この記事では、先天性代謝異常症とは何なのか、そしてその治療法について解説していきます
先天代謝異常症とは
先天(性)代謝異常という言葉は、先天的な蛋白分子の構造異常、あるいは機能異常によって引き起こされた生化学的な異常を意味するよ!
この異常により生じた病的状態を、先天性代謝異常症と言います
先天代謝異常の遺伝
先天代謝異常は、単一遺伝子病です
そのため、メンデルの法則に従い遺伝します
優性(顕性)あるいは劣性(潜性)などの区別を含めた遺伝形質・形式への理解が重要となります
・常染色体顕性(優性)遺伝病
・常染色体潜性(劣性)遺伝病
・X染色体顕性(優性)遺伝病
・X染色体潜性(劣性)遺伝病
ほとんどの先天性代謝異常症が常染色体潜性遺伝性疾患です
先天代謝異常症の数と種類
それぞれの疾患の頻度はさほど高くないですが、その種類は100種類以上にのぼります
先天代謝異常症は全身性の疾患であり、疾患ごとに特異的な種々の臓器障害が生じます
診断
中枢神経症状を含んだ複数の臓器・器官の症状・所見がある場合は、先天代謝異常症は常に念頭に置かなければいけないよ!
臨床症状及び一般的検査所見より先天代謝異常症を疑い、種々の特殊検査により確定診断に至ります
臨床症状や検査所見には、一般的に先天代謝異常症を疑う所見と、特定の疾患を積極的に疑う所見とがあります
家族歴(含:遺伝歴、血族結婚など)、発達歴、神経学的所見、特殊な所見(中枢神経系以外の特異的所見)が特に重要
診断法(特殊検査)
a.異常代謝物質の分析 b.蓄積物質の測定 c.酵素学的検討 d.遺伝子診断
a、bにより診断が行われる疾患が多いです
c、dは言わば原因診断であり、診断を確定することが可能です
遺伝子に異常が確認できない症例も存在するよ!
治療
有効な治療法がない疾患が数多く存在します
それでも最近は、骨髄移植や酵素補充療法など、新しい治療法の開発により、治療可能な疾患が増えつつあるよ!
治療法の種類
・食事療法:フェニルケトン尿症(低フェニルアラニン食)
・薬物療法:Wilson病(銅キレート薬)
・酵素補充療法:Gaucher病、Fabry病への酵素補充療法
・遺伝子治療
酵素補充療法とは
酵素補充療法は、先天代謝異常で欠損したり活性の低下している酵素を製剤化した薬を主に点滴で補充し、体内で蓄積している有害物質を分解・代謝する治療法
症状の改善や病気の進行を抑えることが可能です
酵素補充療法の課題
・1〜2週間に1回、酵素製剤を数時間かけて点滴する必要がある ・酵素製剤に対する抗体が産生された場合はアレルギー症状が出現する ・中和抗体によって効果が減弱することがある ・原則として治療は生涯継続する必要がある
酵素補充療法の対象疾患
ライソゾーム病、ゴーシェ病、ファブリー病、ポンペ病、ムコ多糖症Ⅰ型、ムコ多糖症Ⅱ型、ムコ多糖症Ⅵ型
ファブリー病とは
ライソゾームに存在する加水分解酵素であるαガラクターゼA(GLA)の遺伝子変異により発症する先天性代謝異常症
GLAの主な生体内基質はグロボトリアセラミド(GL3)であり、これは血管内皮細胞、平滑筋細胞、汗腺、腎臓、心筋、自律神経節、角膜などに親和性を持ちます
ファブリー病ではこれらの組織にGL3が蓄積して様々な症状を呈します
ファブリー病の遺伝と疫学
遺伝 | X連鎖遺伝形質 |
性差 | 男性患者(ヘミ接合体)は重篤な症状を呈するが、女性患者(ヘテロ接合体)では無症状から男性患者と同等の症状を呈するものまで様々 |
疫学 | 7千人に1人 |
ファブリー病の臨床症状
四肢末端痛、発汗異常、被角血管腫、角膜混濁、腎障害、脳血管障害、心肥大
ファブリー病の治療
対症療法
四肢末端痛:カルマバゼピン、ガバペンチン内服
腎合併症:ACE阻害剤、ARB内服、血液透析
心合併症:抗不整脈薬(不整脈)、抗血小板療法(虚血性心疾患)
脳梗塞:抗血小板療法
酵素療法
アガルシダーゼα、アガルシダーゼβ
ケミカルシャペロン療法
おわりに
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