食物アレルギーと授乳の知っておくべき関係

子どもの食物アレルギー発症への不安感から、授乳中の母親が食事制限をしていることがあります

しかし、この対処方法は正しいのでしょうか?

間違った対応が返ってお子さんに悪影響を及ぼしていることがあります

この記事では、乳児の食物アレルギーと授乳の関係について解説していきます

この記事がおすすめな人

・授乳中の人
・お子さんが敏感肌の人
・お子さんのアレルギーが心配な人

食物アレルギー

食物アレルギーとは

食物アレルギーは、特定の食物を摂取した後に免疫学的な機序により、蕁麻疹や紅斑、顔面・口唇腫張、嘔吐・下痢、咳嗽・喘鳴などの症状が誘発される疾患

例えば離乳食でたまご粥を食べさせたら、数分後に顔が赤くなり、口の周りに蕁麻疹が出現し、次第に首や体も痒がって蕁麻疹が広がった、というような場合です

乳幼児期に発症することが多く、この時期の有病率は5〜10%と報告されています

食物アレルギーに関しては、保護者が心配になり不適切な対応が行われていることがしばしば見られます

カバさん
カバさん

正しい理解に基づく適切な対応が重要だよ!

原因食物

原因食物では、鶏卵、牛乳、小麦で0歳児の95%以上を占めますが、加齢とともに自然に寛解しやすいのも特徴です

乳幼児期ではこのほか、くるみやカシューナッツなどの木の実類アレルギーが最近増加しています

従来の魚卵、ピーナッツアレルギーよりも新規発症が多く、注意が必要です

授乳と食物アレルギーの関係

授乳法ごとの関係性

母乳栄養で育てると子どもがアレルギーになりにくいという明らかな結果は出ていません

母乳には多くの有益性があるので、母乳栄養が推進されていますが、生後1か月から人工乳を併用している混合栄養の乳児では、牛乳アレルギーの発症が抑制されたという報告もあります

母親の食事制限でアレルギー予防?

母乳中に母親の食べた物に由来するタンパク質が含まれています

そのため以前は食物アレルギー発症予防のために、授乳中の母親は鶏卵などの摂取を避けた方が良いのではないかと考えられていた時期がありました

しかしその後の研究結果から、母親の食物制限は子どものアレルギー発症予防効果がないことが明らかになりました

妊娠中や授乳中の母親の食事で、子どもの食物アレルギーを減らす効果がある食品は報告されていない

現時点ではバランスの良い栄養を摂取することが推奨されています

乳児アトピー性皮膚炎と食物アレルギー

アトピーが誘発させる

アトピー性皮膚炎のある乳児では食物アレルギーを発症しやすい

これは湿疹により皮膚の正常なバリア機能が障害され、環境中にある食物成分が皮膚に侵入することにより、皮膚の免疫細胞にアレルギー物質として認識されるようになったためと考えられます

そのような乳児は離乳食開始前でも、血液検査をすると卵や牛乳に対する特異的lgE抗体が陽性となること(感作)があります

ただし感作されたからといって、食物アレルギーを発症しているとは限りません

カバさん
カバさん

感作のみを根拠に食物除去を行わないようにしよう!

アトピーを治療する重要性

重要なのは適切なスキンケアと、外用薬によりアトピー性皮膚炎を速やかに寛解させること

湿疹が持続する期間が長いと、後に食物アレルギーを発症するリスクが高まります

離乳食の開始時期は遅らせる?

食物アレルギーの発症予防を目的として、離乳食で卵などの接種開始を遅らせるべきではありません

ただ、日本の研究ではアトピー性皮膚炎のある乳児の皮膚症状を改善させた後に、生後6か月から少量の鶏卵接種を開始することで、その後の鶏卵アレルギー発症を抑制できたことが報告されています

授乳中の赤ちゃんにアレルギー症状が見られたら

通常は母乳中には母親が食べた卵や牛乳の成分が極微量しか含まれていないので、子どもに食物アレルギーがある場合でも、母親の食物除去が必要となることは多くありません

ただし乳児の口周囲に湿疹があると、母乳が触れたことにより発赤や皮疹の増悪が見られることがあります

このような場合には一旦母親の食物を除去して、赤ちゃんへの適切なスキンケア、外用療法により皮膚症状を改善させると、再度母親がその食物を摂取した後に授乳しても症状が出ないこともよくあります

(↓敏感肌の子のスキンケアに悩まれている方はこちらがおすすめです)

また母親が食べた食物が環境中に存在し、その成分が赤ちゃんの皮膚に直接接触することにより症状が誘発されていることもよくあります

基本的には授乳中の母親の食物制限は安易に行うべきではない

疑わしい場合にはアレルギー専門医への受診しましょう

まとめ

今回は食物アレルギーと授乳の関係を解説してきました

今回の記事の要点をまとめると、以下の3点があります

まとめ

①食物アレルギーの症状を抑えるために、授乳中の母親が食事を制限することは良くない
②子どもの皮膚状態が悪いと、アレルギー反応が出やすい
③母親の食事を制限するのではなく、子どもの皮膚状態を良好に保つことがアレルギー予防に有用

また、アレルギーやスキンケアについてより詳しい情報が知りたい方はこちらの記事を参考にしてください↓

「アトピー性皮膚炎の治療と悪化予防」
「アトピーとスキンケアの最新情報」
「食物アレルギーと離乳食の意外な関係」

この記事が、少しでもお役に立てたのであれば嬉しいです

最後までご覧いただきありがとうございました

コメント