RSウイルス感染症

RSウイルス感染症を知っていますか?

この記事では、RSウイルス感染症についてと重症化予防のための方法を解説します

RSウイルス感染症とは?

RSウイルスは気道の上皮細胞に感染するため、初めに鼻粘膜上皮に感染し、鼻水や咳、発熱の症状を起こす

その後、20〜30%の乳幼児では、気管や気管支、細気管支、肺胞にも感染が拡大し、気管支炎、細気管支炎、肺炎に進展します

カバさん
カバさん

特に6か月未満の乳児や、特定の基礎疾患のある乳幼児の細気管支炎は、重症になりやすく、注意が必要だね!

ほとんどの乳幼児は2歳までに初感染し、その後、生涯にわたって繰り返し感染します

母からの移行抗体がRSウイルス感染を予防しないため、出生後から発症します

RSウイルスは飛沫感染し、咳やくしゃみから粘膜に、あるいは鼻水などから手を介して粘膜に感染し、潜伏期間は主に4〜6日程度です

RSウイルスの流行期

RSウイルスの流行は、日本の多くの地域において、通常10〜12月に開始し、3〜5月に終了する

しかし、2017〜2019年では7月に流行期となり、それ以前とは異なる流行になりました

2020年は新型コロナウイルス感染症の流行が影響したためかRSウイルスの流行はありませんでしたが、2021年4月から非常に大きな流行となり、2022年も6月に流行が始まりました

流行期の予想は、重症化しやすい乳幼児への対策のために重要ですが、近年、この流行期が変化しています

カバさん
カバさん

流行期が変化した原因は分かっていないよ

注意が必要な症状

特にRSウイルス感染症の流行期に、鼻汁や咳が見られるようになってから以下の出現した場合には、医療機関を受診することが必要です

細気管支炎を疑う症状

・呼吸が普段より浅く頻回
・喘鳴
・陥没呼吸(息を吸う時に胸骨の下部や肋骨の間が陥没する状態の呼吸)

また、特に6か月未満の乳児では、活気・元気がない、哺乳が弱いなどの症状も、早めの受診を考える症状です

1か月未満の乳児では、無呼吸により、顔色が悪くなる症状が生じる場合があることも知られています

カバさん
カバさん

乳幼児期には、保護者がRSウイルスの身近な流行を知るように心がけよう!

診断

カバさん
カバさん

RSウイルス感染症の診断は、鼻咽頭ぬぐい液を採取して、迅速診断キットにより行うよ!

しかしこの診断方法は、通常の外来診療では1歳未満の乳児にしか保険診療で使えません。
(軽症の場合には、必ずこの検査が必要というわけではありません)

入院した場合は重症化しやすい乳幼児に外来診療でこのキットを使用することは認められています

治療

RSウイルスに効果がある抗ウイルス薬はないため、治療は症状を軽減する対症療法を行いながら、回復を待つ

入院した場合は、輸液、酸素投与、気管支拡張薬やステロイド投与などを選択して治療を行います

重篤な場合には、人工呼吸器を使用する場合もあります

予防法と重症化リスクの高い乳幼児への対応

RSウイルス感染症に対するワクチンは開発中で、実際に使用できるものはありません

シナジス(パリビズマブ)

シナジス(パリビズマブ)というRSウイルスに得意的に結合するモノクロナール抗体が重症化予防に使用できる

シナジスは注射薬で、RSウイルスが重症化しやすい基礎疾患のある乳幼児に対して使用しますが、健常な乳幼児には使用しません

投与した抗体は1か月くらいで体内で減少し、効果が弱くなるため、毎月1回、大腿部に筋肉注射で投与します

また、予想される流行時期をカバーできるように数ヶ月間投与します

接種の対象

シナジスは、在胎期間28〜35週の早産、気管支肺異形成症、先天性心疾患、ダウン症候群、免疫不全を伴う新生児、乳児および幼児に対して、重症化しやすいと考えられる月齢・年齢(多くは24か月以内)まで投与されます

コメント