最近、プレコンセプションケア、すなわち女性やカップルに対して妊娠前から適切な知識や情報の提供を行い、将来の妊娠のために行うヘルスケアの重要性が言われています
その中でも葉酸は、1941年ほうれん草の葉から発見されたビタミンB群の1つであり、緑黄色野菜や海藻類、レバーなどに多く含まれ妊娠初期には大切な栄養です
この記事では、葉酸サプリメントの活用と注意点について解説していきます。
なぜ葉酸が重要なのか
胎児の神経管の閉鎖は妊娠6週末で完成するが、先天性の神経管の癒合障害が起きると、無能症、二分脊椎、脳流などの神経管閉鎖障害が生じる
神経管閉鎖障害は1万出生あたり6人程度の発生ですが、重篤な疾患です
神経管閉鎖障害の発症には環境因子、遺伝的因子などの多くの要因が関わっていますが、1991年に神経管閉鎖障害児を持つ女性が、妊娠前から妊娠12週まで1日4mgの葉酸を摂取したところ、72%の再発リスクを軽減することができたとする報告がなされ、妊娠前からの葉酸摂取が進められました
葉酸で児の神経管閉鎖障害が予防できる
我が国でも、2000年に旧厚生省が、妊娠の1ヶ月以上前から妊娠の3ヶ月までの間、葉酸を始めその他のビタミンなどを多く含む栄養のバランスが取れた食事が必要であることを通知し、「産婦人科診療ガイドライン産科編」でも、クリニカルクエスチョンを設けて、葉酸摂取を勧めています
しかしながら、すべての妊娠が計画的なものではないから、米国では小麦製品(パンやシリアルなど)100mgに0.14mgの葉酸添加を義務付け、積極的な葉酸摂取が行われているよ!
こうした活動により欧米では、神経管閉鎖障害の減少が認められましたが、日本ではむしろ患者数は上昇傾向にあり、葉酸摂取の必要性が広く知れ渡っているとは言い難い状況です
葉酸の必要量
①一般女性の場合には、妊娠1ヶ月以上前から1日0.4mgの葉酸摂取を行う
②抗てんかん薬を内服中の女性は1日0.4〜0.6mg程度の葉酸摂取を行う
③神経管閉鎖障害児の妊娠既往のある女性は医師の管理下で妊娠前から妊娠11週まで1日4〜5mgの葉酸を摂取する
医師の管理下にある場合を除き、葉酸摂取は1日1mgを越えるべきではないよ!
葉酸の取り方
葉酸は水溶性ビタミンであり、熱に弱いなどの特性があり、また食品で摂取した葉酸が体内で活用されるのは半分程度と言われています
サプリメントを使用することの有効性の報告があるから、葉酸のサプリメントを上手に活用しよう!
サプリメントで摂取する弊害
葉酸の副作用として過敏症があるけど、稀なものだよ!
また、サプリメント等による葉酸の過剰摂取は悪性貧血の診断が遅れるといった懸念はあるものの1日1mg以上の摂取でなければ、あまり問題になることがないと言われています
葉酸はいつまで飲む?
神経管閉鎖障害発症リスクの低減という観点で言えば、妊娠3ヶ月までの服用で十分ですが、妊娠期間を通じて摂取可能です
ただし、神経管閉鎖障害児の妊娠既往のある女性は妊娠12週以降、1日0.4mgに減量してください
妊娠3ヶ月を超えて内服しても、子どもの喘息やアレルギー疾患のリスクを高める証拠はありません
さらに子どもの認知能力への影響を指摘した論文もあり、全妊娠期間中の葉酸摂取の効果については、さらなる検討が期待されます
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