保育所に通う園児たちの世代のアレルギー疾患有病率は高いです
保育所で最も問題となる食物アレルギーは乳児で8%、幼児で5%程度とされています
これらアレルギーのある子ども達が、保育所等における生活を安全かつ快適に送ることができるように、厚生労働省からガイドラインが発出されています
今回はそれに準拠する内容で解説していきます
生活管理指導表を用いた対応と活用
生活管理指導表は、児のアレルギーに関する医学的情報が医師により記載される、いわば診断書
このため生活管理指導表に、保護者が記入や加筆をしてはいけないよ!
また、生活管理指導表は、医師による保育所におけるアレルギー対応の指示書ではなく、あくまで情報提供書です
保育所におけるアレルギー対応は、ガイドラインに基づく対応が前提であり、生活管理指導表はその対応を実現するための、医師と保護者、保育所間のコミュニケーションツールです
例えば、生活管理指導表に医師から、「鶏卵はつなぎ料理を出してやってください」と記載があっても、ガイドラインでは段階的な給食提供は推奨していないため、保育所が医師の指示を実現しようと努力する必要はないです
保育所のアレルギー対応の基本原則
アレルギー疾患全般の管理原則ガイドラインでは4点示されています
全職員の共通理解のもと組織で対応
アレルギー対応は、一度間違いが起こると健康被害が発生し、時に重篤化する
こうした対応を特定の個人が担うのではなく、組織で対応することが求められています
具体的にはアレルギー対応委員会等を組織し、保育所長が責任者となり対応に取り組みます
その上で、保育士、看護師、栄養士らがそれぞれの技術や能力を活かして対応します
診断指示に基づき保護者と連携し対応
アレルギー対応が適切に進まない要因として、医療機関と保育所の連携が不十分だったり、医療情報が正しく伝わらなかったり、保育所のアレルギーに対する正しい理解が普及しないことなどが挙げられます
これらを解決するために、生活管理指導表を運用し、医師の診断のもと、保護者を介して対応を充実させることが重要です
地域と関係機関の連携
保育所におけるアレルギー対応は、保育所内だけで完結するものではないです
専門医療機関、地域行政(保育課など)、消防機関との連携も重要です
こうした地域の連携では、行政機関にコーディネーターとしての役割が期待されます
安全・安心の確保を優先する
保育所の役割で最も重要なことは、元気に登園してきた園児を、元気に家庭に帰すことだね!
食物アレルギーの給食提供において、「出すか出さないかの二者択一の対応」が強調されるのはこの原則に則るためです
食物アレルギーの対応
小児アレルギー疾患は、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーが代表的ですが、保育所での対応は食物アレルギーが中心となります
①保育所の食物アレルギー対応の特殊性
a .提供給食の多様性
保育所給食は、食数は少ないですが、提供回数や種類が多い特徴があります
患者ごとの個別対応をしようとすると、調理や給食の現場は煩雑となり、それが誤食事故を誘引することになるね!
b .事故予防・栄養管理がより重要
対象年齢が低いため、患児自身の食物アレルギーに対する理解が乏しく、管理者(保育所)による配慮と監視及び環境整備がより重要となります
また保育時間が長いため、給与栄養目標量が食事摂取基準に占める比率が高く、栄養管理もより重要視されます
c .保育所で新規の発症がある
保育所における食物アレルギー症状の誘発は約2/3が新規発症であり、保育所において症状誘発は避けることができません
このため特に緊急時の適切迅速な対応能力の習熟が求められます
d .経過中に治る
乳幼児期に発症の多い、鶏卵・牛乳・小麦アレルギーは3歳までに約50%、就学までに70%程度が治ります
このため、患児は定期的に医療機関を受診し、耐性獲得を評価してもらい、保育所では、その変化に応じた対応を求められます
②食物アレルギー誤食事故の予防法
食物アレルギー誤食事故の原因は、疾患に対する知識不足や技術不足というよりも、錯覚や見落としや誤解(思い込み)、業務怠慢(確認忘れ、確認漏れなど)で発生することが多いです
こうした単純ミスを予防するために、対応職員は事故予防意識を常に持ち、物理的な対策(複数確認作業、用紙チェック作業など)を実践することが前提となります
しかし、予防対策に万全はなく、人為的ミスは必ず発生するよ!
そうした視点からガイドラインが推奨する対応策の一部を示します
a.献立作成の際の工夫
新規に発症するリスクの高い食材(果物類:キウイ、バナナ、桃、リンゴなど、木の実類:胡桃、カシューナッツ等、落花生、イクラなど)を献立に組み込まないことで、リスク低減効果を図ります
また、鶏卵・牛乳・小麦など頻度の多い食材をできるだけ献立にしないようにしています
b .保育所で「初めて食べること」の回避
保育所における食物アレルギー症状誘発例の実に2/3は初発事例です
このため、保育所給食で使用される食材リストを事前に保護者に渡して、事前に家庭で同量以上を少なくとも2回以上食べてもらうことを促します
c .アレルギー食対応の単純化
食物アレルギーは、段階的に除去が解除されます
例えば牛乳25mlまで摂取して良いとか、鶏卵つなぎ料理までは摂取して良いなどです
このため、医師や保護者は児の摂取段階に合わせた給食提供を求める傾向があります
しかし段階的な個別対応は、調理・配膳作業が煩雑となり、むしろ誤食事故の原因となります
保育所給食におけるアレルギー対応は提供するか、しないかの二者択一でなければならないね!
アナフィラキシーの対応
誤食予防策に万全はなく、人為的ミスは必ず発生し、アナフィラキシー事故もいつか必ず発生します
そうした視点での対策もガイドラインで強調されています
より重篤なアナフィラキシー症状に対するアドレナリン自己注射薬(エピペン)対応を記述します
エピペン注射のタイミング
具体的な打つべきタイミングは、日本小児アレルギー学会が緊急性の高い症状として13症状を提案しています
このうち一つでも該当する症状があれば緊急性が高いと考え、エピペンの投与、エピペンがなければ救急要請が求められます
エピペンの使い方
エピペン注射は非常に簡単な手技です
しかし緊急時に施術者は動揺しており、適切に使用できないことが少なくないです
このために日頃から練習用トレーナーを用いて、注射主義を確実に覚えています
練習用トレーナーは製品に付属しており保護者は必ず持っているので、これを借用することが多いです
a .しっかり握り青色の安全キャップを取る
エピペンを利き手で、しっかり把持します
エピペンはオレンジ色の先端部から針が射出されます
これと逆方向の青い部分は針が不用意に出ないように、取り外し可能な安全キャップになっています
使用時は、この青色の安全キャップを取り外すことから始まります
b .エピペンを打つ
大腿部(太もも)上部外側、ちょうどポケットのあるあたりに注射し、数秒保持します
注射針は服の上からでも十分に貫通するので、脱衣する必要はないよ!
ただしポケットに硬貨や鍵などが入っていないことを確認します
装填されているアドレナリンは速やかに注射されるが、射出の反動や患児の痛がり方に驚いて、すぐにエピペンを抜いてしまうことがあります
注射の確実性を高めるために、注射後は数秒保持しましょう
c .エピペンを打った後に
エピペンを抜くと、先端のオレンジ色の部分が針を隠すよう伸びてきます
このため、エピペン抜去時に先端部が伸びてなければ、注射はできていないと言えます
この場合、改めて初めから手技を確認します
安全キャップが外れていなかったり、打つ力が弱かったりするために打てていないことが多いよ!
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