様々な病気により、一度は予防接種で獲得した免疫が失われてしまうことがあります
その際には予防接種の再接種が推奨されています
この記事では予防接種の再接種についてお伝えしていきます
再接種を必要とする子
白血病などの血液悪性疾患だけでなく、免疫不全症や骨髄不全症、代謝異常症など様々な難病が造血細胞移植(骨髄移植など)で治癒するようになり、国内では年間に300〜400人の子どもたちが移植を受けています
造血細胞移植では、ドナーの造血幹細胞から作られた血球で免疫を再構成することになります
移植後には患者が予防接種で獲得した免疫(抗体)が失われてしまい、ドナーが獲得した免疫も持ち越されないことから、移植後は予防接種の再接種が推奨されているよ
骨髄移植により、失った免疫を再度予防接種することで獲得する
再接種の時期と種類
移植後の経過が順調であれば、移植後半年〜1年が経過した時点から不活化ワクチンを、2年後から生ワクチンの接種を開始するのが一般的です
再接種が推奨されるのはBCGやロタウイルスなどを除いたほぼ全てのワクチンで、多くの患者さんで10本以上の接種が必要となります
移植後半年後からほぼ全てのワクチンを再接種する
各ワクチンの効果について知りたい方は以下の記事を参考にしてください
・「4種混合:ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオとは」
・「小児の肺炎球菌感染症ワクチンの効果と必要性」
・「Hib感染症ワクチンの効果と必要性」
・「B型肝炎ワクチンの効果と必要性」
再接種の費用
未接種の場合の期間超過については定期接種の機会を確保する制度が整えられていますが、移植前に実施済みの定期接種の再接種は公費による助成の対象とはならず、全額が自己負担となってしまいます
自治体の個別の取り組みにより「骨髄移植等により免疫を消失した方の予防接種再接種費用の助成」として補助を行う市町村が徐々に増えつつありますが、まだ補助制度が整備されていない地域が大部分であり、平成30年の調査では助成事業が行われている自治体は5%程度にとどまっています
予防接種で定期接種の対象となる「A類疾病(麻疹・風疹など)」は、「ワクチンで防げる感染症」と位置付けられています
また、定期接種の枠の外になってしまうことで、副反応が生じた際の「予防接種健康被害救済制度」の対象からも外れてしまいます
接種代もかかるし、副反応が出た時の救済もないなんて(泣)
辛い治療である造血細胞移植を乗り越え、難病を克服した子たちを支援する仕組みを整えることが望まれます
まとめ
今回は再接種について解説してきました
今回の記事の要点をまとめると、以下の3点があります
この記事が、少しでもお役に立てたのであれば嬉しいです
最後までご覧いただきありがとうございました
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