乳児期後期になると、同月齢の子でも少しずつ発達に差が出てきます
・表情の変化や要求が少ない
・人に関心がない
ということはありませんか?
特に対人関係に気になる点がある場合は、自閉症などの発達障害の可能性があります
この記事では、遊びの姿に関してのよくある困りごととその対応のコツについて解説していきます
あまり笑わない・泣かない
子どもの状況
笑わない
子どもは、6か月頃には自分が安心できる人を見分けられるようになります
しかし、抱っこしてあやしても笑わない子どもがいます
泣かない
8か月頃までにぐずり泣きはほとんどなくなりますが、最初からほとんど泣かず、お腹がすいた時以外の要求を出す(泣く)ことが少ない子どもがいます
一人で静かにしていることが多く、保護者が子どもの泣き声を聞き分け、素早く適切な対応をしないでいると泣かなくなってしまいます
「泣かなくて楽だから」とかまわずにいるとさらに泣かなくなるよ!
要因
・人への関心が薄い
・抱っこ等、肌の接触を好まない
・親との愛着関係が育ちにくいこと
適切な対応の仕方
「遊んでも喜ばないので張り合いがない」「泣かないから楽」と考えるのではなく日頃から積極的に関わるようにしよう!
子どもにとって心地よいことを、心地よいこととして表現します
例えば、くすぐって一緒に楽しそうに声を出して笑ったり、子どもがやったことに対して、大いに褒めましょう
機嫌が悪いように見えなくても抱くと身体を反らして嫌がる子どももいます
無理をせずに、子どもの好む触れ合いを少しずつ広げていこう!
確認すべきこと
・周囲からの働きかけに対して声を出したり表情を変えるか
・分離不安(4か月から)、人見知り(8か月前後)といった、人を対象とした感情の表れがあるか
・最初に表れる有意味語が保護者を指すものか
表情が乏しいままで1歳半を過ぎて有意味語が見られない時には専門機関へ相談
表情が極端に乏しい
子どもの状況
気になる姿
・あやしても笑わない
・大人が様々な表情を見せても真似しない
・抱っこをしても視線を合わせ笑いかけてくることがない
・母親がバイバイをして離れていっても不安な表情を浮かべない
・本を見せても好奇心で目を輝かすといった表情がない
・父親が出かけて行ってもさみしそうな表情を浮かべない
・いつも同じ表情をしている
要因
・知的発達の遅れ
・愛着形成が不十分
・保護者とのコミュニケーションがうまくとれていない
適切な対応の仕方
追視や何も刺激を与えていないのに笑う自然微笑(2か月頃まで),あやし笑い(4か月頃まで)があったか確認しましょう
視線を合わせたり、笑いかけたり、触れ合うことが楽しいという経験を重ねよう!
今からやるべきこと
6~7か月で表情が乏しい赤ちゃんには、上記の対応を行い、楽しさを共感し、赤ちゃんの反応を観察します
表情、声、仕草等で感情が表現できるか見守り、人見知りの出現を確認しよう!
1歳を過ぎて人見知りがみられない時は、専門機関へ相談
要求が極端に少ない
子どもの状況
生後間もない時期は、空腹やおむつが汚れて気持ちが悪い等、主に生理的な不快を訴えるだけでした
しかし、5~6か月にもなると、眠い時にぐずったり、母親を求めて甘え泣きをしたり、欲しい物に手が届かず声を出したり、身体が思い通りに動かず泣いたりといった様々な要求が増えてくるものです
要求が極端に少ない「あまり泣かない手のかからない赤ちゃん」と思うよね!
適切な対応の仕方
スキンシップや、視線を合わせての声かけ、表情のやりとりにより、赤ちゃんとしっかり関わりましょう
また、赤ちゃんの好奇心・周囲への関心を高め、動作や感情を共有していきましょう
- 視線を合わせ「ミルクの時間ね、おなかが空いたのね」「お尻が気持ち悪かったのね。おむつ替えようね」等、声をかけながらミルクを与えたり、おむつを替えたりする
- 赤ちゃんが興味を持っていること、好んでいることを一緒にしてみる
- 赤ちゃんが興味を示す物を眼前に差し出し、注視させて動かす
- やりとり遊び(「ちょうだい」「どうぞ」等)をたくさん体験させる
- 欲しい物に対して声をあげる等、要求する行動がみられた時は、大いに褒めて反応する
今からやるべきこと
愛着形成を促すことを目的とした上記の対応を通して、赤ちゃんの反応を観察しましょう
要求が少ないことで、皆さんが関わる時間が少なくならないように気をつけよう!
6か月頃で要求の少ない赤ちゃんには、やりとり遊びのやり方を見直したら、広場事業等への参加をしてみましょう
1歳を過ぎて人見知りがみられない時、「おいで」「ちょうだい」の命令に反応がみられない時は、専門機関へ相談
抱っこをせがまない
子どもの状況
6か月頃になると,赤ちゃんは保護者とそれ以外の人を区別し、10か月頃には、様々な場面で保護者にコミュニケーションを求め抱っこをせがむようになります
しかし、中には外出先で他人と接する場面、遊びに飽きてぐずったり、眠くなったりした時にも、保護者や身近な保育者に抱っこをせがまない子がいます
保護者は抱っこを求められないことで赤ちゃんのことをかわいいと感じられないと悩んだり、逆にしつこく抱っこを求められないので「育てやすい」と感じていることもあります
適切な対応の仕方
触れられる、抱っこされる感触への拒否感を減らし、抱っこされることの安心感を育てる
赤ちゃんの不快感や不安をしっかり受け止め、抱っこされることで赤ちゃんが喜びや、楽しさを感じる体験をさせましょう
- 視線を合わせ、声をかけながら、スキンシップを十分にとる
- 赤ちゃんがどんなことに興味があり、楽しんでいるのかゆっくり観察する
- 抱っこする前に、子どもの目の高さまでしゃがみ、「だっこ」と言いながら大きく両手を前に出して見せてから抱っこする
- 抱っこでお散歩したり、膝に座らせて遊ばせたりし、抱っこされていると楽しいことが起きるという経験を重ねる
- やりとり遊びでコミュニケーションの楽しさを経験させる
今からやるべきこと
愛着形成を促し、スキンシップや抱っこで赤ちゃんの反応を観察しよう!
