より良い産後の支援をするには、産後ケアの利用はとても有効です
しかし、実際に産後ケアはどのような方が利用され、どのような相談が多いか、またどのような対応をしているか知っていますか?
この記事では、産後ケアを利用されている母親の授乳状況と、授乳や育児の悩みにどのように対応しているのかを解説していきます
産後ケアを利用する理由
産後ケアを利用する理由としては、
・支援者がいない
・体調が良くない
・不安がある
などが多くあがります
話を伺うと、母親の不安や疲労の背景にある物として、乳腺炎や飲ませるときに伴う痛みで授乳が辛いなど、乳房や乳頭の状態も影響を及ぼしていることがわかってきます
乳房の状態の良し悪しが母親の気持ちや体調に大きく影響を与えている
産後ケア利用者の授乳の悩みやトラブルの実態
トラブルは多岐に渡り、乳房のしこりや硬結などを伴う「乳房トラブル」、うまく飲ませられないなどの「直接授乳困難」、足りているかどうかわからないなどの「不足感」などでした
産後ケア利用までの間、悩みながら授乳されている母親が多い現状です
インターネットでの情報をもとに試行錯誤することでより混乱してしまうことも少なくないよ!
よくある相談への対応例
体重増加が少ない
母親がどのように今の状況を捉えているのか把握し、考えを尊重しながら影響要因を分析します
母乳が不足気味→補足が必要
人工栄養が必要になった場合、母親は補足することで母乳が出なくなってしまうのではないかと不安を抱くこともあります
不足している量だけ補足し、過剰に補足しないことで乳汁分泌は維持できることを伝え、安心できるように支援する
母乳分泌量が少ない場合でも、できるだけ長く母乳育児を継続することの意味を伝え、自分の母乳育児に自信が持てるように支援します
補足量の変更や母乳への移行は慎重に
病院で入院していた時の授乳環境が、その後の授乳の流れに影響していることも多くあります
病院で教わったことや退院後に積み重ねてきたことを産後ケア入院中に一気に変えず、個々のペースに合わせて相談しながら慎重に進めていくことで無理なく段階的に変えていくことができます
特に、出産から2〜3か月経過していると授乳のリズムが出来上がっていることが多く、混乱につながることが多いので無理に変えようとしない方がいいでしょう
哺乳量測定
哺乳量測定は、数値に一喜一憂し母親の気持ちが不安定になり自信を失うことがあるので慎重に対応しましょう
哺乳量測定は、児の摂取量であり、分泌量を測定しているのではないことを母親に説明しましょう
泣きへの対処方法
赤ちゃんの泣きは、母親の気持ちを落ち着かなくさせます
母親のせいではないことを理解してもらおう!
赤ちゃんの成長過程において、泣きに付き合う他方法がない時間帯や時期があります
赤ちゃんの様子に応じて、抱っこの仕方やあやし方なども確認し、母親が実践しやすいものとして、様々な方法を提案し、一緒に実践しながらできるようになるまで見守ります
上の子との関わり方
上の子と誕生した赤ちゃんの同時育児をどのように考えているかを確認する
上の子どもが低年齢の場合、母親が育児負担感を強く感じていることがあります
経産婦であっても、それぞれの子どもの出産・育児を経験するのは初めてであり、上の子の退行現象などさまざまな悩みを持つことがあります
退行現象などの子どもの反応は、順調な発達の表れであることを説明しよう!
母乳をあげたくてもあげられない
母親の中には、母乳をあげたくてもあげられず、授乳に関する周囲の言動やアドバイスなどで傷つき、後々まで気持ちを引きずっている人がいます
自ら人工栄養を選択した母親に対しても、その思いを否定も肯定もせず聞き、母親が納得して後悔のないような支援をしていきます
私たちは、赤ちゃんの健全な成長や発達を目指し、長期にわたる授乳期の子育て支援という観点で関わりを持つことが大切です
まとめ
今回は産後ケアでよくある相談への対応のコツについて解説してきました
今回の記事の要点をまとめると、以下の2点があります
どのような状況下に置かれていても、授乳がうまくいっているか否かは、母親の心身に大きく影響してきます
支援者は授乳状況を客観的に判断し、乳房の状態を診断し、全身状態などから総合的に捉えて、授乳支援の方向性を検討しましょう
不安や辛い状況を理解する上で「表情を読む」「気持ちを汲む」「言葉に表さない気持ちを察する」ことも大切です
より良い支援をするためには、支援者の力を伸ばすことも大切です
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