苦手なことや嫌いなことってやる気が出ないですよね
お子さんも同じです
発達を伸ばすためには「楽しむ」ことが大切です
この記事では、感情がどうして発達の伸びに関係してくるのかについて解説していきます
大脳辺縁系は「こころの脳」
大脳辺縁系とは
大脳辺縁系は、本能や情動にかかわる「こころの脳」です
大脳辺縁系には扁桃体、帯状回、海馬などが含まれる
「情動」とは、感情よりも原理的なこころの動きのことで、快情動と不快情動の2つに大きく分けられます
- 長い時間我慢した後にやっとトイレに行けたときの、なんともいえない安堵感(快)
- お腹ペコペコの後で食事にありついて、思わず出る「ああ、おいしい」の笑顔(快)
- 空腹が満たされないときのイライラ感ととんがったような顔(不快)
- いきなり犬に吠えつかれて、思わず飛び上がる(恐れ)
- うれしいと笑顔になり、悲しいと涙が流れ、驚くと目が大きくなる
大脳辺縁系のかかわる情動のはたらきでは、こころの動きとともに、からだの状態も変化することが特徴だよ!
日ごろは、大脳の「理性」のはたらきで、こういった原始的なこころの動きを覆い隠しているものの、合間合間で本性があらわれてしまっているというわけです
人間は、快や喜びをもたらすものには近づき、不快なものや怖いもの、怒りをもたらすものに対しては逃げたり、攻撃しようとしたりします
扁桃体ー情報の評価
情報が快であるか不快であるか、の意味の認知と価値の評価は、大脳辺縁系の扁桃体で行なわれています
内臓感覚や五感などのすべての情報は、扁桃体に集まり、その情報が自分にとって有利か不利か、満足か不満か、安全か危険か、などの価値判断が行なわれます
帯状回ー動機づけ
「やる気」とか「意欲」とか「動機づけ」「モチペーション」といわれるものも、この大脳辺線系のはたらきに大きくかかわっています
「帯状回」は、すべての本能的な価値判断をまとめる
扁桃体からくる「満足・不満足」という判断、視床下部からくる生命を守る欲求などを受けて、からだを動かす意欲を生み出します
帯状回から出た「意欲」の信号は、同時に大脳前頭葉連合野にも伝えられて、積極的に考える気を起こさせる、と推測されています
海馬ー記憶
「海馬」は記憶をつかさどる
目や耳から入ってきた情報は、いったん大脳皮質に送り込まれて分析された上で、大脳辺縁系に転送されます
大脳辺縁系の扁桃体で価値ある情報と判断された情報のみが、帯状回を経由して覚える意欲とともに大脳皮質に再び送り返され、記憶として定着する、と考えられています
楽しむことが成長の近道
楽しむことと脳の関係
ことばを覚えていく上でも、楽しかったり、面白かったり、大脳辺縁系の情動の部分で、こころが揺さぶられるような経験をして、やってみようという自発性がともなえば、簡単に覚えられるものです
遊びは楽しく、面白いという意味で、ことばを覚えやすい大切な時間!
変な言葉ばかり覚える
子どもにことばを得させるには、無理やり勉強や教えこむのではなく、楽しく、自然に覚えてゆく場面をつくってあげることが大切です
たとえば、1歳6か月程度の子どもが、幼稚園児のお兄ちゃんと遊んでいます
お兄ちゃんが友達を「ヤーイヤーイ、そんなこともできないんだ」と冷やかします
すると、弟クンも、今聞いたばかりのことばを、たどたどしい口調ながら一緒になって「ヤーイヤーイ」と言います
気の弱いお友達だったら泣いてしまうでしょう
2時間後、晩ごはんが終わって、テーブルを拭いているお母さんに、弟クンが思い出したように「ヤーイヤーイ」と言います
お母さんは「どうして悪いことばはすぐ覚えるのに、『赤』とか「りんご』は言えないんでしょう」と嘆きます
弟クンにとっては、そのときのお兄ちゃんの表情や語調、友達の反応がすごく面白くて、「これは面白い!使えるぞ!」と思ったから、パッと1度で覚えたのでしょう
ですから、教材や遊び道具を考える場合にも、その子が好きなことや好きなものを手がかりに、遊びながらついでに色の名前とか大きさの概念なども合わせて教えられるようなオモチャを選ぶことが大切です
色の名前を覚えさせたいときには、「アカ、アカ」「キイロ、キイロ」とやっきになって教え込もうとしがちですが、その子の好きなもの、たとえば、ミニカーの黄色いのと赤いのとを買ってきて、「赤ブーブー」「黄色ブープー」と遊んでいれば、そのうちにわかるようになるはずです
学習を進め、やる気を起こさせるのは「快」の状態のとき
まとめ
今回は発達・感情・脳の関係について解説してきました
この記事が、少しでもお役に立てたのであれば嬉しいです
最後までご覧いただきありがとうございました