6~7か月には抱っこされることに拒否感はないか、愛着行動はみられるかチェックしましょう
また、抱っこをしつこく求められず育てやすいと感じている方は赤ちゃんと関わる時間が少なくならないように気をつけましょう
後追いしない
子どもの状況
正常な発達
子どもは生後6か月頃から、自分が安心できる人(主に世話をしてくれる保護者)とその他の人を見分けられるようになります
さらに、ハイハイ等で自ら移動できるようになると、安心できるはずの保護者の姿が見えない場合、不安を感じ後を追う愛着行動をとります
気になる発達
後追いをしない子どもは、保護者がいなくなっても、自分の好きな玩具に夢中でひとり遊びを続ける等保護者の行動に関心を示さないことが少なくありません
こうした子は、人見知りがなく、初対面でも拒否感や不安感を示すことが少ないよ!
適切な対応の仕方
日々の世話や触れ合いを通して、保護者との愛着関係を育てる
「いないいないばあ」等の遊びにより、子どもに保護者との関わりが楽しいものであることを体験させていくことも有効です
逆に、ハイハイしている子どもの後を追いかけたり、子どもの動作を保護者がまねして見せる等も、子どもにとって人との関わりを楽しく思うきっかけになることが多いです
感覚過敏がある子の場合には、無理強いせずに、子どもの好むふれあいを少しずつ広げていこう!
抱き癖を心配し、子どもが求めてきた時に関わりを拒否し続けると、人を求めること自体を止め、後追いもしなくなりやすい
今からやるべきこと
保護者と離れる場面での子どもの様子や離れてからの様子、再会した場面での様子を観察しよう!
子どもの予測する力が育ち、保護者がそばにいなくても必ず戻ってくるから大丈夫と理解できるようになると、後追いは自然におさまることが多いです
そのため、人見知りや人への関心の示し方等、日常生活の様子も含めて観察し、後追いしない理由を確認しましょう
特定の大人とのやりとり遊びを続けても変化がみられない場合には、専門機関へ相談
抱いた時しがみつかない
子どもの状況
気になる姿
・抱っこしても両手でしっかりしがみつけない
・抱き上げると身体を反らして嫌がるが、手足をダラリと下げたまま
・おもちゃから手を離さず、しがみつこうとしない
皆さんからは、
・抱きづらい
・抱き方を教えてほしい
・長い時間抱っこできない
という訴えが多いです
要因
・運動発達の遅れ
・知的発達の遅れ
・愛着形成が不十分
・感覚のアンバランス
・保育者とのコミュニケーションがうまくとれない
適切な対応の仕方
首のすわり、寝返りといった運動の発達を確認しよう!
手足の筋肉の緊張の度合い(極端にかたい、やわらかい)もみます
身体をそらせて嫌がる場合、抱っこされしがみつく時の身体や衣類に触れる感覚への拒否感を減らし、抱っこされることの安心感を育てていきましょう
今からやるべきこと
上記の対応を行い、赤ちゃんの反応を観察しましょう
感覚のアンバランスさは個人差があるので、克服しようと無理強いをしないようにしましょう
楽しく感覚遊びをすることで苦手なことが増えていかないよう見守る
座位がとれない、左右差が著しい、前進せず後進する等、ハイハイの仕方がおかしいと感じた時には、9,10か月児健診で相談しよう!
ひとり遊びばかりする
子どもの状況
気になる姿
・保護者に遊びを要求することが少ない
・好きなおもちゃに夢中
・好きなものの動きをずっと見ている
・ひとり遊びを続ける
・保護者が遊びに関わろうとしても、無視、拒否
要因
・ひとり遊びが上手である
・他者に関心がない
・興味の対象が極めて限られている
・保育者とのコミュニケーションがうまくできない
適切な対応の仕方
赤ちゃんはこの時期一番身近な保護者を通して世界や興味を広げていくよ!
保護者と触れ合い、遊ぶことが楽しいという体験させていくこと、様々な遊びを体験して遊びや人への興味、関心を広げていくことが求められます
今からやるべきこと
保護者と関わる遊びで、赤ちゃんが楽しさを体験できているか確認しながら、無理強いせず、保護者に興味を持ちコミュニケーションがうまくできる関係ができてきているかチェックしましょう
生来「ひとり遊びが好き」な赤ちゃんもいます
他者との関わり方や興味の広がり等と併せて専門機関へ相談をしてみよう!
まとめ
今回は6~12か月児の気になる行動ついて解説してきました
今回の記事の要点をまとめると、以下の3点があります
この時期の発達についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください
・「うちの子は正常?6〜9か月児の発達」
・「うちの子正常?9か月〜1歳の正常な発達」
・「発達が「あれ?」と気になる0歳児の特徴」
この記事が、少しでもお役に立てたのであれば嬉しいです
最後までご覧いただきありがとうございました
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