産前産後の女性はホルモンバランスの変動もあり、精神状態が大きく上下します
精神状態の悪化は本人だけでなく、パートナー等の支援者もどのように支えていけば良いのか迷うことが多いです
この記事では、Q&Aを通して、妊産婦のメンタルヘルスについて解説していきます
母親としての自信がない
Q.もうすぐ1歳になる赤ちゃんがいます。
私はとにかく自分に自信がなく、もちろん育児も自信がありません。
赤ちゃんは夜泣きもなく、離乳食もたくさん食べてくれ、とてもいい子で、「こんな私が母親で申し訳ないな」と毎日思っています。
産後は頻繁に体調が悪くなり、実家に世話になりっぱなしです。
自分なりに家事も育児も頑張っているつもりですが、周りからは「実家に住んでいて甘えている弱い母親」だと思われているのではないか、こんな母親ならいないほ方がいいのかなと思います
回答
A.もっと自分の子育てに自信を持って自分自身のための時間も作りましょう
育児にも自分自身にも自信がなく、どうしたらいいかわからなくなってしまったのですね
育児は初めてのことだらけですね
昨日うまくいったことも、今日は違ってうまくいかない・・・こんなことの繰り返しです
子どもは日々成長していて、毎日違う我が子に振り回されるのが育児です
親は自信が無くなりやすい
育児に自信のある親なんていないよ!
うまくいかないことが続くと、他の親子はうまくいっているように見えてしまうものですが、本当はみんな悩んでいるのです
1歳になるお子さんはとてもいい子に育っているのですね
それはあなた自身が頑張ってきたからだよ!
自分を低く評価する必要はなく、赤ちゃんにとってあなたはかけがえのない母親
赤ちゃんは優しいお母さんのそばでスクスクと、安心して育ってきたのですね
あなたに変われる人はいないんだから、もっと自信を持っていいよ!
頼れるのはすごい
また、産後の体調不良で実家にお世話になっていることを、「甘えている弱い母親」と書いておられますが、そんなことはありません
「お産は病気ではない」と言われますが、大きくなった子宮や広がった骨盤が元に戻るのは時間もかかりますし、正常な状態とは言えません
ましてや胎盤の剥がれた子宮の壁は大怪我を負っている状態です
ホルモンも激減する産後は心も不安定になり、イライラしたり涙もろくなったり、産後うつの状態になる人も少なくないです
産後は多かれ少なかれ誰もが心身ともに弱った状態になるから、あなた自身が弱いから起きている問題ではないよ!
逆に、そんな産後の状態の中で、あなたはきちんと助けを求めることができています
自分なりに家事・育児をして、必要な時に実家に支援を要請できる
人に頼ることができるのは人を信じる力を持っている証拠だよ!
人に頼ることができた人は、次に人に頼ってもらうことができるでしょう
そして、「お互い様」の交流ができてくるのですから、「甘え・甘えられ」という関係性は人と人とが交流していく原点だと思いませんか
あなたが実家に頼ることができたからこそ、お子さんはあなたに頼って、甘えが許されて、心穏やかに育ってきたんだよ!
頼れられる側の気持ち
実家のご家族も、あなたに頼られることで、育児に参加できること、あなたを支えてあげられたことを嬉しく思っていると思うよ!
「申し訳ない」という気持ちを持つよりも、「いつもありがとう」という思いを持ち、その気持ちを伝えていけばいいのではないでしょうか
そんなあなたのことを、「実家に住んでいて甘えている弱い母親」なんて誰も思っていません
どうぞ安心してくださいね
子どもは大人を写す鏡なのです。
大丈夫、あなたは世界に一人しかいない素敵な母親です。
今は一時的に自分自身に自信が持てなくなって、いないほうがマシだと思ってしまうほど追い詰められているのかもしれませんね
母親である時間や妻である時間も大事ですが、自分自身である時間を持つことも大事です。
赤ちゃんを家族に預けて、少し自分を取り戻す時間を作ってみると良いでしょう
パートナーとこれからの生活を話し合ってみるのも良いでしょう。
どうぞ笑顔と自信が戻りますように!
支援が必要な妻の支え方
Q.3歳と生後3か月の娘がいます。
妻は元々ナイーブな性格ですが、産後にはちょっとしたきっかけでスイッチが入ったようにドーンと気分が落ち、よく泣いています。
話を聞きたくても何も話してくれず、助けたくてもどう助けていいのかわかりません。
妻も子どもも愛しています。
だからこそ、自分と結婚しなかった方が妻は幸せになれたかもしれないと考えるようになりました。
どう接するべきか、どのように寄り添うべきですか。
回答
A.あなたの妻や娘さんを支えるためには信頼できる専門家を見つけることも考えて!
ご家族を大切に思われているのですね。
まず「どう、接するべきか、どのように寄り添うべきか」を考えてみましょう
どう接し寄り添うか
あなたは今、彼女を助けてあげたくてもどう助けていいのかわからないのですね
いくら考えてもそのやり方がわからない時は、彼女の姿から考えていこう!
彼女はどういう時に穏やかそうにしていますか、安心しているように見えますか
もし、そういう姿がはっきりみられなくても、少しでも微笑んでいたり、表情がリラックスしていたりする場面をピックアップしていきます
そこに彼女があなたにして欲しい接し方を見つけることができます
支えることの基本は、支えたい相手の姿の中にあるよ!
彼女の「気分が落ち、よく泣いている」時、「何も話してくれない」時、あなたがどのように支えようとしても、彼女は泣いてしまうかもしれません
あなたは彼女を助けられない無力感に陥るかもしれません
でも、わかっておいて欲しいことは、あなたが彼女を支えよう、理解しようとする存在であり続けることが、彼女の無意識の中では大きな支えになる、ということです
そして、彼女自身が「自分」ですら見捨てたくなるほどの「自分」を見捨てないで、あなたが彼女の感情に揺り動かされずに、お互いに一緒にいて楽しかった頃のあなたのままで彼女の傍にいることができれば、彼女はあなたの姿にその頃の自分の姿を見出し、大きな安心へとつながります
そばにいるだけで大きな支えとなっている
今の彼女の心の傷が深ければ深いほど、解決には時間がかかります
でも、あなたの想いは必ず彼女の心に届きます
支援者の疲労
一つ、考えていただきたいことがあります
あなたも一人の人間です。
あなたにも自分の感情があります。
その感情にきちんと向き合っていくことも大切なポイントなのです
マイナスの気持ちを持つ家族と一緒に生活をすることは、簡単なことではないよ!
あなたと彼女の二人だけであれば、あなたが支えようとするだけで済むかもしれません
でも、そこに娘さんの存在があると三者関係となり、複雑な感情が生じざるを得ません
彼女の気持ちを大切にすることで娘さんの気持ちを大切にできないことも起きてくるからです
このような矛盾する人間関係はストレスになります
信頼できる専門家を見つける
ストレスが溜まるとあなたがいくら頑張っても、家族を支えることは難しくなってしまいます
そうならないために、あなたをサポートする信頼できる専門家を見つけてください!
今まで、あなたは一人で頑張ってこられたと思います。
これからは、地域担当の保健師や子ども家庭支援センターのスタッフ、娘さんの主治医、あなたと一緒に考えてくれる人を見つけることは結果としてあなたを支えるだけではなく、彼女や娘さんたちを支えることにもなります
家族が幸せになるには、誰か一人だけが頑張ったり、辛い思いをしていては実現できないよ!
あなたも含めた家族みんなが一緒に生活することに幸せを感じるために、まずはあなたを支えてくれる人を探すことが必要です
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