社会的ハイリスク妊婦とは
社会的ハイリスク妊婦は、「様々な要因により、今後の子育てが困難であろうと思われる妊婦」と定義され、児童福祉法の特定妊婦(出産後の子どもの養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦)を含む広い概念
社会的リスクとしては、貧困、DV、未入籍、若年または高齢妊娠、精神疾患・障害、多胎、育児サポート不足などが挙げらます
これらのリスクは重複している場合も多く、支援には多職種の連携、協働が欠かせないね!
地域における多職種の連携、さらには地域の支援ネットワークの質によって、支援の結果が大きく変わります
支援が十分行き渡らない状況の中、支援を受けにくいことが、妊産婦の孤立は深まり、虐待の増加につながっている
多職種連携の現状
2021年、全国の産科施設を対象に、社会的ハイリスク妊婦のスクリーニングと支援の実態調査を行った結果、約60%の施設で社会的ハイリスク妊婦のスクリーニングを実施していたことがわかりました
周産期母子医療センターでは、約90%が院内で多職種による支援検討の場があると回答しましたが、院外を含めた多職種での支援の機会が定期的にあると回答したのは約30%程度にとどまっています
また、社会的ハイリスク妊婦の情報を区市町村に情報提供したことがあると回答した産科施設は96%にのぼりました
しかしながら、社会的ハイリスク妊婦の情報提供に対する区市町村からのフィードバックの件数は、半分以下です
この結果からは、地域での多職種連携、協働は、推進が試みられているものの、十分でないことがわかるね!
お互いの職業や部署について知る
社会的ハイリスク妊婦の支援では、多くの職種が連携して関わります
関わる職種は多岐に渡り、ケースによって異なります
確かなことは、適切な支援者たちが適時に支援することができれば、良い結果に結びつくということだね!
しかし、意外に日常的に交流のない職業、領域が異なる職種については知らないことも多いです
医療、保健、福祉、そして教育と、社会的ハイリスク妊婦の支援に関わる職種は幅広いです
互いの職種と役割を知らなければ、多職種連携の力を最大限に発揮できない
多職種協働による支援
多職種協働のためには「顔の見える関係」が重要だね!
機関内での多職種協働は、「顔の見える関係」が築かれているため、スムーズです
信頼関係の構築
顔を知っていても、信頼関係がなければ協働への障壁が大きいです
職種によって、異なる価値観や専門用語を持っており、立場が異なることでの衝突が避けられない場合もあるよ!
立場は違えども、妊婦を中心として、皆が母子の健康と幸福を共通の目的に置くことができれば、これが協働の基となります
そうすることによって、機関内でのカンファレンスや事例検討など効果的に進めることができます
多機関との多職種連携
機関外の多職種連携は、機関内よりもさらに難しいです
情報の共有の障壁
第一に、情報の共有に大きな障壁があります
医療のデジタル化が進められている中でも、いまだに情報共有は主に紙ベースです
いくつかの地域で社会的ハイリスク妊婦や特定妊婦に関する情報共有のためにネットワークシステム構築の試みがあります
多職種連携を推進するには
機関外を含めた多職種でのカンファレンスなどの機会を定期的に設けているところは少ないです
対人関係要因
対人関係要因では、連携の喜び、信頼、コミュニケーション、相互尊敬が挙げられており、「顔の見える関係」から構築されるものです
信頼関係ができると効率が良くなり、各々の責任を持った対応が可能となります
そのためにはまず、お互い話をする機会を設けましょう
組織的要因
組織的要因には、組織構造、組織的理念、管理者の支援、チーム資源(時間・場所・情報など)、協力と交流(手順、会議など)が挙げられています
中でも、組織構造(水平性、決定権の共有など)は重要だよ!
現状では、組織構造が縦割りであり、対応範囲が決まっていることが連携の妨げとなっています
誰がこの役割を担うのかは、妊婦の特性、状況によって異なります
制度的要因
社会的ハイリスク妊婦への支援において、連携や協働を推進するためには、さらなる法律や制度の改正が必要です
まとめ
社会的ハイリスク妊婦や特定妊婦は増加傾向にあります
社会全体のストレスや不安の増大に加え、失業、経済的な困窮、DVの深刻化など様々な要因が考えられます
今だからこそ、機関内はもちろん、地域のネットワークを強化し、多職種がつながり、支援を厚くしていく必要があります
また、支援者としての個人の力を伸ばす・より力を発揮できる場所で働くという点では転職を考えてみるのも一つの方法です↓(保健師の求人も多くおすすめです)
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