【支援者向け】障害のある子どもと性

「健やかで安全な性」は心身の健康に必須であり、すべての子どもがそれを享受することが望まれます

本稿では特に、発達障害や知的障害のある子どもについて述べます

障害のある子どもは、自分自身の性的欲求に戸惑いを感じる、不適切な性行動を取る、性犯罪に巻き込まれるなどのリスクが高いポピュレーションであり、「健やかで安全な性」を享受するために支援の重要性はさらに高まります

障害のある子の性への支援

子ども本人が成人になるまでに習得すべきことは多いですが、少なくとも、以下の2点は理解することが望ましいです

①プライベートゾーン
②公の場での精的行動の制御(社会的ルールの理解)

また、支援者はこれら2点に加え
③障害のある子どもも、そうでない子どもと同様に多様な性的指向・性自認を持ちうることを理解する
必要があります

それぞれの子どもの障害の程度、認知面の発達段階、実年齢に応じて伝える内容を考慮し、できるだけ早期から、その子が理解できる内容を理解できる形式で指導していきましょう

カバさん
カバさん

家庭だけではなく、学校や療育の場でも情報提供や指導が行われることが理想だね!

プライベートゾーン

典型的な発達の場合、性別の違いを理解できるようになるのは1歳半〜2歳

障害のある子どもでは、それぞれの障害の程度によって理解できる時期は異なりますが、「〇〇ちゃん(君)のパンツはどれ?」と尋ねて「ここ」と自分の履いているパンツをさせるようになったら、説明できると考えます

カバさん
カバさん

プライベートゾーンは「パンツの中」、または本人が理解できるようになったら「水着で隠れる場所」と伝えると良いよ!

①プライベートゾーンは自分だけの大事な場所
②自分が見せてもいいと思う人以外には絶対に見せない
③人前でプライベートゾーンを出さない
④自分が嫌なのに誰かが見たり触ったりしたら「いや!」と言ってすぐに逃げ、信頼できる大人に必ず言う

の4つを伝えます

保健指導の中では、医療者が加害者役をして本人と「いや!」と言う練習、逃げる練習をすると良いです
家庭でも日常生活の中でこの4つの本人に教え続けてもらいましょう

思春期の子への教育

思春期には当然、誰かに恋愛感情を抱くことがあります

警戒心を持つことが難しく性犯罪被害に遭うリスクが高いため、前述の①〜④に加え、
⑤SNSでプライベートゾーンに関連するやりとりを絶対にしない
と言うことも伝えます

カバさん
カバさん

「変なSNSが来たらどうする?誰に言う?」など具体的なシミュレーションをしておくことも大切だね!

性的行動の制御(社会的ルールの理解)

不適切な性的行動例

・公衆の場でのマスターベーション(または陰部を触る)
・恋愛感情がある相手への不適切な振る舞い(まとわりつく・触る)
・性器の露出

プライバシーという概念の欠如や、相手の気持ちを憶測する困難さ、感覚の問題(特定の感覚を極端に好むなど)が関係すると言われています

通常、こうした行為は思春期以前にも観察され、幼少期から繰り返しの指導が重要です

指導内容

プライバシーと公の違い、陰部を触ってもいい場所といけない場所があること、(例えば「自分の部屋はOK、学校はダメ」)、プライベートゾーンを人前で出さないことなど、幼少期からソーシャルスキルトレーニングの一環として指導しましょう

性的指向・性自認

障害がある子どもの保護者は、その障害ゆえに
「我が子には性的な関心はない」
「恋愛なんてするわけがない」
と思い込んでいることがあります

カバさん
カバさん

しかし、身体的な思春期を迎え性的欲求が高まること、他人に性的関心を抱くことは生物として自然だよ!

そして、障害の有無に関わらず、すべての人は多様な性的指向・性自認を持ちます

保護者・支援者の理解によって、よりその子らしい人生が営める

まとめ

本邦の現在の体制では、障害への対応のみになりがちであるが、「障害を含めたその子全体」を身体・心理・社会面から包括的に支援することで、健やかさを向上させられます

性に関する指導は、それぞれの障害の程度や特性、さらには保護者の意見や家庭環境も考慮せねばならず、決して簡単ではありません

カバさん
カバさん

性への支援は、その子の生涯の健康の基盤となるよ!

障害のある子どもの性への支援が、医療・教育・福祉の現場でより普及させていきましょう

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カバさん保健師

保健所保健師としての経験を活かし、育児情報を発信!

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・母子支援(妊娠〜就学まで)
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