新生児期の赤ちゃんの便は日々変化します
この記事では、赤ちゃんの消化器や便の特徴、気をつけたい便などについて解説していきます
新生児の消化器の特徴
新生児は消化器が未熟な状態で生まれます
・全消化器の通過時間が短い(10時間未満)
→でんぷん、タンパク質、脂肪を吸収するために必要な消化液の分泌能と酵素活性が低い
・乳糖を分解するラクターゼの活性は大人よりも高い
→母乳・ミルクは効率的に吸収される
新生児の便の特徴
生まれて初めて排泄される胎便は、満期産児であれば24時間以内(平均7時間以内)に排泄される
生後3日目からは便の粘稠度が低くなり、色も黄色〜緑色がかった茶色の便となります
新生児の排便機能の特徴
生後1か月までは、いきむことができず、胃の中に物が入ると直腸が刺激される「胃結腸反射」によって排便するため、哺乳のたびに排便することもあります
成長に伴い次第に便の回数は少なくなっていきますが、最初の頃は排便機能が未熟なので、健康に問題がなくても排便の前に10分以上泣いたりいきんだりすることがあります
これは「乳児排便困難症」といわれる生理現象の一つで、多くの場合3〜4週間で見られなくなります
嘔吐が続いたり成長が遅くなったりしている場合には、重篤な疾患が隠れている可能性があるので医療機関の受診が推奨される
気をつけるべき便
白色便
白色便の場合、胆道閉鎖症の可能性があります
胆道閉鎖症は、肝臓内で作った胆汁が胆道を通過出来なくなってしまう重篤な肝臓の病気
正常の便が黄色〜茶色であるのは、肝臓で作られた胆汁が便に含まれているためです
しかし、胆道閉鎖症では、便の中に胆汁が含まれなくなるため、便が淡く黄白〜灰白色になります
胆道閉鎖症は手術せずに放っておくと、肝臓内に溜まった胆汁の毒性によって肝硬変や肝不全に陥り2〜3歳で亡くなる
発見が遅れ、胆汁酸と一緒に体内に吸収されるビタミンK(血を止めるために重要)が欠乏した場合は、突然の脳出血で見つかることもあります
親が母子健康手帳の「便色カラーカード」を活用し、便の異常にすぐ気づいてもらえるようにしよう!
便秘
胎便の排泄が遅く、特に生まれてから48時間経っても排泄がない時には、消化管閉鎖やヒルシュスプルング病といった先天性の腸の病気が疑われます
胎便が普通に排泄されてもその後に便秘になってしまった場合には、重篤な病気が隠れている可能性があります
腸の病気の他にも肛門や脊髄の病気など様々な種類の病気が考えられますので、専門の医療機関の受診が必要になります
下痢
新生児期に発症する下痢の原因としてはウイルス感染症が多く、新生児では急速に脱水や電解質異常が進むため注意が必要
その他にも、消化管アレルギーや炎症性腸疾患といった腸の病気や内分泌の病気、免疫の異常といった様々な疾患が原因として挙げられています
病気の原因を探るためには、血便の有無や、ミルクをやめたりアレルギー用ミルクへ変更したりすることで下痢が改善するかを確認することが重要です
それらが評価項目として含まれた「難治性下痢症の診断アルゴリズム」が公開されていますが、診断には内視鏡検査や遺伝子検査などが必要となることが少なくありません
まとめ
今回は赤ちゃんの便について解説してきました
今回の記事の要点をまとめると、以下の4点があります
また、胆道閉鎖症について詳しく知りたい方、はこちらの記事を参考にしてください↓
この記事が、少しでもお役に立てたのであれば幸いです
最後までご覧いただきありがとうございました
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