上手な「ことばかけ」ってどうしたら良いの?

言葉の発達をのばすためにはたくさん話しかけるように言われますが、具体的にはどのように話しかけたらよいのかわからない人が多いと思います

この記事では、子どもに話しかけるタイミングや声掛けのポイントを解説していきます

「いつ」話しかけたらいいか

世話しながらの「話しかけ」

特別に何か話しかけようと思わなくても、世話しながらの話しかけを意識的にていねいにするようにすればいい

子どもの世話をするときには自然にことばをかけるものです

たとえば、おむつを替えるときは「おむつ替えるよ」とか「ほら、ジッとしていなさい」
パンツをはかせながら「こっちの足だよ」とか「あれあれ、足ひっかかっちゃったね」とか「はい、はけました」
ごはんのときは「あらあら、もうごちそうさまなの?」など、必ず何かしら言っているはずです

むっつり黙っているのは、よほど機嫌の悪いときや疲れているときで、ふつうはごく自然に話しかけているものです

カバさん
カバさん

それが大切な「言葉がけ」であり「話しかけ」だね!

そういう意味で、せめて食事時間だけでも、子どもとしっかり向き合うために、テレビを消したほうがいいということも、なんとなく理解できますね

からだの動きに合わせて声をかける

シャンプーするときは「おめめつぶって」、からだを洗うときは「後ろ向いて」、パンツをはかせるときは「足上げて」と声をかけます

「これが目よ、め」とか「目をこういうふうに動かすのを『つぶる』というの、わかりましたね」なんて、わざわざ教えるわけではありません

生活の中で何回もくり返しているうちに、子どもは自然に「目」がわかり、目を「つぶる」ことができるようになるのです

からだが動いているときは、こころや脳も活発に活動しています

カバさん
カバさん

そういうときに耳から入ってきたことばは、頭に入りやすいよ!

目、耳、手、足など、からだの部分の名前や、前後上下がわかるのは、「自分」という感覚を育ててゆくためにも、とても大事です

かけ声や擬声語・擬態語を大事にする

階段を登りながら「ヨイッショ」とか「トン、トン、トン」とからだを動かすリズムに合わせて声をかけてもらうと、子どもはそのことばを覚えやすいです

日本語には擬声語・擬態語がたくさんあります

カバさん
カバさん

擬声語・擬態語は音のくり返しが多い上、子どもにとって言いやすい音でできているよ!

ものの名前を言えるようになることだけにとらわれず、楽しい音遊びのつもりで、たくさんの音を聞かせてあげましょう

あいさつは大切な教材

「いただきマス」も「ごちそうサマ」も、言い方にリズムがあります

まだ自分では言えない子でも、そのリズムに合わせて頭を動かしたりします。お母さんが「コンニチハ」と言うと、子どもは「コンニチ」まで頭を下げていて「ハ」でパッと頭を上げたりします

これはまだ「ことば」(音声言語)にはなっていませんが、身振りによるりっぱな「ことば」です

あいさつなどのように、からだの動きと一緒になったリズム感は、ことばの長さを把握したり、何という音で始まる言葉なのかを覚えたりするのに大切な基礎になる

「コ・ン・ニ・チ・ハ」とか「オーハーヨッ」とか、なるべく楽しそうなリズムをつけて言ってあげてください

あいさつのことばがいいのは、いつも同じことばを使うので、覚えてゆく手始めとしては最適です

カバさん
カバさん

だけど、子どもに無理に言わせようとしないようにしよう!

「バイバイは?」と無理強いすることはありません。
おとなが自然にあいさつするのが第一です。
子どもはそれを見たり聞いたりしているうちに自然に覚えて、学び、自分でも言えるようになるのです

もちろん、お母さんが「バイバーイ」と言いながら、子どもの目と相手の顔と交互に見て、誘うようにすると、子どもの手も「バイバーイ」と出てきやすくなりますから、上手に誘うことも必要です

動作の始めと終わりの声かけ

人間は動作の始めと終わりに、自分でも知らず知らずのうちに区切りをつけています

テレビでも見てぐったり休みたい食後、やっぱり洗濯しなくちゃと自分を励まして立ち上がるときは「さあて、洗濯しようか!」

長くかかって書類をつくり終えたときは「あー、終わったー」

声に出さないまでも、心の中では、それと同じことを言っています

子どもに対することばかけも、この無意識の行動を意識化して利用するのがコツ

努力してみるだけで十分です

いつも自分が無意識にこころの中で言ってることばを、声に出すようにしてみましょう

子どもの興味に合わせて話しかける

カバさん
カバさん

ことばは、教えたから覚えるというものではないよ!

子どもの興味や気持ちに合わせることが大事です

たとえば、お父さんが朝出かけるとき。
なんかあわただしくて、「ア、パパがいなくなっちゃうんだなあ」って、子どもにもわかります

そのときにふさわしいのは、
「パパがお出かけするよ」
「パパ行っちゃうの、つまんないねえ」
「パパ、行ってらっしゃーい」
「早く帰ってきてねー」
ということば

こんなときに、
「これはパパです。パ、パ。いい、もう一度言いますよ、これはパパです。パパ。はい、一緒に発音してみましょう」
なんて言われたら、まるで「ジス イズアペン」みたいで魅力もなにもなくて、ウンザリすると思います

子どもに話しかけるときには、「子どもの興味に合わせて」「子どもの気持ちに添って」「子どもが今見ているものについて」「子どもからの発言に応える」

絵本も同じで、おとなの側に、教えよう、聞かせようという態度が見えると、子どもはそっぽ向いてしまいます

子どもは「これがミッキーだよ、ミッキー、ミッキー」とか「これはミニーです」なんて言ってもらいたいわけじゃないんです

「大きなリボン、かわいいなあ」という気持ちとか「あ、ミッキーいた!」という発見を共有してもらいたいのです

「せっかく読んであげようと思うのに、ページを次々めくる」とお母さんは言いますが、その子が絵本に求めるものが、まだそのレベルなのであれば、その求めに応じてあげればいいと思います

ベラペラめくりなから「あ、ミッキーだ!」。それで十分です

単純なことのくり返しばっかりでつまらないと、おとなは思うでしょうが、おとなだってみんな子ども時代に単純なことのくり返しをいっぱいやって、脳に記憶の回路をつくり、学習し、おとなになってきたのです

その子のレベルに合わせて楽しんであげていれば、そのうち「なぜ?」「どうして?」「OOって何のこと?」と質問攻めが始まって、ああ、昔はページをめくるだけで楽だったのになあ、なんて思ったりするものです

まとめ

今回は言葉がけのポイントを解説してきました

今回の記事の要点をまとめるとまず、以下の2点があります

まとめ

①言葉を「教える」のではなく、日常生活の中での言葉かけや話しかけを増やしていくことが大切
②子どもの興味を持っていることを伸ばしていくことが発達に良い刺激をもたらす

言葉が出ない子とのかかわり方についてもっと知りたい方は「言葉がなかなか出ない子への対応のコツ5選」の記事を参考にして下さい

この記事が、少しでもお役に立てたのであれば嬉しいです

最後までご覧いただきありがとうございました