近年の女性の妊娠・出産に関しては、晩婚化、出産年齢の高齢化、少子化、体格(痩せ傾向)、社会的ハイリスク妊娠の増加などで特徴づけられるように思います
いかにこれらの特徴が妊娠・出産や新生児に影響を与えるかを中心に解説したいと思います
高齢出産のリスク
女性の平均初婚年齢は1950年に23歳でしたが2014年には29.4歳と晩婚化が進みました。
これに呼応するように出産年齢も上昇しています
これらの基礎疾患や合併症が胎児発育不全や早産につながることも珍しくありません
一方でメリットとして、高齢出産の女性は経済的に余裕があり、社会経験も豊富であることが挙げられています
少子化と不妊治療
2000年に約119万人であった本邦の出生数は、2021年に約81万人まで減少しています
少子化対策の一環として、2022年4月には不妊治療の保険診療が始まりました
不妊治療による妊娠では以下の妊娠合併症の頻度が高いと報告されています
しかし、不妊治療そのものによる児の長期予後への明らかな悪影響を示すデータはありません
母体体格と周産期合併症
妊娠前に痩せの女性
本邦の20代女性の「痩せ」の割合はこの10年あまり変化はなく、約20%と高い水準が続いています
これらの合併症は、もともと痩せているほど、また体重増加量が少ないほど発症するリスクは高く、体重増加が得られるとリスクが下がります
妊娠前に肥満の女性
妊娠前に肥満の女性は、妊娠中の体重増加量に関わらず、以下のリスクがあると言われているので注意が必要です
早産や胎児発育不全の影響
早産や胎児発育不全、低出生体重の児は、在胎週数や発育不全の程度にもよりますが、以下のリスクが高いと知られています
DOHaD説
胎児発育不全や低出生体重の児は、胎生期に望ましくない劣悪な環境(低栄養、ストレスなど)に暴露されることがあり、このことが遺伝子の発現に関連する変化を引き起こして、成人後の高血圧や糖尿病、心疾患、腎疾患、脂質異常症などの発症率が上昇することが知られています(DOHaD説)
ハイリスク妊娠の増加と虐待
出産前から経済苦、予期せぬ妊娠や孤立などで支援が必要と行政に認定される「特定妊婦」は近年増加し、認定されないながらも問題を抱える妊婦(社会的ハイリスク妊婦)も存在します
これらの妊婦が出産後に児童虐待に関与する確率が高いため社会的問題になっているよ!
児童虐待による児死亡症例の4割は0歳児であり、施設外分娩(トイレでの分娩など)による24時間以内の死亡なども含まれています
特定妊婦や社会的ハイリスク妊婦に対する妊娠前や妊娠中からの教育や支援が急務
プレコンセプションケア
妊娠合併症を減らすためには、妊娠前から妊娠や出産についての正しい知識や生活習慣を身につけ、体を整えることが大切!
将来の妊娠・出産のための健康管理を行うことは「プレコンセプションケア」と言われ、近年関心が高まっています
さらに妊娠を考える前の時期、すなわち性交開始年齢に到達する前に避妊や妊娠・出産後の生活、受診の重要性、支援に関する知識を得る機会を充実させることも重要です
まとめ
現在の女性の特徴と児への影響を、周産期に関する項目を中心に解説しました
日本の周産期予後は他国と比べても大変良いと言われていますが、更なる改善を目指すためにも、プレコンセプションケアの普及、社会的ハイリスク妊娠を予防するための教育、支援などの拡充が必要です
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