発達障害の子の数は増加しています
その分診断の場面も多くなりますが、診断の場面は支援が難しいです
しかし、この時期の支援はとても大切です
この記事では、診断の場面でよく直面する困難に対して、対応するための知識を解説していきます
発達障害の種類
・知的発達症群(知的発達と適応機能の遅れ)
・コミュニケーション症群(言葉やその他のコミュニケーション)
・自閉スペクトラム症=ASD
・注意欠如・多動症=ADHD
・限局性学習症=LD
・運動症群(発達性協調運動症=DC・チック症など)
発達障害は増えているのか
かつて、自閉症は1万人に数名と言われていました
しかし、今は2〜3%とのデータもあります
実際は本当にそんなに増えているのでしょうか
診断の場面の変化
診断基準が変化し、いわゆる「グレーゾーン」でも診断がつくようになりました
また、発見率が向上し、乳幼児健診などで早期に発達障害を発見するシステムが整備されました
2000年頃から社会の認知度が高まったことも、診断が増えた要因の1つだね!
社会の変化
出産年齢の高齢化、家族形態の変化、デジタルメディアの影響などの社会環境が変化した影響があるかもしれません
また、特性を持ちながら適応することが難しい社会になったことも考えられます
発達障害の増加で何が起きた?
支援現場の変化
学校や福祉などで配慮したり対応したりすべきことの要求水準が上がり、支援の現場における負担感が高まりました
また、公共事業だけでなく、商業ベースの支援も増えましたが、質は玉石混交です
理解だけでなく誤解も広がった
発達障害という言葉は有名になりましたが、「過剰診断」という批判もあり、多様性を理解して配慮しようとすることへの反動が広がっています
発達障害に気付くきっかけ
・育ちの様子に気がかりがある
・養育者(母親)が「育てにくさ」を感じる
・集団活動に参加しようとしてトラブル発生
・特定の「苦手さ」による失敗体験
・心身の不調(不安・抑うつ・心身症など)
・自立に向けての葛藤
診断
診断を受けて変わること
・診断を受けたからといって「苦手さ」が消えるわけではない
・心理的な荷下ろしができることがある
・苦手さは「部分」であって「全体」ではない
・周囲の理解を得るための手掛かりとなる
・実現可能で無理のない目標を設定することができる。苦手だからやらないで良いわけではなく、段階的に行なっていく
何のために診断するのか
・発達障害なのか?ただのわがままなのか?
・直接的な介入だけでは解決しない時、背景にある問題を深く理解する必要がある
・発達障害がわかると、堂々巡りの悪循環から脱却し、解決への道すぎをかけることがある。
診断を受けることの意義
・診断には絶対の「基準」があるわけではない
・単に診断名を知ることだけが重要なわけではない
・診断に至るまでのストーリーにタイトルをつける作業が「診断」と言えるかもしれない
・腑に落ちる「タイトル」は解決を導くことがある。逆に違う病名が来ると、支援者への信頼もなくなることがある
生活全体の中で評価する
特性の強さだけを評価するのではありません
家族との関係や学校・園などの環境、育ちの歴史やトラウマなどの影響の有無によって、抱えている困難の度合いや支援の必要性は変わってきます
発達障害の伝え方
配慮事項
発達障害を告知されると涙を流す親は多いよ
診断がスティグマとならないように伝えることが最大の配慮事項です
「発達障害」という言葉が絶望ではなく、希望と連帯を生み出す言葉となるようにする
スティグマとならないために
スティグマの原因は理解と知識不足だよ!
否定的な烙印を押されてしまい、偏見や差別を受けたり、社会的不利益を被ってしまったりするとの不安を抱きます
「診断名」だけでなく、内容を含めて理解し、「腑に落ちる」ことが必要
真の理解には労力が余計にかかりますが、必要不可欠な労力です
言葉が腑に落ちるためには
同じ内容の言葉でも、「誰に」「どのように」伝えられたかによって、受け取る印象が変わります
そのため医師が行なっているね!
診断は同じでも、個別の特徴に注目して評価し、伝えることが重要です
親も発達障害の場合
親自身も発達障害を抱えていたり、子どもだったときには理解されず適切な配慮がなかったりします
親自身の子ども時代のトラウマのため、診断の受容を困難になることがあります
また、「親はそれでもやってこれた」経験から、支援に拒否的なことがあります
しかし、だからと言ってこの子は乗り越えられるかはわかりません
傷ついた過去を否定せず、新たな意味を発見していこう!
子ども本人とのやりとり
本人と関わることの大切さ
支援の場に親子が一緒に訪れるとき、親の思いと子の思いは必ずしも同じではありません
たとえ子どもに訴える力がなかったとしても、子ども本人からメッセージを受け取るように努める
子ども本人と直接対話することで、子どもが拒絶されるべき存在ではないことを身をもって示します
また、遊びは言葉より多くを語り、遊びの場面の態度には、その人の普段のコミュニケーションの様子が現れるので、遊びからのアセスメントも大切です
子ども本人への告知
段階1:特性や個性として伝える
誰でも得意なことと苦手なことがあります
苦手は部分であり全体ではありません
苦手な領域は自分のペースで解決するか、難しければ誰かの助けを借りれば良いことを伝えます
段階2:向き合うために具体的な発達障害の診断名として伝える
告知のタイミングは本人がある程度自分を客観的に見ることができて、自分の課題を薄々は気づき始めている時期(小3〜4くらい)が多いです
失敗体験を告知のきっかけにはしない
新しい支援を始めるとき、なぜその支援が必要なのかを伝えるときが、告知のタイミングになりやすいです
残念ながらネットには偏見と悪意に満ちた情報も少なくありません
スティグマの汚染を防ぐためにも、ある程度の年齢になったら、きちんとした「診断名」を使って告知する必要が出てきます
発達障害は治るのか
発達障害はそもそも治すべき対象ではありません
無理に「治そう」としたことで、拗れた問題が発生してしまうこと(失敗体験、二次障害)がとても多いです
治すことは現状の否定となります
治すのではなく、「発達障害でも発達する」という考え方が正しいです
診断後の選択肢
①発達障害を受容して、手帳を取得したり、福祉的なサービスを活用したりして、公に支援を求める
②発達障害は受容するが、心の中だけにとどめておき、「強み」を見つけて自分なりの自立を目指す
③発達障害は一切受容せず、努力と根性で乗り切る
いかなる選択をするにしても、自己決定の権利は保障されるべきです
また、自分で選択できるようにするために支援しましょう
押し付けられた方針には、後々納得できなくなってしまうよ!
なぜ受容できないのか
闘いを辞めても安全が守られる、という安心感がないと受容することは難しいです
発達障害を受容するためには、それがあっても安全と自尊心が守られるという安心感が必要です
評価や告知は、単に事実を情報として伝えるだけではなく、支援の介入と並行して行う
まとめ
今回は発達障害の診断への支援について解説してきました
今回の記事の要点をまとめると、以下の3点があります
また、より良い支援をするためには、支援の力を伸ばすことも大切です
支援者としての個人の力を伸ばす・より力を発揮できる場所で働くという点では転職を考えてみるのも一つの方法です↓(保健師の求人も多くおすすめです)
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この記事が、少しでもお役に立てたのであれば嬉しいです
最後までご覧いただきありがとうございました
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