皆さんは学習障害ってどのようなイメージですか?
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・成績が悪い
・授業についていけない
・サボっているだけ
学習障害は聞いたことがあるけど、説明してと言われても具体的には説明できない人が多いと思います
学習障害は知的な遅れはないのに、学習面での得意・不得意に大きな偏りがあるため、頑張っても成果が現れにくく、誤解されやすい子たちです
この記事では、学習障害の特徴から関わり方のポイントまで保健師が解説していきます
・我が子が学習障害か心配な人
・学習障害について知りたい人
・学校の勉強についていけない人
・勉強を頑張ってるのに成果が出ない人
・学習障害の子との関わり方のポイントを知りたい人
学習障害とは
学習障害(LD)は「全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち特定のものに著しい困難を示すもの」とされています
原因
原因としては、中枢神経系、つまり脳の先天的な機能障害と推定されていますが、視覚・聴覚障害、知的障害、情緒障害や、環境的な要因が直接の原因となるものではありません
いつ診断がつく?
能力の偏りに気づくのは本格的に学習が始まる就学以降が多く、幼児期にも形の認知ができない、大人の説明が分からないなど辛い思いをしていますが、特定の分野だけが苦手なため発見は遅れがちになります
本人の辛さ
知的障害と異なり、苦手なもの以外の学習能力は平均以上になる子も多いため、努力が足りない、怠けているなどと思われがちです
本人も、どんなに頑張っても効果が現れないことから、自信を無くしてしまうことがあります
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ADHDや自閉症を併存することも多く、社会性の困難や不器用などが学習の困難性を強めていることもあるよ!
主な特性
①読むことが苦手
☑︎意味で区切ることができず、1字ずつ読む
☑︎文字や行を飛ばして読んでしまう
☑︎形の似た文字を読み間違える
☑︎小さい「や、ゆ、よ、つ」を発音できない
文字を目で追う、じっと見つめるのが難しい
読むのが苦手な場合、見る力、それも視力ではなく目の動きによる「見え方」が関わってくることがあります
眼球運動の機能につまずきがあると、文字を目で追う「追視」が難しく、何度も同じ行を読んだり読み飛ばしたりしてしまいます
また、両目の動きを調節して、物を見る機能がうまく働かないと、文字が滲んだり、二重に見えたりして、読むのが困難になります
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文字に限らず、○や△など形の認知も難しくなるよ!
本人は見えづらい世界が当たり前になっている!
言葉としてのまとまりを意識して読めない
文字1つずつは読んで音にすることはできても、それを1つのまとまり・意味を持つ言葉として理解できないことがあります
例えば「り」「ん」「ご」と1文字ずつ読んで音にすることはできても、それが果物の「りんご」と理解しているわけではないので、読み方はたどたどしくなります
②書くことが苦手
☑︎形の似た文字を書き間違える、漢字を書き間違える
☑︎鏡文字を書く、句読点を書き忘れる
☑︎板書ができない
☑︎文字の大きさがバラバラでマスや罫線からはみ出す
文字の形、大きさのバランスが悪い
見たものの奥行きや、左右・上下の位置関係を認知する力が弱いと、文字の形や大きさを適切に書くことが難しく、鏡文字になったり、大きさにばらつきが出たり、マスや罫線からはみ出したりしてしまいます
不器用で鉛筆をうまく使えない
感覚の偏りから手先が不器用な子が多く、その場合、鉛筆を正しく持てなかったり、適度な筆圧を保つことができなかったりして、文字を書くことに困難が出てしまいます
書き写すのが難しい
聞いた話や見た文字を一時的に記憶して書く、と言う場合、その一時的な記憶の部分で、ワーキングメモリが使われますが、この機能につまずきがあると、先生の話や黒板の文字をノートに書き写すことは難しくなります
書くことが苦手な子への詳しい対応の仕方を知りたい方は、こちら「文字がうまく書けない子への対応の仕方4選」の記事を参考にしてください
③聞くこと・話すことが苦手
☑︎聞き間違えが多い
☑︎筋道立てて話すことができない
☑︎言いたいことを言葉で表現できない、相手の言うことが理解できない
必要な音・声を聞き取ることが難しい
注意力が弱いと聞き漏らしが多くなります
また、聴覚過敏があると、周囲の僅かな騒音がひどくうるさく聞こえて先生の話が聞こえなかったり、必要な音を選んで聞き取る力が弱いと、先生の声だけを聞き取れなかったりします
似た音の違いの聞き分けが難しい
