などにつながることが期待されてきました
デメリット
男性の育児休業の取得は良い影響ばかりではないことを示す研究結果も出てきています
例えば、育児休業を取得した男性は子どもとの愛着形成がうまくいかない可能性があるなどのリスクが示唆されています
男性の育児休業の取得については、まだエビデンスが乏しい介入・政策でもあります
今後、その意義・効果をより引き出すための工夫や導入方法を検討していく余地が残されています
良いとも悪いともいえない
フランスにおける大規模な縦断データを用いた研究では、男性が育児休業を取得すると、男性自身の産後うつのリスクは低くなるが、パートナーである女性の産後うつのリスクは高まる可能性が示唆されました
育児休業取得に関する系統的レビューの結果では、女性の育児休業取得は女性の産後うつの予防に有効であることが示唆されましたが、男性の育児休業取得は、男性・女性いずれのメンタルヘルスに対しても、明らかな影響は示されませんでした
日本では、内閣府の研究所が男性の育児休業の取得によって勤務時間の短縮や業務の効率化への意識が高まることを示しました
一方で、育児休業を取得すると平日・休日の家事・育児をする種類数は増えるものの、時間の増加にはつながらなかったと報告しています
子育て中の父親が求める支援
父親への支援
父親は母子を支援する最も身近な存在として注目されています
共働き世帯が増えている中で、夫婦で協力しながら子育て期を乗り越えていくような家族のありようが求められています
そのために、男性を家事・育児に巻き込み、より関わるように促していく社会的な流れは今後も進んでいくものと思われます
父親も母親同様に家事・育児を担うことが当たり前の社会を作っていくならば、家事・育児にも取り組む父親を支援する体制の構築も不可欠
妊産婦である女性に対しては、産前・産後の健診、ママ向けの民間サポートなど、すでにそれぞれの時期に官民問わず、さまざまな保健医療サービスやケアが提供される仕組みがあります
父親にはそうした体制や支援を提供する機会はほぼ皆無だよね!
「とるだけ育休」と叩かれることがあるように、男性が改善すべきことも多々あるように思います
しかし、家事・育児ができない親に必要なのは、叩くことではなく、支援して家事・育児が少しでもできるようにすることです
このことに、女性も男性も違いはないのではないでしょうか
男性の育児休業取得は、男性が家事・育児をする必要性に気づいたり、そのやり方を習得したりするのに適した時間と機会を生み出します
その機会をより有意義なものにするように、専門職・支援職として父親も含めた家族を支援していけるような関わりが社会に溢れることを期待しています
支援の力を伸ばす
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まとめ
今回はパパへの必要な支援について解説してきました
今回の記事の要点をまとめるとまず、以下の2点があります
また、男性への支援についてこちらでも詳しく解説しておりますので、参考にしてください↓
この記事が、少しでもお役に立てたのであれば幸いです
最後までご覧いただきありがとうございました
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