発達障害の原因は何でしょうか?
発達障害は親からの愛情が足りないから?
と思っている方もいると思います。本当にそうなのでしょうか?
結論を先に伝えると、発達障害が、直接、愛着障害、ひいては虐待につながる、ということはありません
しかし、この二つは互いに大きく関係し合っています
この記事では、愛着障害と発達障害について、保健師が詳しく解説していきます
愛着障害とは
そもそも愛着障害とは何でしょうか?
診断名としては「反応性愛着障害」や「脱抑制型対人交流障害」があり、母親など愛着の対象がいないまたは、いても虐待など不適切な養育を継続的に受けたことで、情緒的・精神的な発達が阻害されてしまった状態です
愛着障害になるとどうなる?
人が人として育っていく、その育ちの根っこは、愛着だよ!
愛着関係によって大事にされたという感覚がなければ人を信じることができず、社会性は育ちにくくなります
大事にされていないと常に不安で落ち着かず、一人でできるという自立心も持ちにくい・・・こうして育ちのバランスが崩れると愛着障害として、様々な気になる行動が表れるのです
その姿は一見「発達障害?」と思ってしまいますが、そうなった要因が異なります
同じように社会性が伸びない、という姿があったとしても、発達障害の場合は愛着とは関係のないところに要因があるのです
発達障害と愛着障害の関係
発達障害のある子は愛着障害になりやすいのではないか?ということがあります
これは、発達障害のある子には、特有の育てにくさがあることから不適切な養育に繋がりやすく、愛着障害のリスクも高くなるのではないかという考えからくるものです
発達障害が、直接、愛着障害やひいては虐待につながる、ということはありません
ただ、発達障害のある子を持つと、その行動にイライラすることが多くなり、ついキツく叱ってしまい、その後自己嫌悪に陥るという親御さんが少なくない、ということも事実
常に「虐待しそう」という不安を抱えている人もいます
叱られることで子どもの不安が高まり、さらに行動の問題が増えるという悪循環にもなりかねないよ!
愛着障害のある子への対応の仕方
発達障害と愛着障害の症状が同じでも対応の仕方は少し変える必要があるよ!
見通しの持ちやすい環境作りやわかりやすい言葉掛け、無理強いしない、と言ったことは共通ですが、愛着につまずきがある子の場合は、不安を取り除くことを最優先にします
療育の場でも、具体的なプログラムの前に、その子の落ち着く環境でリラクゼーションの時間を設けるなど工夫をします
イライラしないために
これを防ぐためには、親自身が、つい叱ってしまう自分を責めず、子どもの特性を理解することが大切です
どうしてこんなに困った行動を取るのか・・・その理由がわかり、自分の育て方やしつけのせいではないと思えたら、少し冷静に子どもを見ることができます
そして、特性にあった適切な対応をすることで子どもが変わると、嬉しくなって子どもを見る目も変わってくるでしょう
意識的に褒め、愛着を示して、「あなたは私にとって大切で愛おしい存在」という思いを子どもに伝えることが大切だね!
不適切な対応が続くと二次障害になる
二次障害って?
二次障害とは本来ある発達障害に対して適切な対応がされず、周囲の無理解や不適切な関わりなどが続くことで、元々の発達障害とは別の二次的な症状が表れることを言います
辛い思いをしている子が多い
発達障害があると、その特性から、頑張ってもうまくいかないことが多く、失敗を重ねることで周りから叱責され、理解もされず、辛い思いを抱えている子が少なくありません
適切な支援を受けないままこうした状態が続くと、自尊心は低下し、自分はダメな人間だと責めてしまうことがあります
頑張ってもどうせダメだと思って、出来ていたことが出来なくなってしまうこともあるよ
二次障害の症状
不安や緊張が高まり、頭痛や食欲不振、不眠、夜尿症やチックなど体に症状が表れることもありますが、鬱になって不登校や引きこもりに繋がるケースもあります
さらに、こうした不安や緊張が外に向かい、強い反抗、暴言、暴力、非行と言った行動につながる場合もあります
二次障害を防ぐには
二次障害の症状は、発達障害の特性によって表れる姿より強く出る傾向があるよ
周囲の大人への信頼感を持てなくなってしまうので、本来の発達障害の特性への対応がしにくくなり支援が進まない、という悪循環にも陥りやすくなります
また、発達障害があることに気づかれないまま二次障害が起きてしまうと、その行動の問題や不適応状態が、わがまま、わざとやっている、と捉えられ、余計に発達障害の可能性に気づきづらく、対応を難しくしてしまうことがあります
とにかく、二次障害は未然に防ぐことが大切だね!
そのためには、不適切な養育のケースと同様、子どもの特性に早く気づき、適切な対応をすることが一番です
そうすることで、自分のことをわかってくれる人がいる、認められたという実感が持てます
発達障害があっても、自己肯定感が高ければ、二次障害にはならないよ!
なお、すでに二次障害が表れてしまっている場合は、家族だけで抱え込まず、学校や医療・相談機関と繋がり、みんなで支援していけるようにしましょう
親自身の健康も大切です。
家族会などに参加して悩みを話し合うことで、気分が楽になることもあるので、外のいろいろな機関を活用するようにしてください
まとめ
今回は発達障害の子は、関わり方次第で良くも悪くも変わるということを解説してきました
今回の記事の要点をまとめるとまず発達障害と愛着障害の関係は、要点が以下の3点があります
そして、発達障害と二次障害については、要点が以下の3点です
この記事が、少しでもお役に立てたのであれば幸いです
最後までご覧いただきありがとうございました
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