乳幼児期の生活習慣は、子どもの一生の健康にも影響を与えると言われています
しかし、夜更かしな子ども、睡眠時間の少ない子どもが増えているという指摘があります
こうした現状を踏まえた上で、乳幼児期における生活リズムの整え方を中心にお話ししていきます
どうして生活リズムが重要?
体内時計の作られ方
人の体は1日の中でリズムを持って生活を成り立たせています
リズムを司る中心は脳の「視交叉上核」という部分で、体温や血圧の日内変動、ホルモン分泌といった様々な生体反応のリズムを調節しています
この視交叉上核が発達することで、体内のリズムである「体内時計」が出来上がっていきます
視交叉上核は胎児期に作られますが、体内時計が出来上がっていくのは生まれてからです
妊婦の生活リズムが胎児に影響?
胎児の体内時計は母親のそれと完全に一致してるよ!
しかし、胎児の時は外界の刺激を直接受けることはないので、母親の生活リズムが乱れていても影響は少ないとされています
一方で、生まれた直後から体内時計の中枢を担う視交叉上核が働き始め、子ども自身の体が体内時計を調節していくことになるため、環境因子、つまり母親をはじめとする養育者の生活リズムの影響を受けやすいことがわかっています
妊娠中に生活が不規則になっているお母さんは、赤ちゃんが産まれた後は生活リズムを整えよう!
赤ちゃんの生活リズムの変化
赤ちゃんの体内時計は最初から基盤ができているわけではありません
最終的に体内時計の基盤が完成するのは2歳くらいだよ!
朝が弱い子、夜に強い子など体内時計には遺伝的要因もあることが知られていますが、その発達においては先ほどもお伝えした通り周囲の環境因子が強く影響します
子どもの生活リズムを整える大切さ
生物として人の体は昼間に活動し、夜間は休息するようにできており、この仕組みのもと体温や血圧、ホルモンなどの生体反応のリズムも全て調節されています
つまり、このリズムに合わせて規則正しく生活することで最高のパフォーマンスを発揮できるようプログラミングされているのです
加えて、発達過程にある子どもの場合は、成長や心身の健康に欠かせない様々なホルモンが分泌されています
成長ホルモン | 夜に出るホルモンで、眠り始めの深い睡眠の時に多く分泌される |
セロトニン | 不規則な生活で分泌が低下すると精神的に不安定になり、攻撃性や衝動性が高まる |
メラトニン | 入眠を促し、規則正しい生活リズムを作る。 周囲が暗くなることで分泌される |
また、ホルモンだけでなく、昼間に活動するように調節されている体温のリズムが乱れると、午前中にぼーっとしたり疲れやすかったりするようなことも起こってきます
さらに長い目で見ると、子どもの頃に習慣化された生活リズムは成人期に持ち越されやすく、生涯にわたる生活習慣の基盤となります
その子の一生の健康にも大きな影響を及ぼすから、乳幼児期から規則正しい生活リズムのもとで暮らすことはとても重要だね!
生活リズムを整えるコツ
子どもの生活リズムを整える大きな柱は「食事」「睡眠」「運動」の3つです
生活リズムを整えるための食事
3食のうち、特に大切なのは朝食です
朝、エネルギーをしっかりとっておかないと、日中体を使って遊んだりすることができません
そして、体をよく動かさないと疲れることもないので夜ぐっすり眠ることができなくなり、生活リズムが乱れていきます
このような悪循環に陥らないように朝食をきちんと食べる習慣が重要です
保護者が元々朝食を食べる習慣がない家庭も増えているから、栄養面はさておき、パンでもおにぎりでもまずは朝食を食べる習慣をつけよう!
朝食を食べることで腸が動き出し排泄の習慣にもつながりやすいので、保護者の方も一緒に朝食の習慣をつけていきましょう
乱れやすい睡眠
このうち、生活リズムの乱れが最も出やすいのが睡眠だよ!
乳幼児健診で生活リズムに対する質問を受けると「夜、子どもがなかなか寝ない」といった悩みが多く、それが保護者の方々の育児ストレスにもつながっています
お母さんたちは子どもを早く寝かせようと躍起になりがちですが、体内時計は朝起きて光を浴びることによってリセットされるので、睡眠のリズムを整えるには朝、決まった時間に起こすことの方が重要です
夜更かしをして寝るのが遅くなっても翌日の朝は予定通りに起きし、その日は早寝することを心がけよう!
早寝をするには早起きから
また、ある程度、寝る時間の目標は持っておいた方がいいでしょう
年齢で推奨される睡眠時間は異なるものの、夜9時くらいに寝られるのが理想です
とはいうものの、忙しい家庭も多いので保護者の負担のない範囲で早めに寝かせようと思ってもらうことが大切だと思います
乳幼児の成長にとって昼寝も欠かせませんが、昼寝をすると、夜なかなか寝ないといった悩みもよく聞かれます
そのような場合は昼寝で夕方まで寝かせたりしないで早めに起こすことを心かけましょう
昼間の活動量はその日の夜の眠りに影響するから、日中は体をよく動かそう!
スマホが睡眠に与える影響
睡眠のリズムが乱れる理由は、その家庭によって様々だと思いますが、懸念されるのは夜間における光の刺激です
例えば、保護者の方の在宅ワークが夜間にずれ込み、子どもが寝る時間になっても部屋に煌々と灯がついていると子どもはなかなか眠れず、就寝時間は遅くなることでしょう
この光の刺激に関連して問題視されるようになってきたのが「スクリーンタイム」です。
テレビやパソコン、スマートフォンなどの画面からの光(ブルーライト)の刺激は覚醒のリズムに影響を与えるので、寝る直前までテレビなどを見ていると寝付きが悪くなったり、朝起きるのが辛いといった状態を引き起こします
スクリーンタイムが増え、睡眠に影響が出ている
睡眠リズムを整えるには
就寝時間が一旦遅くなると、元に戻すのはなかなか大変なので、子ども達の睡眠リズムを整えるサポートが必要です
しかし、それぞれの事情がある中、仕事と子育てとの両立で切羽詰まっている保護者の方も多く、夜間の在宅ワークやスクリーンタイムを一律に制限することは簡単ではありません
スクリーンタイムを夜間以外の時間帯に設定したり、子どもの寝室から離れた部屋で在宅ワークを行うようにすると良いよ!
また、子育てに追われる中、子どもの生活リズムを整えていくのはかなり苦労するので、保護者の方が頑張りすぎないことも大切です
特に一人で全ての育児を担っているような場合には周囲の温かい支えを遠慮せずに求めていきましょう
睡眠についてもっと知りたい方は「乳幼児の睡眠の悩み解決法4選」の記事を参考にしてください
まとめ
今回は体内時計を整える方法について解説してきました
今回の記事の要点をまとめると、以下の2点があります
生活リズムの整え方についてもっと知りたい方は「子育て家庭の生活リズムQ&A」の記事を参考にしてください
この記事が、少しでもお役に立てたのであれば嬉しいです
最後までご覧いただきありがとうございました
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