音の聞き分けが苦手だと、例えば「はち」と「はし」など似た言葉の聞き分けは難しくなる他、「ようふく」などの長音や「ちょうだい」などよう音のほか、促音の聞き落としがあり、「ねっこ」を「ねこ」と聞いてしまったりします
言いたいことを整理して言葉にできない
脳内の情報処理能力につまずきがあると、脳の中の情報を整理し文章にして出すということが難しくなります
人の話を聞いて理解することはできるのに、自分が話すとなったら言葉が出ないと言う姿として表れます
④計算・推論が苦手
☑︎指を使わないと計算できない、数字の位取りを間違えてしまう
☑︎計算はできるのに、文章題になるとわからない
☑︎図形、表、グラフ問題が理解できない
☑︎見直しや作業時間の配分ができない
計算の苦手には色々な理由が
数の順序、少数・分数など数の概念が理解できないと、計算は困難になります
ワーキングメモリがうまく働かないと、繰り上がりの数を覚えられず、計算や暗算が難しくなります
指を使っての計算からなかなか抜け出せないと言うこともあります
図形、グラフの問題が苦手
見る力と関係しますが、視覚的な認知力がうまく働かないと、図や形を正しく捉えることができません
図形やグラフの問題を解くのも難しいでしょう
また手先の不器用さから、コンパスや定規を使って線や図形を書くのが難しいと言うこともあります
予測・推測が必要な課題は苦手
推論とは、事実から結果を予測したり、結果から原因を推し量ったりすること
それが難しい場合、証明問題や作文は苦手です
幼児でも、オリジナルのお話を作るような遊びは難しいでしょう
算数が苦手な子への詳しい対応の仕方を知りたい人は、こちら「算数が苦手な子への対応の仕方4選」の記事を参考にしてください
関わりのポイント
何に困っているかを見極める
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子どもが何に困っているか、早く気づくことが大切!
そのためには、算数、国語という教科としてではなく、日常生活の様子も含めてどんなところに苦手があるのかを具体的に見ていきましょう
例えば、見る力が弱いのか、聴覚過敏があって先生の声が聞きづらくなっているのか、といったことです
子どもの「苦手」に合わせた工夫
見ることが苦手で文章が読めないなら、追視・注視がしやすいような教材を工夫したり、ラインを引いたり
聞き取る力が弱いなら、こちらの声に集中できるように注目させてから話す、短くはっきり話すなど。
視覚的に伝える工夫もいいですね
なお、言葉の理解力やワーキングメモリ、手先の器用さなどは、様々な場面に関わってくるので、教材や指導法の工夫だけでなく、根本的にこうした力の発達を促す遊びや運動を行なっていくことも大切です
叱らずに、具体的な方法を提案する
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「やればできるのに、努力が足りない」「頑張ればできるはず」と思われがちだよ!
周囲がそういう気持ちで関わると、本人もそう思い込み、頑張ってもできない自分に落ち込んで、自信・やる気はどんどん下がっていきます
出来ないものについては、大人が一緒に考えながら「こうしてみたら?」とわかりやすくなるやり方を伝えてみましょう
「やりたいのにやれない」→自尊心の低下→「どうせできないからやらない」→出来ないことが増える
自信をつけ、意欲を持たせる工夫
苦手なものに関して、できたという達成感を味わいにくくなっています
課題を細かく区切って、1つできるたびに褒めていきましょう
学校の先生と相談
困っていることと適切な対応については、担任の先生に相談してみましょう
場合によっては特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラーを紹介してもらい、より専門的な観点で家庭での支援についてアドバイスをもらえるかもしれません
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学校側との密な連携が必要だね!
まとめ
今回は学習障害と関わり方のポイントを解説してきました
今回の記事の要点をまとめるとまず、学習障害の特性としては大きく分けて以下の4点があります
①読むことが苦手
②書くことが苦手
③聞くこと・話すことが苦手
④計算・推論が苦手
そして、この特性を踏まえて、上手に関わっていくコツは以下の5点です
①何に困っているかを見極める
②子どもの「苦手」に合わせた工夫
③叱らずに、具体的な方法を提案する
④自信をつけ、意欲を持たせる工夫
⑤学校の先生と相談
この記事が、少しでもお役に立てたのであれば幸いです
最後までご覧いただきありがとうございました
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