乳幼児は風邪によくかかりますが、どうしてよくかかるか知っていますか?
子どもの免疫について知ることで、予防策も考えることができます
この記事では、子どもの免疫機能の特徴と感染した際の重症化予防のための対応について解説していきます
病原体から体を守る仕組み
免疫には大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」があります
自然免疫と獲得免疫は連動しながら、様々な病原体から私たちの体を守っています
自然免疫
自然免疫とは人の体に生まれつき備わっている免疫システム
自然免疫を担うものとして白血球やマクロファージなどが挙げられます
これらが、体内に侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体をいち早く認識し、捕まえて食べる(貪食)ことによってコントロールします
そして、貪食で得た病原体の情報は、獲得免疫を担うリンパ球やT細胞などに伝えられます
獲得免疫
獲得免疫は後天的に形成される免疫システム
自然免疫から得た情報をもとに抗体を産生したり、攻撃できる体制を整えたりすることで、同じ病原体が侵入してきた際に素早く対応できるようになります
子どもの免疫
ほぼ無菌状態で生まれてくる赤ちゃんは獲得免疫が未熟です
そのため、もともと備わっている自然免疫を使って病原体と戦うのですが、その他に赤ちゃんは、母親が保育する抗体の一部を、胎児期には臍の緒を通して、乳児期には母乳を通して受け取っています
母親からの抗体も活用して病原体と闘っていくよ!
胎児期からの免疫
臍の緒を通した抗体の移行は妊娠6〜7か月頃に始まり、正期産の頃には母体よりも抗体濃度が高い状態になります
ただし、早産の場合は胎内にいた期間が短い分、移行抗体は正期産児よりも少ない状態です
移行抗体の半減期は1か月と言われており、半年もするとほぼ失われる
子どもの自然免疫
子ども自身の自然免疫はどんどん成長していき、4〜5歳になると成人の自然免疫よりも強くなるのではないかと言われています
とはいえ、自然免疫だけで様々な病原体と戦い続けることは難しく、病原体に繰り返し触れることによって少しずつ獲得免疫を増やしていくことが必要です
乳児期には年に7〜8回、風邪を引くと言われていますが、学童期になると年3〜4回、中学生以降は年1〜2回になり、免疫の獲得とともに感染症に罹患する回数も減ってきます
子どもは生まれてから10年くらいの期間で日常的に遭遇する一通りの病原体に感染する
重症化の判断のポイント
感染症に限らず、子どもが病気になった時、保護者に知っておいて欲しいのは重症化の判断です
その際には小児の救急外来でよく使われているトリアージ法の一つである「PAT」という評価法が使えます
PATは
「外観」「呼吸状態」「皮膚への循環」
という3つの要素で構成されており、重症化を見逃さないための客観的な指標として活用されています
具体的なチェック項目は
この3要素に加え、水分が取れているか、尿・汗・涙はでているかということもチェックポイントです
3要素のうち一つでもおかしな項目があった時は重症化のリスクが高まると言われているため、速やかに医療機関を受診しよう!
また、生後3か月未満の乳児は発熱も要注意で、小児科をすぐに受診すべき目安になります
重症化の予防ケア
重症化予防のケアとしては子どもに水分をしっかり取らせる
その他子どもを十分に休ませることなど病気になった時の基本的なケアを行なっていきます
感染症に特化したケアとしては、子どもから感染症がうつらないように保護者のマスク着用の徹底や手洗いの励行など感染対策を怠らないことが大切です
終わりに
現在、ワクチンで予防できる感染症は罹患者数が激減しています
そのため自然にかかることはほぼないのですが、中にはワクチンを接種せずに大人になる人もいます
成人がかかると症状が重くなる感染症も少なくないので、可能なら保護者自身の母子健康手帳で子どもの頃の感染症歴やワクチン歴を確認してみましょう
感染歴がなく、ワクチンが未接種のものがあった場合はワクチン接種をしよう!
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