【支援者向け】高年母への授乳支援

支援をする際に高齢であることを気にしていますか?

高齢妊産婦だからこそのハイリスク要因や困難感があります

この記事では、高齢妊産婦の特徴を踏まえ、必要な支援について解説していきます

高齢妊娠者だからこその特徴

高齢妊娠者は、若年者よりも経済的に余裕があり人生経験が豊かなため、精神的に安定しているように思われがちですが、実際は妊娠適齢期世代の母親とは異なる医学的・社会的不安を抱えています

高年母は、すでに自身のライフスタイルを確立し、健康にも自信を持たれている方が少なくありません

そのため、生活習慣を変えることに対して、若年者よりも抵抗感を持たれることが多く、指導に際しては配慮が必要です

カバさん
カバさん

妊娠中から産後を見越した生活習慣の見直しを勧めていこう!

後期早産児や多胎児の母へのサポート

高齢妊娠では、後期早産児や多胎児の割合が増えるため、それらに関するサポートがとても大きなテーマとなる

児への栄養は、一般的に母乳栄養が推奨されており、高齢妊娠においても同様です

しかし、母の体力的な問題や早産児、多胎児といった理由から、高年母の場合、実際は完全母乳育児が行われる例は多くありません

高齢である罪悪感

母乳が少なくて「ごめんね」と涙を流したり、あざができるまで搾乳を続ける方もおられます

早産の場合、「若い時に産んでいれば・・・」と高齢出産について後悔を口にされることが珍しくありません

多胎児

多胎児では、一度に複数の赤ちゃんを迎えられて嬉しいですが、授乳の大変さは倍以上になります

タンデム授乳をするのか、別々に授乳するのか、抱き方はどうすべきかなど、多胎児への授乳は習得に時間を要します

必要なケア

なるべく母乳育児ができるように適切な授乳指導が必要ですが、一方で、高年母特有の感情に配慮した精神的な支援も必要です

以下のような具体的な対策を行い、授乳の負担を軽減します

支援例

・十分な食事や休養の確保
・パートナーや周囲の者への援助要請
・人手の確保や家事・育児支援サービスの調整

そして、母乳育児以外を選択する場合、そのことを悩む母親への精神的なケアを十分に行います

仕事との両立を見据えた支援

母になった後の職場復帰や仕事と育児の両立の問題は、どの年代においても重要ですが、特に高年母の場合には、その比重が大きくなります

「要職についているため長期の休暇が取りにくい」
「援助を頼みたいが、自分の親が高齢でそれができない。むしろ親を介護しなければならない」
といった具合です

カバさん
カバさん

年齢が上がれば体力の低下は避けられず、健康面への配慮も不可欠だね!

職場復帰で大切なこと

職場復帰にあたり、最優先事項は、
①本人の健康状態
②児の健康状態
です

そして、両者を良好に保つために
③職場の環境
④児に対する育児環境

を考える必要があります

カバさん
カバさん

母乳栄養を続ける場合、乳腺炎などのトラブルがなく良好に保たれているか、児の成長が十分かなどは第一に確認しなければいけないね!

「③職場の環境」は具体的には、
「職場に授乳する場所や時間があるか」
「衛生的に搾乳できる場所が確保できるか」
などを確認します

「④時に対する育児環境」は、
「入所予定の保育園が搾母乳授乳に対応しているか」
なども重要です

カバさん
カバさん

それらが確保できない場合、人工栄養に変更することも考慮しないとね!

対象者の事情は様々ですから、専門的な見地から情報提供する一方で、対象者の価値観を尊重し、満足の行く自己決定の支援が望まれます

持病を持つ母への授乳支援

高年母は、高血圧や糖尿病等の合併症を有する割合が高くなります

授乳が禁止されることはほとんどありませんが、事前に主治医と相談しておきます

授乳によって母体には相応の負担がかかります

カバさん
カバさん

身体的・精神的に疲労が蓄積しやすいため、十分な栄養や睡眠が取れるよう、適切な援助や環境整備が不可欠だね!

薬の影響

また定期薬がある場合の授乳では、児への影響を考慮する必要があります

添付文書には「授乳に際し注意」とするものが多いですが、実際に注意が必要なことは、さほど多くありません

カバさん
カバさん

初めから母乳栄養を諦めるのではなく、合わせて母乳育児のために自己判断で内服等を中断しないよう、主治医と十分に相談するよう指導しよう!

母乳栄養、混合栄養、人工栄養のいずれの栄養方法を用いて授乳及び育児を行なっている母親に対して、個別的に寄り添い、感情や想いを丁寧に受け止めるきめ細やかな支援を行なっていきましょう

カバさん保健師

保健所保健師としての経験を活かし、育児情報を発信!

【経験業務】
・母子支援(妊娠〜就学まで)
・乳幼児健診
・発達支援
・小児慢性特定疾病
・虐待

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