喪失体験をした子どもと関わることに抵抗がある人は多いです
それは、どのように子どもとその家族に接したら良いかわからないからです
この記事では、子どもの喪失体験にはどのようなものがあるか、また年齢ごとの現れ方や対応の仕方を解説していきます
子どもの感情
子どもは自分の気持ちに蓋をします。
辛くても「辛くないよ」と言います
子どもは権力がないため、自分を責めます(自責の念)。
みんなはこんな状況でもやっている、自分はダメだなと思う劣等感。
これらから、無力な自分はダメな存在と思い、喪失感から孤独につながっています
小中高の児童生徒の自殺者数は年々増加傾向にあります
子どもにとっての喪失
子どもにとっての喪失とは子どもの生活・日常が失われること
欲求が満たされない、大切な人を失う、大切なものを失う、自身の尊厳を傷つけられる・失う、夢や理想を手放す・失うことで喪失の体験をします
身体面、情緒面、行動面、社会面に影響があります
喪失の種類
対象の喪失には
外的な対象喪失
大事な対象が目の前から本当にいなくなってしまう、なくなってしまうこと
内的な対象喪失
その対象が目の前にあり続ける中で、その対象に対するそれまで抱いていたイメージを失ってしまうこと
があります
そして、さよならのない別れや別れのないさよならなど曖昧な喪失は心の傷になります
葬式は傷つくからと参加させないことも逆にずっと心の傷となってしまうよ!
喪失の体験者に見られること
喪失の体験者に見られることとして、無力感、不健康、喪失感があります
無力感
楽しくない、やる気がないのに「なぜ生きていかなくてはいけないのか」と感じる
しかし、大人を困らせる質問はしなかったり、子どもの表現は未熟であることから無力感を言語化してくれる子はほとんどいない
不健康
どうせ・・と考え、気力がなく、楽しい時に笑えなかったり悲しい時に泣けないなど心と体がつながらない状態
喪失感
「自分はどこにいるのか?」「どこに向かえば良いのか?」と存在に対する疑問を感じ、対象(感情を向ける相手)や方向(モデル)を喪失している状態
喪失は1歳くらいでも「いつもとだっこの手が違う」「何か違う」など感じ取り、喪失を体験するよ!
子どもの喪失の悲嘆のプロセス
①ショック、感情鈍麻、呆然自失 ②事実の否認 ③怒り ④起こり得ないことを夢想し、願う ⑤後悔、自責 ⑥事実に直面し、落ち込み、悲しむ ⑦事実を受け入れる ⑧再適応
プロセスは進んだり戻ったりを繰り返します
多くの喪失体験からの否定的な自己イメージを「遊び、学び、聞く、話す」ことにより肯定的な自己イメージに変えていく
年齢ごとの喪失への様子と対応
乳児期
ぐずり気味になる。身体症状が出る。
できるだけ誰かがそばにいるようにする。一定の生活リズムになるように配慮する。親自身が自分の心のケアをする
幼児期
甘え、退行的行動(赤ちゃん返り)が見られる。
何が起こっているか、起こるかの具体的説明。「死」という言葉を使って説明する。安心できる情報も一緒にして伝える
学童期
身体的訴え、学力の低下、良い子であろうとする。
お別れを言う機会を作る。感情を抑え込みすぎない環境
思春期
感情を出さない、大人ぶる、危険な行動をする。
友達とのコミュニケーションや学校生活に配慮する。しっかり愛情を伝える
回復のための関わり
今を大切にする
傷つきのある子ども達にする関わりは、「自分はダメだ」と反対にある、「あなたはあなたのままでいい」そして、「あなたがそこにいるだけで素敵だと思っている人間がいるよ」を伝えることです
そのためには、「あなたが感じている感情を、一緒に味わっている人間がいる」ということを伝えることが大切だね!
ご飯を食べている時に子どもが「おいしいね」と言ったら、「おいしいね」と伝える。
「夕日が綺麗だね」と言ったら「きれいだね」、「痛いね」と言ったら「痛いね」、「これなんか臭いね」と言ったら「なんか臭いねえ」と
子ども達が「自分が今感じている感情は間違っていない」と思えるように働きかけることです
傷つきのある人と関わる基本は、「今」としっかり向き合ってもらう関わりをすることだよ!
それが、その子の生きる力となるはずなのです
子ども達は、「今」を生きる生き物です
目の前に、水溜りがあったら入りたくなります。蟻が行列を作っていたらずっと見ていたくなります。綺麗な虫がいたら捕まえたくなります。
興味を持ったことは周りが見えなくなるほど集中します。当然ですね。「今」に向き合っているからです
子ども達は、今に向き合っていると生きる力が溜まっていくのだと感じます
心の声を聴く
行動には理由(意味)があります
見えるのは行動と言葉(表現)です
子ども達の声に耳を傾け子ども達の声を聴く必要があります
子ども達には言語化することを求めてしまいがちですが、言語化できないから行動化や身体化します。
その表現をメッセージとして受け取る必要があります
心の声を聞くということは相手の感情を表情や行動から読み取り、言葉で表現するのを手伝うことを言うんだね!
感情の後ろの願いを言語化
思春期の子に「どうした」「何かあったの」と聞いても「うるせえ」という気持ちになってしまい、気持ちが出せません
「なんだか悲しそうね」や「怒った顔をしているね」など相手の見たままを伝え、「あなたの感情は受け取りましたよ」ということを伝えていきましょう
その子の感情を見て見ぬ振りはせずに、聞く側は聞けるような姿勢で待つことが大切だね!
また、子どもからは「表現しなくてもわかってよ」と言われることもあります
その際には相手の気持ちを想像できなかった自分は恥をかかされた気持ちになります
恥は怒りの感情に転じやすいので子どもに「言葉で言わなきゃわかるわけないでしょう」と怒ってしまいます
なぜその行動をせざるを得なかったのか、なぜその気持ちを持たざるを得なかったのかなど、表出の奥にあるその子の願いは何か考え、どんな感情も大切にすることが大切だね!
受容はするが許容はしない
受容:どんな感情も持っていてもいいんだよと感情を受け止めること
許容はしない:ダメなことはダメ、やらなくてはいけないことはやりますと行動を容認しない
この辺りの判断は家族だと難しいこともあるため、その際は専門家に見て貰えば良いです
まとめ
心はわからないことが多く、わからないと不安でわかったふりをしてしまったり自分の価値を押し付けてしまったり見て見ぬ振りをしてしまうことがあります
今日という日は誰にとっても初めての日であり、失敗したって助けてって言ってもいいです
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