乳幼児が発熱した時に、困る保護者の方が多い悩みについてQ&A方式で回答していきます
繰り返す痙攣は脳波が必要?
Q 現在2歳7か月の娘が1歳の時、突発性発疹で高熱が出て痙攣を起こしました。
2歳の時は、夜中に高熱で痙攣を起こしたので受診、解熱の座薬を入れてもらいました。
その翌朝、かかりつけの小児科を受診しました。
肺炎と診断され入院し、病院でも痙攣を起こしました。
4回も痙攣を起こしたのに、脳波の検査はしていません。
今からでもした方が良いでしょうか。
回答
A .脳波検査を行っても大きなメリットがあるわけではないので担当医に相談
今回の経過から脳炎などの可能性もなさそうなので、熱性痙攣として話を進めます
熱性痙攣の種類
熱性痙攣は単純型と複雑型に分けられます
①焦点性発作(部分発作)の要素
②15分以上持続する発作
③24時間以内に複数回反復する発作
の中で1つ以上当てはまるものを複雑型、いずれにも該当しないものを単純型と定義します
焦点発作は、身体の一部分や半分だけが痙攣する発作や、1点を見つめる、あるいは動作が止まるだけで痙攣を伴わないようなものです
ご相談のお子さんの場合、③の複雑型と考えてみます
脳波検査の必要性
単純型熱性痙攣を起こした小児に対しては、大部分が自然に治る病気なので、「ガイドライン」では「脳は検査をルーチンに行う必要はない」とされている
検査で異常が出た時に保護者に余計な心配をかけるだけ、というのがその理由です
複雑型熱性痙攣ではてんかんを発症するリスクがやや高くなり、予測を目的として脳波検査を行うことを検討する
しかし、脳波検査を行うとてんかんの波形を検出する率が高くなるものの、たとえ脳波の異常を見つけてもてんかんの発症の予防につながるかどうかは確立されていません
また、脳波異常が見つかる危険因子として
・3歳以上
・神経学的に異常な所見がある(例えば麻痺など)
・熱性痙攣の家族歴がない
などがあり、このような因子があればより積極的に脳波検査を検討することになります
担当の小児科医はご相談のお子さんの痙攣を回数は多いものの、持続時間が短く、痙攣の形も問題なかったと判断したのかもしれません
脳波検査をしても大きなメリットがあるわけではないので、担当の小児科医と話し合って今後の対応を決めていこう!
解熱剤の正しい使い方
Q.生後5か月です。
38.4度まで発熱し、受診したら突発性発疹と診断され、アタラックスシロップと頓服のカロナールシロップを処方されました。
薬剤師からカロナールシロップは熱が38.5度以上になったら使用するようにと言われ、38.9度まで発熱したので服用させました。
その後、ネットで調べると、解熱剤はあまり使用せず免疫をつけたほうがいいと書いてあり、後悔しています。
解熱剤の正しい使い方や、必要のない薬を服用したことの影響について教えてください
回答
A.神経質になりすぎず困った時は解熱剤を使いましょう
解熱剤は「病気を治す薬」ではないので無闇な仕様は控えたほうが良いですが、使ったとしても大きな害があるわけでもありません
熱は病気を治すのに有利に働くことが多いのですが、あまりに高い熱が続くと、水分が取れず体力を消耗することにより体に不利になることもあります
眠れない、食事が取れない、頭や体が痛いなど困ったことがあれば、解熱剤を使って良いよ!
解熱剤を使うと病気の治りを遅らせると言われることもありますが、学問的な証明はされておりません
何もしない方が強い免疫ができるというのは、ある意味で正論ですが、例えばインフルエンザにかかって何もしなければ肺炎や合併症が増えるので、一概にそれが正しいとは言えないのです
熱のために何か困ったことがあれば解熱剤を使う
40度くらいの高い熱でも機嫌が良く、よく寝ている時には使う必要がありません。
また、38度くらいでも頭が痛い、眠れないという時には使って良いのです
使える薬
子どもに安全に使える鎮痛解熱剤は、アセトアミノフェンと、イブプロフェンに限られています
それ以外の解熱剤は水痘やインフルエンザの時に脳症を引き起こす可能性があり、子どもには使用しないことが決まっています
総合感冒薬にもこれらの薬が含まれていることがあるので注意しよう!
薬の悪影響
「本来は必要のない薬を使用したことの影響」は難しい問題です
突発性発疹を疑っているのであれば、必要のなかった薬はカロナールではなくアタラックスかもしれません
アタラックスは鼻水を減らす、子どもを鎮静するなどの効果はありますが、突発性発疹には必要ではありません
一般的な風邪の場合、処方される薬の大半は対症療法を目的としてもので、「本来は必要のない薬」だよ!
なお、一般的な薬は要領を守って使えば問題となることは少なく、神経質になりすぎることはありません
医師や薬剤師とよく相談し、理解して薬を飲む
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